JR東海とNTTドコモは9月30日、東海道新幹線で5Gの無線通信実験に成功したことを明らかにした。
5Gは、現在の4G(LTE)よりも広い帯域で高速・大容量通信を実現する次世代の通信規格で、NTTドコモでは2020年のサービス開始を目指して実験を進めている。
今回は、新幹線のような200km/h超で高速走行する列車が実験に選ばれ、基地局の配置と移動する端末の追従性、周囲の遮蔽物による影響などが検証された。
実験はN700S確認試験車を使用して、8月24日から9月7日まで東海道新幹線三島~新富士間で実施。28GHz帯電波の到達範囲を広げるため、基地局から送信電波の方向を絞り、端末方向に電力を集中させる「電波ビーム」と呼ばれるものを使ったビームフォーミング機能や、端末の移動に応じて基地局からの電波ビームの方向を変えるビーム追従機能といった技術が試された。
その結果、283km/hで走行中に最大伝送速度1Gbps以上で仮設基地局間の接続を順次切り換える連続ハンドオーバーや、8K映像コンテンツのダウンロード配信、4Kによる車窓映像のライブ中継に成功したという。
200km/h超で高速走行する列車内と基地局との5G無線通信の成功は世界初で、JR東海とNTTドコモは「将来の高速鉄道車内における5G通信サービスの本格利用に向けた、重要なデータを得ることができました」としている。