【スバル フォレスター 新型試乗】フォレスターの真の良さが伝わる「プレミアム」…中村孝仁

試乗記 国産車
スバル フォレスター 新型(プレミアム)
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新しい『フォレスター』には、ハイブリッドモデルの「アドバンス」、それにオフロードを意識した「X-BREAK」、それに今回試乗した「プレミアム」の3モデルが存在する。

このうちエンジンが異なるのはアドバンスだけ。2リットルのボクサーエンジンにシングルモーターを組み合わせたハイブリッド(実質的にはマイルドハイブリッド)モデルだ。今回試乗したプレミアムとX-BREAKは、いずれも2.5リットルのボクサーエンジンを搭載する。

以前に先代フォレスターに試乗したのはもう3年も前のこと。と言ってもその間に借り出してい試乗はしているのだが、原稿を書いたのは3年前という話。その時、いわゆるマイナーチェンジだったフォレスターの進化ぶりに驚かされたことを覚えている。細かい部分の改良を積み重ねた結果として、出来上がったモデルが素晴らしかった。そして今回、まだクローズドコースという限定された試乗ではあったものの、その実力は感心させられた先代を、また一段引き上げるものであったことは間違いない。

スバルの試乗には、このところいつも伊豆にあるサイクルスポーツセンターが使用される。全長5kmほどのコースを周回するものだが、今回は若干ショートカットされて、4kmほどだったようだ。そしてもう一つ異なっていたのは、スタートしてすぐに作られていたパイロンスラロームの位置が、スタート後100mほど先になっていたことだ。実はこれ、スバルの自信の表れだったようにも思う。

というのも、100m先に移動させた結果、そこはなだらかな下りのコース。つまりそこで、スラロームをしろというわけだ。下りでスラロームは、当然ながらノーズに負担がかかってアンダーが出やすく、発散し易い状況なのだが、これが今までのように平地で行っていたスラロームとさして変わりない運動性能を示してくれた。試しに旧型で同じところを走ってみると、やはり「おっとっと!」となる。新しい骨格、SGPが如何に良くできたものであるかを、ここで体感させようという仕組みだったかもしれない。

実はSGPの良さを感じられるのはそれだけではない。やはり乗り心地と静粛性が顕著に向上している。新しいのにまず乗って、そのすぐ後でで古いやつに乗ると、その差は顕著に体感できるのだ。単純に乗り心地が良いというフレーズで片付けられない。このコースは新たにショートカットされた結果、そのショートカット部分がタイトな左コーナーで、さらに本コースに戻るために結構な登り坂となる。しかもほんの一瞬。だから、意図的にそこを飛ばしていくと、極論するとジャンピングスポットのような場所となるうえ、ドライバーからは一瞬路面が見えなくなる場所なのである。

ここを同じようなスピードで進入していくと、旧型でまさにフロントが完全に設置感を失ったような印象(あくまでも印象で失ってはいない)になるのに対し、新型はきっちりとした設置感を残してくれる。つまりあたかもサスペンションのストローク量が大きく増えた印象すら与えるのである(実際にストローク量が増えているか否かは聞かなかった)。だからコーナリング中はどのコーナーでも懐の深さを感じさせてくれる。

新しい2.5リットルユニットは、『レガシィ』のそれとは異なり直噴化された。性能的にもレガシィの2.5リットルと比べて、パワー、トルクともにアップしているが、2リットルを搭載したいわゆる「e-BOXER」と比較しても、少し長めの登り坂で加速するようなシーンでは、明らかにミドルレンジのトルクが厚い印象で、どのようなシーンでもストレスを感じない加速感が得られる。NAの設定しかないが、このトルク感ならばNAで十分という感触も受けた。

価格的にはアドバンスよりも若干安い設定。アドバンスは最新技術を集積した結果、高価になっているが、今の技術で快適なクルマが欲しいというのであれば、こちらがお勧め。真にフォレスターの良さを伝えてくれるモデルもこちらなのではないか?という印象を受けた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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