西川社長「申し訳ない」---日産の年間配当予想、17円減配の40円に[新聞ウォッチ]

決算を発表する日産自動車の西川社長
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  • 日産自動車の決算発表

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。…………

2019年3月期決算の最終利益が前期比57.3%減の3191億円と大幅減益となった日産自動車が発表を終えたことで、自動車大手7社の決算が出そろった。きょうの各紙も各社の2019年3月期の連結業績を一覧表にして取り上げている。

それによると、7社のうち、トヨタ自動車と三菱自動車を除く5社が前期比で営業減益。最終利益でも三菱自動車を除き6社が減益となった。また、売上高は、日産とスバルが減収で、トヨタ自動車など5社が増収となった。

読売と産経は「自動車6社減益」と最終利益を見出しにしているが、日経は「自動車5社営業減益」と営業利益についての分析が中心だった。

もっとも、きょうの各紙は大幅減益となった日産の決算関連の記事が際立つ。読売は1面トップで「日産最終益57%減、ゴーン体制『負の遺産』」とのタイトルで大きく報じたほか、関連記事を経済面で「北米市場低迷、日産、ゴーン流脱却宣言」と取り上げた。

また、朝日も総合面と経済面に掲載。「事案発生以降の動揺の中で打つべき施策が遅れた。ご心配をおかけして申し訳ない」など、西川廣人社長が業績低迷を謝罪したことなどを掲載。さらに、産経、日経、東京は「拡大路線転換」とのタイトルで「立て直しを急ぐ」としているが、仏ルノーが持ちかける統合に日産は否定的で、毎日のように「脱ゴーンの課題山積」と、業績回復は容易ではないと指摘する。

決算発表の記者会見で西川社長は、朝日が取り上げたように「ご心配をおかけして申し訳ない」と繰り返し述べていたが、日産の業績不振をもっとも心配するのは日産株を保有するルノーを含めた株主ではないだろうか。

日産の株主還元は2011年度の配当金1株当たり20円から18年度の57円まで増額を続けてきたが、19年度の年間配当予想は40円。前の年度よりも17円の減配となる見込みだ。

「ゴーン逮捕」事件が発覚後も日産の株価があまり急落していなかったのは、日本の上場企業の中でもトップクラスの高い配当金に魅力を感じていた個人投資家らがウリを控えていたことも大きな要因とみられる。だが、今期17円の減配で、株価にどう影響するのか。日産株の暴落も懸念される。日産自動車の決算発表日産自動車の決算発表

2019年5月15日付

●日産最終益57%減、ゴーン体制「負の遺産」ルノーとの統合は拒否(読売・1面)

●米、関税圧力第4弾、スマホ・衣類も、中国製33兆円分(読売・1面)

●株7日連続下げ、中国関連売り膨らむ(読売・2面)

●自動車6社減益、3月期決算、米中市場低迷響く(朝日・8面)

●免許返納説得に苦悩、高齢ドライバー(読売・33面)

●ルノー排ガス装置、意図的操作と結論、仏紙報道、研究機関が報告へ(朝日・7面)

●トヨタ6役員に賞与12億円、好調な業績反映(毎日・6面)

●ゴーン被告に20億円、サウジ友人側、特捜部、訴因変更要求(産経・26面)

●日産「ゴーン路線」転換、厳しい立て直し、中期経営計画修正、販売拡大固執せず(東京・3面)

●最古のポルシェ競売へ、22億円超す(東京・6面)

●トヨタグループ、藤和不動産都内進出を発表(東京・7面)

●ドイツ車、電動化を加速、VW、EV電池を自社生産(日経・13面)

《福田俊之》

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