【展望2020 その1】日本から自動運転技術の進化を発信

東京オリンピック・パラリンピックを機に東京で産官学の試乗イベント

トヨタはお台場でMaaS向けの「レベル4」実験車を走らせる

ホンダは高速道路の渋滞時に限定した「レベル3」の自動運転車を市販へ

トヨタTRI-P4(ベース車両はレクサス)
  • トヨタTRI-P4(ベース車両はレクサス)
  • 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期自動運転、東京臨海部実証実験記者発表会(2019年10月15日)
  • 高速道路本線での自動運転技術(ホンダミーティング2019)

東京オリンピック・パラリンピックを機に東京で産官学の試乗イベント

日本の2020年は、経済にも好インパクトのある東京オリンピック・パラリンピックの年となる。自動車産業も世界が注目する一大イベントに合わせ、自動運転技術によって進化するクルマを内外に発信する。また、市販車でもハイレベルの自動運転技術搭載車が登場する。

東京オリンピック・パラリンピックを直前にした7月には、政府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)に基づく産学官の自動運転技術開発への参加企業などによる体験試乗イベントが開かれる。舞台は東京の臨海副都心地域(江東区のお台場地区)と羽田空港地域、および両地域を結ぶ首都高速道路であり、訪日客らにも披露される。

SIPによる開発では19年10月からお台場や羽田空港地域での実証実験が部分的に始まっており、トヨタ自動車や独VW(フォルクスワーゲン)、独ボッシュなど内外の自動車および自動車部品メーカーをはじめ、損害保険会社や大学などを含む28機関が参画している。21年3月までの実験期間に走行する自動運転車は合計100台程度と、国際的にも大掛かりな実証実験プロジェクトとなる。戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期自動運転、東京臨海部実証実験記者発表会(2019年10月15日)

トヨタはお台場でMaaS向けの「レベル4」実験車を走らせる

体験試乗イベントは、政府や参画企業が日本自動車工業会と連携し、広く社会での関心と受容性を高めてもらうため、東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて開催する計画だ。

自動車メーカーなど実験や試乗イベントへの参加機関がどのような自動運転車を披露するかも注目されるが、すでにトヨタ自動車は試乗イベントを「レベル4」の先進的な実験車両でも行うと表明している。同社の自動運転技術やAI(人工知能)開発などを担っている米国の「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(TRI)が開発した自動運転実験車「TRI-P4」を使うものだ。

国際的にレベル1から5まで5段階で示されている自動運転の技術段階のうち、レベル4は走行する領域や速度などが一定の条件下で、ドライバーの関与なしに自動運転ができる車両となる。トヨタはこのレベル4の車両を、「MaaS」(モビリティ・アズ・ア・サービス)と呼ばれる移動事業分野での利用を想定し、開発を進めている。

試乗イベントは7月から9月までお台場地区で行う計画であり、万が一の事態に備えるため、運転席にはドライバーが同乗する。この地域の交通環境は歩行者や車両、さまざまな道路が交錯している。TRIのギル・プラットCEOは「お台場の複雑な交通環境で自動走行を成功に導くということは、限られた短い時間のなかで技術をより早く向上させるという高い目標を自らに課すこと」と、狙いを話している。高速道路本線での自動運転技術(ホンダミーティング2019)

ホンダは高速道路の渋滞時に限定した「レベル3」の自動運転車を市販へ

一方、20年には実用化段階に入った自動運転技術も着々と登場する。ホンダは19年に、「レベル3」となる高速道路本線上での渋滞時自動運転の技術を20年に確立すると公表してきた。レベル3は、車両側が一定の条件下で自動運転するものの、車両のシステムが対応できない走行状況になるとドライバーが運転を引き継ぐというものだ。

レベル3の市販車が公道を走るには、道路交通法と道路運送車両法の改正が必要だが、すでにこれらは19年の通常国会で成立、20年春ごろに施行の見通しとなっている。ホンダの技術は高速道路でのノロノロ運転時に限定しているが、その間は車両が自動運転を行うので、ドライバーはスマホやカーナビゲーションの操作ができるようになる。

ホンダは正式には発表していないものの、20年の夏ごろにはこのレベル3の自動運転技術を、同社の最高級セダンである『レジェンド』に搭載すると見られている。レベル3の市販車は、これが日本メーカーでは最初になる見込みだ。海外では独アウディが17年に実用化しており、今後、道交法など関連法の施行を受け、海外メーカーによる日本へのレベル3車両の投入も始まるだろう。

【その1】日本から自動運転技術の進化を発信
【その2】国内市場は500万台維持で堅調に…トヨタチャンネル統合の波紋も
【その3】日欧そして中国へと日本車EVが本格始動

《池原照雄》

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