知りたいのは、安心して運転でき、省燃費で長持ちするタイヤかどうか…
欧州車の新車は、約3台に1台がコンチネンタル社のタイヤを履いて出荷されるというほど、幅広い分野で選ばれているドイツの名門タイヤ。コンチネンタルにはずっと、そんなイメージを持ち続けてきた。
日本で試乗する欧州車でも、「これはよく走るなぁ」と思うとコンチネンタルのタイヤを履いていることがよくあるし、日本車でもコンチネンタルに履き替えているオーナーさんに出会うと、「ちゃんとこだわって選んでいるのだな」と感じる。
ただ、だからこそちょっと近寄りがたいところがあったというか、普段は買い物や送り迎えがメインで、たまに家族で遠出をするくらいの使い方には贅沢すぎるのでは?と手を出しにくい雰囲気だったのが正直なところ。
それに家計を預かる身であり、一児の母でもある身としては、「銘柄や走りの良さよりも、安心して運転できることや、省燃費で長持ちするタイヤかどうかを知りたい」という気持ちも大きい。
今回はそんな疑問を解決すべく、スバル『インプレッサ スポーツ 1.6i-L』の足元にコンチネンタルのタイヤを履いて、気ままなショートトリップへ出かけることになった。
装着するのは新たに登場した新時代のハイパフォーマンス・エコタイヤ、『EcoContact 6』。“新時代”と銘打つ理由は、転がり抵抗(=省燃費)、ウェットブレーキ性能(=安心)、耐摩耗性(=長持ち)という、相反する3つの性能をハイレベルで実現しているというところ。
日本で3月より発売が開始された31サイズ中13サイズが、欧州のタイヤラベリング制度で「ウェットブレーキ性能」「転がり抵抗」ともに最高グレードを獲得しているという。
エコタイヤはこれまでにも何種類か試したことがあって、確かにスーッと軽く転がっていくので燃費には良さそうだけど、ブレーキでなかなか止まってくれない気がしたり、高速道路でちょっと頼りなかったり、どこかガッカリな部分があった。今回のショートトリップでは、そのあたりをしっかりチェックしたいと思う。
交換前と交換後で得た、その違いとは?
コンチネンタル EcoContact 6(施工協力 株式会社オートリーダーズ)
まずはタイヤショップでインプレッサにこれまで装着していたタイヤから、コンチネンタル「EcoContact 6」に交換してもらう。タイヤショップへ向かう途中で感じたことは、しっかり走るし止まるし、ノイズだってほとんど気にならないし、「これでぜんぜんいいじゃない?」と思っていた。
ところが交換して一般道を走りはじめると、路面との接地感が明らかにソフトになり、それが乗り心地にふっくらとした印象を加えている。なんというか、今までは紙を触ってガサガサした感触だったのが、フェルト生地のぬくもりある感触になったような、そんな違いだ。加速フィールやステアリングの操作感は変わらず、きちんと路面からのインフォメーションが伝わるところも、好印象。軽快にストップ&ゴーを繰り返しながら、インプレッサは首都高速のゲートへと進んだ。
清々しい青空が広がるなか、湾岸線を通り東京湾アクアラインへ。混雑する都心から海を渡って千葉県に入り、海辺や山道を存分に走ってみることにした。
一気に速度を上げて本線へ合流すると、ピシッと挙動がキマる感覚がとても爽快!アクアラインのとても長い直線では、インプレッサのボディ全体のカタマリ感が増したように、ガッシリとした剛性で守られながら走っているように感じる。ネジのひとつひとつをキュッと締め直したかのような違いだ。これが、「EcoContact 6」なのか。これまでのエコタイヤとは一線を画すところだろう。
スポーツタイヤで培った技術を応用した、非対称リブ&サイプを採用することで、運転精度と安全性を高めているという。
疲れを感じない…その理由とは?
すっかりリラックスして高速クルージングを堪能したら、到着したのは海辺の町。空がどこまでも高く、遠くまで見通せる景色に包まれて、時間までゆるやかに流れていくようだ。そろそろお腹もグゥと鳴きはじめたところで、とても素敵な一軒家のイタリアンレストラン「Rocco」を発見して、ランチタイム。
見た目にも彩あざやかなピッツァをいただきながら、ふと、いつもならずっと緊張感が続く高速道路を走ってきたというのに、そんなに疲れてないなぁと思う。
「EcoContact 6」は剛性感が高くて安心して走れたのはもちろん、そういえば車内がとても静かだったことを思い出した。大きなノイズがずっと響いていると、無意識のうちに疲労が溜まってしまうのだが、それが静かだから身体への負担が少ないのだろう。これなら、後席に子どもを乗せても声を張り上げずに会話ができるし、好きな音楽がクリアに聴けるし、家族のドライブもさらに快適になりそうだ。
エコタイヤのイメージが変わった…
さぁ、お腹が満たされたところで、せっかくなので海を眺めに出発。
昼下がりの浜辺は、さらにのんびりとした空気が流れている。少しだけ砂浜を走り、そこからは田んぼに囲まれた道をゆったりと、時には細い橋を渡ったり、湖のすぐそばを通ったりしながらのドライブ。ちょっとデコボコの道でも、乗り心地にはダイレクトに響かず、オブラートに包んでくれる「EcoContact 6」の優しさにも感心した。
こうしてのんびりと1日かけて走ってみて、私はすっかりエコタイヤに対するイメージが変わった。ヨーロッパ、特にアウトバーンで鍛えられたタイヤはやっぱり、こんなにもシッカリとした安心感があって、とても静かで、おまけに一般道も高速道路も気持ちよく走れるのに、ちゃんと燃費にも貢献してくれる。これなら、家計を預かる身としても、子どもの安心・安全を想う身としても、どちらも手に入ると納得。
「EcoContact 6」は、買い物などのチョイ乗りからレジャーまで、家族みんなのドライブをもっと素敵な時間にしてくれるはずだ。タイヤを換えるとクルマも変わるということを是非体感いただきたい。
《協力 株式会社オートリーダーズ(東京都世田谷区)》
まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。 現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。