[最新プロセッサー事情]ハイエンドナビの“内蔵DSP”ってどうなの?

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三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ
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現代カーオーディオにおいて、なくてはならない存在となっている“プロセッサー”。そのすべてを解説しようと試みている。これまでは、概要、そして一般的な“メインユニット”や“AV一体型ナビ”に搭載されている“プロセッサー”の機能解説をお贈りしてきた。

それに引き続いて今回は、“ハイエンドナビ”に搭載されている“プロセッサー”のポテンシャルを明らかにしていく。

◆“ハイエンドナビ”の“イコライザー”はバンド数が多い!?

“ハイエンドナビ”と呼べる製品は3シリーズ存在している。三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』、カロッツェリアの『サイバーナビ』、そして『サイバーナビXシリーズ』、以上の3つだ。そしてこれらには、まさしく“ハイエンド”と呼ぶにふさわしい高性能な“プロセッサー”が搭載されている。

さて、前回紹介した一般的な“AV一体型ナビ”に搭載されている“プロセッサー”とはどのような違いがあるのか、具体的に解説していこう。

まずは“イコライザー”が異なっている。異なっているポイントは2点ある。1つは「バンド数が多いこと」、もう1つは「左右独立で調整できること」だ(カロッツェリアの2シリーズでは「L/R/SW独立」)。結果、周波数特性の乱れをより詳細に補正することが可能となる。

なお、ここで挙げた“ハイエンドナビ”の“イコライザー”のバンド数はすべて「31バンド」タイプとなっている。通常の“AV一体型ナビ”では多くても「13バンド」なので、その3倍近い数が確保されているというわけだ。

ところで、人間の耳で聞こえる音は20Hzから20kHzまでと言われていて、これは音程で言うと“10オクターブ”分に相当する。ということはつまり、31バンドの“イコライザー”では、それを31バンドに分割するので、1バンドが担当する音域は1/3オクターブ分となる。対して13バンドの場合は1バンドで1オクターブ近くの範囲をカバーすることになる。1オクターブという範囲は案外幅広い。結果、13バンドの“イコライザー”ではざっくりとした補正しか行えない。しかし31バンドともなれば、特性の乱れに対してよりピンポイントな補正が可能となる。補正をより詳細に行えるようになるのだ。

◆車内の周波数特性の乱れは、左右のchで異なっている!?

続いては「左右独立」となることのメリットを解説していこう。車内のインテリアの造形をイメージしてほしい。インテリアの造形は、左右で完全な対称形とはなっていない。例えば運転席側には、ハンドルやメーターフードがあったりする。で、周波数特性の乱れは主に音が反射することで生まれるのだが、インテリアの形状が左右で異なっているので、反射の仕方も左右で変わり特性の乱れ方も左右で異なってくる。

ゆえに、例えば2kHzにピーク(音がその部分だけ異常に盛り上がること)があったとしても、それは右スピーカーから放たれた音のみが原因だったりもする。そんなときには、左chの“イコライザー”は触るべきではない。左chから放たれる2kHzの音には問題がないのだから、そこのところはそのままにしておいた方がいいのだ。“イコライザー”が「左右独立」タイプだと、このような運用が可能となるのだ。

次いでは、“タイムアライメント”について見ていこう。“ハイエンドナビ”の“プロセッサー”では、“タイムアライメント”ももちろん高性能だ。通常の“AV一体型ナビ”では“タイムアライメント”が簡易的なのだが、“ハイエンドナビ”ではそうではない。フロント2ウェイの計4つのスピーカー(ツイーター×2個、ミッドウーファー×2個)に対して個別に“タイムアライメント”を設定できるようになるのだ。

これが可能となるのは、“クロスオーバー”が優秀だから、でもある。通常の“AV一体型ナビ”では、“クロスオーバー”が搭載されていたとしてもフロントスピーカーとサブウーファー間の帯域分割を行えるにとどまるのだが、“ハイエンドナビ”の“クロスオーバー”ならツイーターとミッドウーファー間の帯域分割も実行できる。信号を2つに分割できるからこそ、それぞれを個別に制御できるようになる、というわけなのだ。

◆『ダイヤトーンサウンドナビ』の内蔵“プロセッサー”には
スペシャルな能力が備わっている!

ところで、『ダイヤトーンサウンドナビ』の内蔵“プロセッサー”には、ダイヤトーン独自のスペシャルな能力も備えられている。通常、“プロセッサー”内でツイーターとミッドウーファー間に“クロスオーバー”をかけると、以後、ツイーター用の音楽信号とミッドウーファー用の音楽信号は別回路で伝送されることとなる。分割された音楽信号を混ぜるわけにはいかないからだ。

ところが…。『ダイヤトーンサウンドナビ』の場合は、“クロスオーバー”をかけてツイーター用とミッドウーファー用に音楽信号を分割しても、それぞれを同一回路で伝送できる。なので内蔵パワーアンプも2chあればOKだ(普通なら、スピーカーの数だけパワーアンプのch数が必要になる)。

そして内蔵パワーアンプで増幅された音楽信号は最後、スピーカーの手前に組み込まれた“パッシブクロスオーバーネットワーク”で改めて帯域分割される。ここで、混ざり合っていた信号が“プロセッサー”内で個別に制御された状態へと戻される。こうして、ツイーターとミッドウーファー、それぞれの音が個別にコントロールされることとなるのだ。

フロントスピーカーが3ウェイだったとしても同様だ。フロントの6スピーカーを個別に制御しつつも、回路は2系統(2ch)あればOKなのだ。スピーカーレイアウトが複雑化しても、システムを大型化させなくてすむ。合理的にハイエンドシステムを構築できる、というわけなのだ。

このような運用方法が可能なのは、世の中にさまざまな“プロセッサー”が存在する中で、『ダイヤトーンサウンドナビ』の内蔵“プロセッサー”のみだ。『ダイヤトーンサウンドナビ』の“プロセッサー”は、至ってスペシャルなのである。

今回はここまでとさせていただく。次回は、“パワーアンプ内蔵DSP”と呼ばれているタイプの“プロセッサー”について解説していく。乞うご期待。

最新“プロセッサー”事情、全方位解説! Part 4「ハイエンドナビの“内蔵DSP”ってどうなの?」

《太田祥三》

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