【VWテックデイ2019】安全思想と最新技術を体感…ドラポジ、低μ路、オーバル、登坂路、ブレーキ[動画]

VWテックデイ2019
  • VWテックデイ2019
  • お尻をシートの奥まできっちり付けた上でブレーキの踏み白を確認することが重要。
  • 新型ポロを使い、直径140mの低μ路上を旋回走行しても安定走行できることを体験した。
  • ステアリング操作で挙動を確かめるのだが、ついブレーキを踏んでしまったが、それでも新型ポロは破綻することなく低μ路を旋回することができた。
  • 体験前には、トレーナーによる模範走行に同乗することで走行のポイントが理解できた。
  • 新型ポロHighlineに装備される195/55R16タイヤ。反応がマイルドで挙動変化が少ない。
  • 新型ポロR-Lineに装備される215/45R17タイヤ。低い扁平率によりややピーキーな挙動を見せた。
  • 低μ路では新型「ポロ」で走行。HighlineとR-Lineで異なる挙動を体感した。

フォルクスワーゲン(VW)グループジャパンが栃木県栃木市にある「GKNドライブライン プルーピンググランド」で4月4日に開催した、VWの安全へ向けた最新技術の体験会「Volkswagen Tech Day 2019」。ここでは、そこで体験できたプログラムのレポートをお届けしたい。

安全装備をフルに活かすためにも正しいドラポジから

プログラムを体験する前にまずはドライビングの基本とも言える運転姿勢(ドラポジ)の確認からスタートした。せっかく装備した安全技術を活かすためにも、正しいシートポジションは欠かせないからだ。そのポイントは、お尻をシート奥にまできっちりとつけて座り、ブレーキペダルを踏みこんでも膝が伸び切らないところにシートの前後位置を合わせる。これはブレーキペダルを強く踏んだときでも身体の位置が動かないために必要なことだ。最後にステアリングホイールの位置を調整してドラポジの調整は完了となる。

次にステアリングホイールの扱い方を学習した。時計の針に倣えば両手で“9時15分”の位置を握り、背もたれに肩をしっかりと密着させる。この状態でステアリング操作は押し出すような方法でステアリング操作をするのが良いという。ステアリングを回す時は常に9時15分の位置を握るようにして、180°回転させたところで持ち替えていく。これを繰り返すことでタイヤの向いてる方向が自然にわかるようになるという。お尻をシートの奥まできっちり付けた上でブレーキの踏み白を確認することが重要。

低μ路スキッドパッドで「アクティブセーフティ/ハンドリング」

そして、いよいよVWの安全へ向けた最新技術を体感するタームに入った。

まず最初は低μスキッドパッドにおける「アクティブセーフティ/ハンドリング」だ。直径140mの低μ路で旋回走行し、意のままに操れるハンドリング性能と、優れたESCの安全機能を体験するというものだ。試乗車は新型『ポロ』で、タイヤの扁平率が異なる「Highline」仕様と「R-Line」仕様の2タイプを乗り分け、その違いを体験した。

定常円の摩擦係数は圧雪路に相当する0.3μ。旋回速度は35km/hを基本とし、ここをノーマルタイヤで走行する。最初は緩やかなステアリング操作で走行。2回目は少しラフにステアリングを動かしてクルマの挙動を体感していく。

ステアリング操作で挙動を確かめるのだが、ついブレーキを踏んでしまったが、それでも新型ポロは破綻することなく低μ路を旋回することができた。説明では、できるだけステアリングを一定に保ち、アクセルのONで徐々に外側に膨らんでいくアンダーステアを、OFFでINに向かうオーバーステアを体感するとした。一応、その体感は出来たものの、アクセル操作だけでは思うように行かず、結局はステアリング操作も併用する形になってしまった。

ただ、コントローラブルだったのはタイヤの扁平率が高いHighlineの方。挙動が緩やかでアクセルのON/OFFを繰り返しても慌てることは少なかった。それに対し、R-Lineはその挙動がはっきりと出てくるため、ラフにステアリングを操作するとよりシャープにその傾向が現れた。その意味でメリハリが効いた挙動を好むならR-Lineがいいが、マイルドな動きを好むならハイラインが良さそうに思えた。

