【空飛ぶクルマ】SUBARU航空宇宙カンパニーが追求する安全性とCASE技術の応用…技術開発センター 自律システム設計部長 山根章弘氏[インタビュー]

【空飛ぶクルマ】SUBARU航空宇宙カンパニーが追求する安全性とCASE技術の応用…技術開発センター 自律システム設計部長 山根章弘氏[インタビュー]
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ドローン(電動マルチコプター)が人や荷物を運ぶ時代がすぐそこまでやってこようとしている。官民を巻き込んだ「空の移動革命」プロジェクトでは、機体技術の開発だけでなく、法整備を含めた社会環境の構築、ビジネスや事業化を見据えた運用モデルの議論が活発に行われている。

プロジェクトの参加企業のうち、注目したい企業のひとつがSUBARU(以下、スバル)だ。スバルは1917年に設立された飛行機研究所(のちの中島飛行機)をルーツにもち、現在でも同社航空宇宙カンパニーが、ヘリコプター、旅客機の構造、無人航空機の開発・製造を続けている。そしてスバルは、いわずとしれた国内主要自動車メーカーのひとつだ。スバルの空の移動革命への取組みについて、技術開発センター 自律システム設計部長の山根章弘氏に聞いた。

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現在、スバル航空宇宙カンパニーではどのような航空機を作っているのでしょうか。


山根氏(以下同):航空宇宙カンパニーの売り上げで最も比率が大きいのは、ボーイングの主力旅客機である777、787、777Xの機体と主翼をつなぐ中央翼です。ヘリコプターでは災害救助でも活躍する陸上自衛隊のUH-1Jの製造・整備・修理・技術サポートも行っており、現在はその後継機である新多用途ヘリコプターの開発が完了し、量産準備を行っています。海上自衛隊、航空自衛隊の初等練習機もスバルが開発から製造、整備他を担っています。

無人航空機については、防衛省向けの標的機や偵察機の他、JAXAとは共同で実験機の研究開発を行ってきました。また、ペイロードが100kgあるRPH2は、自社開発した大型無人ヘリコプターです。

「空の移動革命」プロジェクトに参加したきっかけはなんだったのでしょうか。


直接のきっかけは経済産業省に声をかけていただいたことです。空の移動革命というプロジェクトがあると。スバルとしては、従前から航空機産業に携わってきました。経産省内で別途進めているドローンの各種検討会等にも無人機メーカーの業界団体の代表として参画しています。空の移動革命に必要な各種技術分野について当社と重なる部分が多いことから、お声掛け頂いたと認識しております。

CASE車両との関係とはどのようなことでしょうか。


空の移動革命は、航空機よりももっと身近で手軽な移動手段として、「空飛ぶクルマ」の実現をめざすものです。そのための技術は、CASE車両と共通する部分があります。CASEのConnectedは、空のモビリティでは、新しい管制システムに相当します。Autonomous(自動運転)は、空のモビリティではパイロットレス飛行の技術に相当します。Sharedは、多数の機体を効率的に運行管理する取組みになります。最後のElectricは電動VTOL(垂直離着陸)と考えています。

電動化は、航空機の軽量化、環境性能の向上の切り札として注目されています。また、空の移動をもっと簡単にするためは滑走路がいらないVTOLも同様に注目されています。

自動車と航空機は昔から技術交換、お互いの応用がありましたが、CASE技術の例でいうと、スバルのアイサイトの技術を無人ヘリの詳細な高度測定に利用した例があります。農薬散布など低空で、かつ田畑など作物の状況で地表の形状が一定ではない場所での正確な測定にステレオカメラの画像認識技術が使われました。

空の移動革命の実現には技術的な課題の他、法整備やインフラなどの環境整備、ビジネスモデルの確立などがあります。スバルにとって空の移動革命における課題とは何になるのでしょうか。


安全、環境、コストの3つが課題になるだろうと考えています。安全は、人やモノを運ぶわけですからただ乗って飛ぶだけでなく安全な飛行、旅客レベルの快適さをどうやって確立するかです。

環境の課題は、CO2ではなくローターの騒音や悪天候・ビル風などの対策となります。コストは、機体製造やバッテリーなどを事業が成立するレベルにするという問題です。

最後にセミナーではどのようなお話をする予定ですか。


まず、スバルが取組む航空宇宙事業の紹介です。旅客機やヘリコプターでの実績についてあらためて解説します。

そして、さきほど述べた空の移動革命に関する開発技術や課題について、シーズ側の観点で考えてみます。ここでは、スバルが航空機事業で取組んでいる自動化と複数航空機の衝突回避技術をベースに、実用化に向けたステップを確認します。

スバルの航空事業や無人機関連の技術など、今回のインタビューでお話できなかったことも、セミナーでは詳しく紹介できたらと思っております。

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《中尾真二》

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