【アバルト 595 コンペティツィオーネ 試乗】ついにアバルト595にCarPlayが搭載 これからの時代を牽引するのはオシャレで賢いアウトローな1台 高山正寛

若い頃の記憶が蘇る!?痛快な走り!

595のインパネにジャストフィット、そして特別な処理が…

iOS12の登場は革命である!

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アバルト 595 コンペティツィオーネ Uconnect インプレッション
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若い頃の記憶が蘇る!?痛快な走り!

「なるほどこれは面白い!」久々に乗ったアバルト、それも595のさらに高性能版である「コンペティツィオーネ」は市街地から高速まで「キレッキレッ」の走りが堪能できる。元々、595に搭載されていた1.4L直4DOHC16バルブインタークーラー付きターボエンジンはさらにチューンされ最高出力は121kW(165ps)から132kW(180ps)に最大トルクも210N・m(21.4kg-m)から230N・m(23.5kg-m)に向上、エキゾーストシステムなども専用化されている。
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試乗車は5MTだったが、昨今のMT車と比べると(若干だが)シフトストロークは長めだ。それでも設置場所がやや高めにあることで腕の短い筆者でも操作が楽で本当に「スパスパ」と決まる。コンパクトなボディにハイパワーエンジンと踏ん張りの利く足回り、そして抜群の回頭性、30年位前に流行った「ボーイズレーサー」ではないが、ちょっと若さを取り戻せるような魅力が詰まっている。
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そんな595 コンペティツィオーネが2018年9月に一部改良を行った。ラインナップに新たに追加されたのが「Uconnect(ユーコネクト)」と呼ばれる専用のインフォテインメントシステムだ。「走りのクルマなんだから、そんなシステムは無くても問題はない」、正直自分の周りでもそんな声を聞く。偏っているとは言わないが、世のトレンドを見る限りではオーディオ&ビジュアルを含めた情報ツールとしての同システムは高性能車でも当たり前の装備として認識されている。
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過去はかなり残念だった595のシステム

では「Uconnect」はどのようなインフォテインメントシステムなのか?その前に昨今の流れを知っておく必要がある。クルマの中における情報システムとしては「ナビゲーション」「オーディオ」そしてハンズフリーによる「電話」が主力となる。

これまで595の場合は、(1)専用デザインのオーディオ(これはこれで使いやすかった)にオンダッシュのポータブルナビゲーションを取り付ける方法、(2)5インチのディスプレイを持つ専用システム、そして(3)インテリア周辺をプロショップに依頼してそっくり交換、ここに2DINの市販AVナビを装着するのが概ねの選択肢だった。しかし、現実(1)ではせっかくのインテリアの良さや視界がスポイルされるし、(2)はそもそもカーナビ機能が無い。そして(3)は理想とはいえ、これらのインストール(装着)料金は高コストでおいそれと手が出させるものではなかった。

595のインパネにジャストフィット、そして特別な処理が…

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新たに設定された「Uconnect」は7インチのディスプレイを持ち、世界中で採用されているAppleの車載用システムである「Apple CarPlay」とGoogleが展開する「Android Auto」の2種類が使えるようになったのが最大の特徴だ。ユニットは595のセンスを引き立てるように曲面を使い、全体をメタル調で囲っている点もセンスが良い。

基本操作はタッチパネル方式だが、ディスプレイ両サイドには音量調整(電源含む)や曲の頭出しなどが可能なメカニカルスイッチを配置、これ自体も直感的に使いやすいが、実はこれらの機能はステアリングにも組み込まれており、音声アシスタントである「Siri」なども手を離すことなく操作ができる。
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また個人的に良い、と感じたのがディスプレイに「耐指紋用のコーティング」が施されている点だ。昨今のカーナビには地図の見やすさや発色を重視してガラス面と液晶の間に「ボンディング処理」を行う商品もある。確かに発色は良くなるが、スマホでも体感するガラス面に付く指紋(皮脂)が気になる人は結構多い。
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しかし「Uconnect」の場合はこれが結構少ないのだ。もちろん電源をオフにすれば皮脂は目立つが使用時には気にならないレベルに仕上げている。

正直キツかった「CarPlay」のナビ機能

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さて実際試乗するに際し、自前の「iPhone7」と別途「Android Auto対応」の端末を用意した。これまでこの2種類のOSを使う際、カーナビ機能に関しては「Android Auto」の方が圧倒的に優れていた。

理由は簡単である。Android Autoは多くの人が使っている「Google マップ」をベースに開発されており、これを活用するナビ機能は交通(渋滞)情報を活用したルート案内や地図自体の施設のスクラップ&ビルドに対応していた。

一方「CarPlay」の地図を活用したナビ機能はどうしても見劣りしてしまうのが現実だった。

iOS12の登場は革命である!