トレーナーによれば、これだけの低μ路でも破綻なく走れるのはESCの効果が効いているからなのだという。ポロにはESCのON/OFFスイッチがなく、その効果がわかりにくかったが、他メーカーのクルマだともっと曲がらない場合もあるらしい。こうした滑りやすい路面でも安定した走行ができるのもフォルクスワーゲン車の特徴だと説明された。

外周オーバル路を使った「ACC/レーンキープアシスト」

外周オーバル路は全周1.8km。この区間を使い、アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)や「レーンキープアシスト」を体験した。ACCでは先行車の後ろにつくだけで完全自動で追従すること、「レーンキープアシスト」では車線を逸脱しないようステアリング操作をアシストする。

右側車線から追い越しした車両が割り込んでくるシーンも想定。この状態でも速度を自動調整して隊列を守った。試乗車である『パサート』には、高速域から0km/hの完全停止まで追従する全車速追従機能付きACCが装備されている。今回の試乗では、直線で70km/h前後、コーナーでは40km/h前後で走行したが、その間、速度変化があったにもかかわらずアクセルペダルもブレーキペダルも一切操作することなく先行車に追従した。また、途中で隣の車線から割り込むシーンでは、自車よりも速度が高いという状況下でもあり、しっかりと速度を制御して対応。幅広いシーンでの制御を行うACCの使い勝手の良さを実感した。

直線路では車線変更時に効く「レーンキープアシスト」を体感。ウインカーを出さずに車線をはみ出しそうになると、ステアリングにテンションがかかって中央に戻そうとする。これによって“うっかりはみ出し”の危険を防止するだけでなく、緩やかなカーブでのステアリング操作もアシストしてくれるわけだ。ロングドライブでは細かな制御が披露の積み重ねにつながるわけで、そうした意味でもこの効果は大きいだろう。

登坂路で「4Motionによるヒルディセントアシスト」

VWでは四輪駆動システムのことを「4Motion」と呼ぶ。今回はその特長を活かす「4Motionによるヒルディセントアシスト」を体験する場が用意された。試乗車は「ティグアン TDI 4MOTION」。現在、VWジャパンが輸入する唯一の4WD方式SUVだ。前回の体験会には4MOTIONを試す機会は用意されなかったが、今回は傾斜地でもノーブレーキで安定して下ることが出来るヒルディセントアシストをメインに体験することとなった。

上り20%の傾斜路には圧雪路に相当する摩擦係数0.3μの路面と氷結路に相当する同0.1μの路面が仕組まれている。ヒルディセントアシストは下り勾配で車速を2~30km/hの間で固定して走行できるというもの。体験コースは20%と30%の二つの傾斜を持つ登坂路で、このうち20%の登坂路には、圧雪路に相当する摩擦係数0.3μの路面と氷結路に相当する同0.1μの二つの路面が右輪のみにかかるよう準備。さらにその先には0.3μの路面が4輪にかかる場所が用意されていた。この体験ではヒルディセントアシストが効くようドライビングプロファイル機能をすべてオフロードモードに切り替えて走行した。

最初のトライアルでは上りの登坂路上で前輪右側を0.1μ、後輪右側を0.3μの路面に乗るところまで進んで一旦停止。そこから緩やかに発進すると車体は何の違和感もなく動きだし、続いて全輪が0.3μの路面で再び停止。この状態となってもティグアンは登坂路をスムーズに登り切った。ただ、2回目のトライアルで少し強めにアクセルを踏むよう指示されると、さすがに車輪が空転。車両はやや右に頭を振った。少なくとも緩やかなアクセルワークで発進すれば滑りやすい路面でもほぼ完璧に対応できるようだ。

続く30%傾斜地での下りではヒルディセントアシストを試す。この時は軽くアクセルを踏んで20km/hまで加速してみた。その後はアクセルを離してもブレーキを踏まなくてもその速度で下っていく。実に快適だ。また、この機能は後退時にも効く。これはトレーナーがデモ走行として実演してくれたが、その効果に改めてメリットを感じさせてもらった。

