KYBのサポートを得たモリワキ、復帰2年目の勝算…鈴鹿8時間耐久ロードレース 2018

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KYB MORIWAKI MOTUL RACINGの参戦マシン
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名門モリワキレーシングは今年の「"コカ・コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第41回大会」(鈴鹿8耐)からKYBをスポンサーに迎え、チーム名も新たに「KYB MORIWAKI MOTUL RACING」として戦いに臨む。

マシンは昨年同様、ホンダ CBR1000RR モリワキ改。ライダーも昨年同様にモリワキから全日本JSB1000に参戦する高橋裕紀と清成龍一、そして第3ライダーに英国スーパーバイク選手権で活躍するダン・リンフットを再び起用する。全日本復帰2年目の今季は目下、高橋選手がポイントランキング4位、そしてチームもヤマハ、カワサキ、ホンダHRCのファクトリー勢に続いて4位と好調だ。

公開テストが行われるなか、KYBモータースポーツ部の小倉秀昭部長、モリワキ創業者でチーム総監督の森脇護氏、そして2人の日本人ライダーに、新しいチーム体制や8耐への意気込みを語ってもらった。

■KYB モータースポーツ部 小倉秀昭部長

----:今年はモリワキレーシングのスポンサーとして鈴鹿8耐に挑むわけですが、その理由について教えてください。

KYBはモータースポーツに関わって約半世紀ですが、モータースポーツ部が発足したのは2017年4月。今年は種を蒔き始めた段階です。

今回モリワキさんのスポンサーになったことには、いろいろな理由があります。一番はこの「KYB」というロゴですね。以前は「KAYABA」でしたが、2005年に通称社名がカヤバ工業からKYBになったのを機に、レースでもKYBのロゴを使うようになりました。すると海外で「KYBってなに?」と思われるようになってしまって、これはまずいなぁと。特に若いライダーが知らないという状況に危機感を持ちました。

KYBブランドの認知度向上のためにも、モータースポーツへの継続的な参加が必要だと考えたのですKYBという名前がチーム名に入るのは今回が初だと思います。

----:今季のサスペンションはどう進化を遂げているのでしょうか。

今季は全日本の第4戦SUGOから新型フロントサスペンションを投入しました。コンセプトは「勝負できるサスペンション」です。結局、今の2輪レースの勝負どころって、ブレーキをバーン! とかけてコーナーに並んで入っていく時なんです。立ち上がりで加速していく時は電子制御が入るので差があまり出ない。

ギリギリのところの感覚が手のひらを通して伝わってきて「もっといける」か「いけない」か分かる。どうすればフィーリングを良く出来るか、メンバー全員で考えました。例えば釣り竿って、手で持つところが太くて硬く、先端にいくとしなりますよね。フロントフォークも2本の筒なので、前後方向の「曲げ」とか、タイヤと車体の間での「ねじれ」とか、先端だけ曲がるのか、根元から曲がるのか、ケースの肉厚を変えたり、中にあるダンパーカートリッジの特性を見直したり。ブレーキングでサスペンションが一気に縮んだあと、残ったストロークをいかに使うかでタイヤが路面に押し付けられてグリップするか、逃げてしまうか違ってしまうんです。

今回はライダーに第一印象で「これいいね」と気に入ってもらえて、我々も狙い通りのことができて良かったと思っています。KYBはモリワキのほかに、鈴鹿8耐4連覇を狙うヤマハのファクトリーチームもサポートしていて、両チームにまったく同じ構造のフロントサスペンションを提供しています。



----:長く続けてきたからこそ培うことができた技術だと思いますが、現在のモータースポーツ部における開発体制は?

KYBはやはりOEMがメインのメーカーですから、完成車メーカーには技術力の高さを知ってもらいたい。モータースポーツ部自体は現時点で15名ほどですが、社内でモータースポーツに関わっているのはルマン24時間耐久レースやスーパーフォーミュラなどの4輪レース車両も含めると200名近くいます。さらに若いエンジニアにも「面白そうな活動をしているから、あそこで自分も働きたい」と思ってもらえれば嬉しいですね。



■モリワキエンジニアリング代表・チーム総監督 森脇護氏

----:今月末の開幕を控えて、今のお気持ちは?

