もう2度と見ることはできない…残り3か月、札沼線廃止区間最後の冬を彩るキャンドル

紙袋を使ったキャンドルで早くもお別れムードを盛り上げる。廃止日は3か月先の5月7日だ。
  • 紙袋を使ったキャンドルで早くもお別れムードを盛り上げる。廃止日は3か月先の5月7日だ。
  • 当日は浦臼止まりの列車を新十津川まで延長し、来場者に対応。キャンドルと列車のコラボレーションはこれが最後。
  • キャンドルに囲まれた新十津川駅。いつもと違う異空間に驚く。
  • ホームにはアイスキャンドルが置かれ、温かい雰囲気に。
  • エキアカリで賑わう新十津川駅前。浦臼からの臨時列車が到着すると、歩くのも困難な人出となった。
  • 「ありがとう札沼線」と書かれた幟が惜別ムードを誘う。
  • 折返しの石狩当別行き(浦臼までは臨時列車)の乗車を待つ人々とキャンドルの灯。列車待ちの人はみるみる増えていった。
  • 2016年3月のダイヤ改正で消えていた新十津川夜発の最終列車が復活。

廃止まで残り3か月に迫った札沼線北海道医療大学~新十津川間。今冬が最後の冬となるが、それを彩る雪や氷などのキャンドルや駅、列車のコラボレーションという、2度と見ることができない光景が2月1日の沿線イベントで実現した。

「札沼線エキアカリ」と称するこのイベントは、終着駅である新十津川町の新十津川駅をはじめ、当別町内の石狩金沢駅、月形町内の豊ヶ岡駅と札比内(さっぴない)駅、浦臼町内の浦臼駅で開催され、わかっているだけでも合わせて2000人以上の人が訪れたという。

JR北海道が2016年11月に発表している「当社単独では維持することが困難な線区」によると、北海道医療大学~新十津川間の1列車平均の乗車人員は7人となっているから、すべての来場者が鉄道利用ではないにせよ、驚異的な数字と言えるだろう。

このイベントは昨年も開催されているが、やはり札沼線の廃止区間としては最後の冬となるだけに、スタッフは沿線各町の協力隊と連携して、地域住民を巻き込んでのイベントにしようと懸命に取り組んだという。

その結果、製作されたキャンドルは全駅合わせて2300個以上に上ったそうで、筆者もすっかり日が暮れた新十津川駅に着いた時に、あまりの「物量」に目を奪われてしまった。明らかに、これまでの記憶にある新十津川駅とは異空間で、地元のマンパワーに驚かされた。

この日はイベントのために、2016年3月のダイヤ改正で消えた、夜の新十津川折返し列車が復活。通常、新十津川駅の列車折返しは9時28分~10時の間だが、2月1日は浦臼18時45分着の列車をそのまま新十津川まで延長して、時刻表には掲載されない列車が運行された。

この列車が新十津川に着くのは19時8分の予定だったが、10分程度遅れて到着すると、立錐の余地がない車内からドッと乗客が降り立ち、入れ替わりにホームから溢れそうなほど長蛇の列をつくっていた人々が乗り込むという、通常はありえない光景にお目にかかれた。

あわや積残しが出るのではと思わせる人出だったので、最終日の5月6日はいったいどういうことになるのか、外野ながら少し不安になった。隣の会場だった浦臼駅では、新十津川からの折返し列車が遅れた関係で、20時までの開催時間を急遽延長したという。

2019年3月31日の石勝線夕張支線の最終日は、地元スタッフらの手際よさが光り、大きな混乱もなく収束した印象があったが、札沼線の各駅は夕張駅ほどの広いスペースを持たないので、さらなる手際よさが求められそうだ。もちろん、JR北海道も夕張支線の例があるので増発に努めるとは思うが、今回のエキアカリ輸送はラストランに備えたデモンストレーションになったのかもしれない。

今冬の北海道は、スキー大会が相次いで中止になるほどの記録的な暖冬のため、アイスキャンドル造りは想像以上に苦戦したそうで、前回より10日早く製作に着手したものの、造り出せば当日で終わるものが2日がかりに。寒暖差の激しさで急激に冷えた製作用のバケツが破裂するというトラブルにも見舞われたという。

しかし、そんな苦労も熱意が吹き飛ばした。廃止が決定しているとはいえ、方法によっては持続困難な路線であっても人を集めることができる好例を残せたのではないだろうか。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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