ヒルディセント機能自体は、多くの4WD車に搭載され、機能として決して珍しいことではない。前進と後退の両方で機能するのも同じだ。しかし、下る際の車速調整は多くのメーカーがレバー方式やステアリングスイッチ方式を採用するのと違い、VWではアクセル操作で行なう直感的な使いやすさが特徴だ。使うべきシーンに遭遇した時、この扱いやすさは大きなメリットとなるだろう。

ブレーキエリアで「アクティブセーフティ/ABS」

アクティブセーフティ性能の体験では、急ブレーキをかけた時のフロントの沈み込み(ノーズダイブ)によるABSの効果と、ブレーキを踏みながら障害物の回避する複合的な体験となった。トレーナーからの説明では「VW車は沈み込みが少なく、急制動をかけてもリアタイヤがしっかりと接地している。VW車が安定したブレーキ性能を発揮できる理由はここにある」という。

急制動をかけた瞬間のゴルフ。前が沈み込んでいるがリアはそれほど持ち上がっておらず、しっかりリアが接地しているのがわかる。速度は80km/hまで上げて指定位置で急制動をかけ、さらに障害物を避けることを想定してステアリングを左に切ったところで停止させる。路面にはスキッド音を低減させるのと滑りやすくなるよう水がまかれているが、こうした状態でも安定して止められるのがフォルクスワーゲンならではの安全性能というわけだ。

体験で気付いたのが、急制動をかけた際に伝わるABS特有の振動がなく、ステアリングを切った方向へ確実にクルマの向きを変えられたことだ。それが80km/hもの比較的高い速度域でこれだけの結果を出せたわけで、それには正直驚かされたという他はない。ただ、トレーナーは日本のドライバーはブレーキの踏み方が甘い人が多く、せっかくクルマが持っている制動力を発揮できていないと指摘。この日は無線を通してブレーキの踏み方を逐一チェックして伝え、理想的なブレーキの踏力を学習できる貴重な機会となった。

また、衝突被害軽減ブレーキはVWのベーシック車である『up!』に標準搭載されている赤外線レーザー「シティエマージェンシーブレーキ」を使って実施された。方法は、25km/hで走行してクルマの画を描いた風船にノーブレーキで向かうというもの。衝突軽減ブレーキのテストでよく見かける手法だが、UP!を使ったのは何故か。それはゴルフやポロで使用するミリ波レーダーでは風船を認識できないことがあるからだ。

up!に搭載されている「シティエマージェンシーブレーキ」の動作範囲は5km/h以上~30km/h未満。そこで、今回の体験会では25km/hで設定。風船に向かう際はステアリングの操作は一切しないで直進することとした。やってみると速度を25km/hに維持するのが意外と難しい。ただ、30km/hを超えて風船に向かった場合は、手前で停止することは出来ずに風船に突っ込んでしまった。やはり、制御範囲は頭に入れておく必要はあるだろう。

イベントを通してVWの安全思想を実感

プログラムを振り返ると、VW車が持つ基本性能の高さを知ると同時に、非日常の急制動や低μ路での走行などを体感できた、またとない機会だったと言える。安全装備を有効に動作させるにはクルマとしてボディやシャシーの性能が高いことが欠かせないというトレーナーの説明が印象深い。今回のトライアルが安心して体験できたのもそうした裏付けがあったからこそなんだと思う。特に正しいドラポジが危険回避には欠かせないことを、様々なプログラムを通して自ら体験できたのは大きな収穫だったと言っていい。

ただ、前回は体験できた「プロアクティブ・オキュパント・プロテクション」について用意されていなかったのは残念だった。これは、事故発生の可能性を予測して早い段階で乗員保護機能の作動に備えるという装備。事故発生時に各エアバッグが最大限の効力を発揮できるように備えるためのもので、急制動やクルマの極端な荷重移動を検知して事故発生を予測。瞬時にシートベルを強く締め、同時に開いていたウインドウやサンルーフを自動で閉じるのだ。乗員保護を最優先に考えるVWらしい装備で、これはぜひ体験しておきたいと思った次第だ。

《会田肇》

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