鈴鹿8耐というのは、どうしてもメーカーが強いレース。ただ、うちのライダー(高橋、清成、ダン)は間違いなく優勝できるライダーです。マシンも昨年はだいぶ苦しみましたが、おそらく今だったら(上位陣に)遜色ないのではないか。今年はKYBさんがサスペンションをいろいろやってくれて、どんどん良くなっています。今は走り出したら負けへんやろう、というところまで来ましたね。

----:昨年は27位完走という結果でしたが、そこからどうブラッシュアップしてきたのでしょうか。

昨年の鈴鹿8耐は、ワールド(スーパーバイク)で使っているタイヤそのままで、レースに合わせられなかった。最初から飛ばせたらトップグループと遜色ないタイムで走れたんですが、鈴鹿8耐だと(1スティントで)28周走るので、昨年のタイヤを合わせられなかった。でもピレリさんも頑張ってくれて、今年はワールドに投入して良かったものを優先的に供給してくれるようになったんです。今日は鈴鹿8耐のために開発した新しいタイヤが来るので、すごく期待しています。

昨年の鈴鹿8耐が終わった直後から、まずはうちの中でできることから直していきました。スイングアームは8種類作ってテストして、新しいリンクを投入したら、ライダーから文句がほとんど出なくなったんです。KYBさんが用意してくれた新しいフロントサスペンションもすごくいい。ただ、これがまたタイヤが変わるとどうなるか分からないんですよ。いいものがあれば全部良くなるんじゃなくて、いいものに合わせてセットアップしないといけないから。だから今度の新しいタイヤがいきなり良くなったら、それはそれで困るかもしれません(笑)。鈴鹿8耐は第1回大会から長いことやってますけど「たぶん」とか大丈夫「だろう」とか、ちょっとでも迷うようなことがあったら100%絶対にダメなんです。

----:森脇総監督のレースにかける思いを聞かせてください。

今のライダーはね、とんでもないことをやってます。300km/hで走ってきて思い切りブレーキをかけて、タイヤも滑らせて当たり前。ライダーの走りがどんどん変化しているんです。だから新しい走り方を教えることができれば、レースに勝てるようになるんです。私もいい歳(73歳)ですから、新しい人に交代していかなきゃいけないんですけど、まだ「教える」ことはできますから、若いライダーを育てたいと思っています。MotoGPに日本人を送り込むというプランもあります。最近はね、教(きょう)はいっぱいあるんです。でも、育(いく)がないんです。理屈ばっかり言って、自分は見てないとかね。やっぱり人を育てるには寄り添わないとダメですね。

■KYB MORIWAKI MOTUL RACING 高橋裕紀選手

----:今年のマシンについての感触を教えてください。

今年は開発スピードが速くて、次々と新型サスペンションが出来てくるのが印象的です。新しいフロントサスペンションがものすごく良くて、具体的にはハードブレーキングですね、鈴鹿で言ったら最終シケインのようなコーナーで安心していけるようになりました。タイヤもどんどんアップデートされて、それに合わせてサスペンションも進化している、というイメージです。

----:この先、テストから本戦までで重要視していることは?

鈴鹿については開幕2戦目の2&4で走ったんですが、8耐とは気温がまったく違うので、これから行う事前テストが重要です。ただ、KYBさんのサスペンションや序盤のグリップがいいピレリタイヤは(ハーフウェットなどの)路面状況では有利だと思っています。もてぎでの開幕戦で清成選手が表彰台に上がった時も、僕が(第3戦オートポリスで)表彰台に上った時も似たような状況でしたし。8耐はずっと晴れているとは限らないので、そこは強みだと思います。

少ないチーム員とメカニックで一致団結して、足りていない部分を補っていくと、大きな力になります。一丸となってやってやるぜという気持ちが(ファクトリーに)勝つには必要です。

■KYB MORIWAKI MOTUL RACING 清成龍一選手

----:マシンのセッティングや修正はどのように行っているのでしょうか。

ピレリで全日本を走るチームは、僕らが初めてではないかと思うんですが、データが少なくライダー個人個人の乗り方も違うなか、KYBさんが(セッティングを)合わせてくれて、パフォーマンスも確実に上がっています。

僕はバイクのことはあんまりよく分からなくて(笑)、KYBさんやメカニックに「良くして」とは言うんですけど、パーツを変えたとか、ここを変更したよ、という話を聞くと走る時に考えすぎてしまうので、あんまり説明は聞かないようにして(笑)、スタッフを100%以上信頼して乗っています。

----:本戦への意気込みを聞かせてください。

僕もファクトリーの戦い方は経験してますし、普通にヨーイドンで戦ったら(プライベーターは)正直かなり厳しいですよね。ただ、鈴鹿8耐はファクトリーでも完璧なレースは難しい。去年は雨が降ったりやんだりの状況で追い上げることも出来ましたし、上位にプレッシャーをかける位置にいればチャンスはあると思っています。

※ダン選手は7月22日に行われたブリディッシュスーパーバイク選手権の決勝レース中に転倒。 手首の骨折が発覚したため、参戦を取りやめることとなった。モリワキはダン選手の代理として、ラタパー・ウィライロー選手の起用を決定した(7月25日発表)。



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《丹羽圭@DAYS》

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