しかしそこに大きな転換点が訪れる。2018年9月にリリースされたオペレーションシステムである「iOS」の最新版となる「iOS12」である。常にアップデートを続けるスマホの世界においてiOSも同様に進化を続けているが「CarPlayで他社製のナビゲーションAppを使用可能」というリリースに目が飛び出るほど驚いた記憶がある。

テスト時に対応していたアプリは4種類。これまでの「マップ」、ここに「Google マップ」「Waze」そしてカーナビアプリでは高い評価を誇るナビタイムジャパンの「カーナビタイム」になる。

まずは「Googleマップ」が使えることは朗報以外の何物でもない。あの高性能ナビ機能がiOS機器で使えることは多くのAppleユーザーが待ち望んでいたからだ。「Uconnect」のUSB端子にLightningケーブル経由でiPhoneと接続、画面上に表示されるアイコンは紛うことなき「Google マップ」そのものである。

地図の見え方自体も音声案内に関してもAndroid Autoとの違いは感じることはない。何よりも基本無料で使える点はやはりありがたいし、iPhone(iOS)ユーザーにとっては一気に利便性が高まったと言える。

また2018年11月1日からより高い自車位置精度を実現する準天頂衛星システムである「みちびき」が24時間対応をスタートさせた。機種にもよるが筆者のiPhone7を初め、最新モデルはこれに対応する。

もちろんみちびきが持つ“超”の付く測位能力を実現するには専用の機器が必要だが、それでもオフィス街のビルの間を走った際などはその差も感じる。実際専用アプリで天空上にはみちびきが確認できた事も補足しておく。

有料だがさらにその上を行くアプリ

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筆者的には日常的に複数のカーナビアプリをテストしているが、前述した「カーナビタイム」がCarPlayに対応した点も高く評価している。有料ゆえに手が出しづらいと感じる人もいるかもしれないが、仕事でクルマを使う人(自分もその1人)などはこのアプリはオススメである。例えば新規開通する高速道路はもちろんだが、近隣に出店するコンビニなどの情報のアップデートは体験上、このアプリが一番早い。体験版もあるのでCarPlayを使うのであれば候補に入れておいていいだろう。

レスポンス良し、ちょっとした配慮に感謝

アプリの話が少し多くなったが、肝心の「Uconnect」の良さは当然触れておかなければなるまい。タッチパネル&ステアリングスイッチによる操作性の高さは前述した通りだが、そのタッチ時のレスポンスもなかなか良好だ。メニュー画面のスクロールなども、いわゆる“ひっかかる”感じも少なく快適な部類に入る。

またディスプレイ下部に表示されるメニュー画面によるダイレクトな操作感はもちろん、設定画面を開くとカスタマイズ性の高さに驚く。そして普通あまり気にしないかもしれないが、実は日本語の“フォント”が非常に美しいことに気がつく。

普通、海外で開発されたこの手のシステムは日本語のフォントにジャギー(ギザギザ)が発生したりして文字自体が見にくいケースも多い(海外製のスマホやタブレットなどではまだまだ存在する)。しかし「Uconnect」のフォントはそうではない。地域に合わせた「ローカライズ」はコストもかかるものだが、きちんと仕上げている。それだけ日本の市場も重要視しているという現れではないだろうか。

アバルトを積極的選ぶ理由が増えた

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冒頭に述べたようにクルマ選びにインフォテインメントシステムが影響するか、と聞かれたらやはりそれはクルマの魅力が最優先されるのは当然だ。それでも「こういうシステムがあれば購入を後押ししてくれるのに」と思っている人もそれなりにいるはずだ。

595はかなりイケてるクルマではあるが「Uconnect」の搭載でクルマとしてのコスパもさらにアップしたと感じている。コンパクトで(極めて)高性能なクルマを所望している人には積極的にプッシュしたい1台である。

◆Uconnect搭載の新しいアバルトをもっと詳しく

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高山正寛|ITS Evangelist/カーコメンテイター/AJAJ会員
1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車記事を担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関わる。カーナビゲーションを含めたITSや先進技術のあらゆる事象を網羅。ITS EVANGELIST(カーナビ伝道師)として自ら年に数台の最新モデルを購入し布教(普及)活動を続ける。またカーナビのほか、カーオーディオから携帯電話/PC/家電まで“デジタルガジェット"に精通、そして自動車評論家としての顔も持つ。リクルート出身ということもあり、自動車をマーケティングや組織、人材面などから捉えるなど独自の取材スタンスを取り続けている。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

《高山 正寛》

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