説明会・三菱ふそう『エアロクィーン』『エアロエース』2019年型…左巻き込み防止など

左側方の巻き込み事故に大型観光バスとして初対応

緊急停止ボタンを運転席だけでなく客席側にも装備

事故発生時に燃料ホースの流れを止める

2019年型大型観光バス「エアロクィーン」を前に、三菱ふそうトラック・バス株式会社 代表取締役会長の松永和夫氏(左)と同バス事業本部長の高羅克人氏
  • 2019年型大型観光バス「エアロクィーン」を前に、三菱ふそうトラック・バス株式会社 代表取締役会長の松永和夫氏(左)と同バス事業本部長の高羅克人氏
  • 2019年型大型観光バス「エアロエース」「エアロクイーン」の変更点
  • アクティブ・サイドガード・アシストで使われるミリ波レーダー。上下で異なった指向性を与えている
  • アクティブ・サイドガード・アシストのランプは運転席左側にある。重要度に応じて黄色→赤色と変化する
  • 左折時に警告が続くとシート左側のバイブレーションが作動する
  • 運転席のドライバー用非常ボタン。ドライバーがこれを押すと即時に停止動作に入る
  • 客室右側の乗客用非常ボタン。客室前方の左右2カ所に設置されている
  • 時流に合わせてLED式をヘッドランプとフォルランプに採用

三菱ふそうトラック・バスは2月21日、2019年型の大型観光バス『エアロクィーン』と『エアロエース』を発表した。LEDヘッドライト搭載に伴いフェイスリフトしたほか、左側方の巻き込み事故対策や、ドライバー異常時の緊急停止ボタンなどの安全装備を充実させている。

左側方の巻き込み事故に大型観光バスとして初対応

21日に発表に先立ち、三菱ふそうは新搭載した安全装備についての説明会を開催した。バス開発部長の伊藤貴之氏は、エアロエースが2017年型ですでにメカニズム面で「革新的な変化」を遂げていることを強調。その上で、2019年型での安全装備の追加によって、「日本国内における最先端の安全装備を搭載する大型観光バスになる」とした。

その安全装備は多岐にわたるが、最も注目すべきが左側方の巻き込み事故対策として搭載した「アクティブサイドガードアシスト」である。このシステムはすでに同社が発売中の大型トラック『スーパーグレート』に搭載されているものだが、エアロクィーンとエアロエースでは左後輪の少し前方に、指向性を少しずらして設置したミリ波レーダーを2基搭載する。

アクティブ・サイドガード・アシストで使われるミリ波レーダー。上下で異なった指向性を与えている
このレーダーは、6歳ぐらいの子供でも立っていれば検知できる高さで、「同じダイムラーグループのバスでは前輪近くにレーダーをつけているが、日本の道路事情を踏まえて後輪近くに設置した」(伊藤氏)という。前方の検知についてはサイドビューカメラがその役割を果たし、「この双方のセンシングによって事故の発生を未然に防止できる」(伊藤氏)と説明する。

このシステムに自動ブレーキの制御はないが、運転席のインパネ左側に設置された△のイルミネーションが点灯する。最初の検知時は黄色で点灯し、さらにウインカーやステアリング操作を行うと赤色に切り替わり、同時にシートの左側がバイブレーターとして危険を警告する。

ここでなぜ自動的にブレーキをかけないのか疑問に思うが、伊藤氏によれば「大型バスでは乗客保護の観点も忘れてはいけない。あくまでドライバーがブレーキをかけるスタンスでいる」とした。

緊急停止ボタンを運転席だけでなく客席側にも装備

続く注目装備が、ドライバーの異常時に使う緊急停止ボタン「ドライバー異常時対応システム」である。これは国土交通省が3年前に策定したガイドラインに沿って搭載したもので、ドライバーの急病といった異常時にバスを緊急停止させる機能。乗客が押すボタンが客室内の前方2カ所にあるほか、さらにドライバー自らが押すスイッチも装備される。

客室右側の乗客用非常ボタン。客室前方の左右2カ所に設置されている
動作の流れとしては、客室にあるスイッチのカバーを外してボタンを押すと、その時点から車内に警告ブザーや警告灯が作動。3.2秒後に自動的にブレーキがかかってホーンを鳴らしながら、0.25Gの減速度で同一車線内に停止する。仮に誤って(いたずらも含む)ボタンを押してしまった場合はドライバーがキャンセルすることで急停止を防止できる。

一方でドライバー側のスイッチを押した場合には即座に減速がスタートする。さらに、このシステムが動作した際には、標準搭載した通信機能「バスコネクト」を介して運行会社に自動通報される仕組みとなっている。

21日の発表会では「このシステムを従来車にも取り付けられるように時期を見ながら対策を考えていきたい」との説明もあった。

事故発生時に燃料ホースの流れを止める

19年型エアロクィーンとエアロエースでは「火災延焼防止装置」も装備された。これは事故発生時に燃料ホース内の流れを自動的に止めるもので、伊藤氏によれば「通常は事故は起きても燃料ホースが切れることはないが、万一、タンクの低い場所でホースが切れた場合に燃料が流れ出ることを防ぐことができる」という。さらに「事故によって高温になった部品が散らばり、それが燃料に触れて火災を誘発する可能性も否定できない。この装置はそれを防止する目的もあった」(伊藤氏)と説明した。

エアロクイーン
フェイスリフトは新たに標準採用したLEDヘッドライトとLEDフォグランプの装備に伴うもので、三菱ふそうのブランド・アイデンティテイとも言える「ふそうブラックベルト」デザインをマイクロバス『ローザ』に続いて取り入れた。ミリ波レーダーの取り付け部も新デザインとし、基本ボディは従来車と共通ながら見た目のイメージは大きく変わった印象を受ける。

今後の販売見通しについては4月の発売から12月までに600~650台をユーザーに収める予定。車両価格は東京地区でエアロクィーン「Premium Line」、スーパーハイデッカー(床下直冷、定員57人)が4920万2000円、エアロエースの「Premium Line」ハイデッカー(天井直冷、定員62人)で4681万円。実際に取引される価格は個別案件につき明らかに出来ないとしながらも、安全装備の追加したことによる価格アップは40万~60万円程度であると説明された。

『エアロクィーン』『エアロエース』2019年型発表…安全装備を充実[詳細画像]

《会田肇》

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