11月4日、東京モーターショー会場内で電気自動車普及協会(APEV)が主催する「国際学生EVデザインコンテスト2017」の最終プレゼンテーションと審査、表彰式がおこなわれた。最優秀賞は広州美術学院のチームが獲得した。
最優秀賞は広州美術学院のチーム「Triple Six」が提案した「EV ZERO」。球形キャビンの外周にあるローターで走行するコミューターで、軌道がどんな角度でもキャビンは水平に保たれる。急角度の登攀もできることで立体的な軌道敷設が可能となり、都市部での個人移動手段の可能性と利便性を高めるという提案だ。
授賞のポイントとして、審査委員長の中村史郎氏は「これからの大きな課題である都市化とモビリティという課題にたいして、大きな視点で物事を捉え、大胆でユニークな発想で提案していた」と説明。「フィージビリティや実現性には説得力に欠けるところもあるが、それを超える強いクリエイティブパワーを感じ、審査員一同でグランプリに決めた」とのことだ。
このコンテストは国内外の学生(18歳以上)を対象に、隔年開催されている。3回目となる今回ファイナリストに選ばれ、最終プレゼンテーションに臨んだのは合計10チーム。ビザ発給の問題で来日できなかったウガンダのチームを除き中国、イタリア、インド、フィリピンのチームも参加。英語でプレゼンテーションした。
最優秀賞のほか、協賛各社の名が冠された優秀賞の結果は以下の通り。三菱ケミカル賞:チーム「GoL」(名古屋市立大学)、ボッシュ賞:チーム「N DENKI」(首都大学東京大学院)、カーデザインアカデミー賞:チーム「EV India」(インド国立デザイン大学)、NTN賞:チーム「ebi-P」(産業技術大学院大学)、国土交通大臣賞:チーム「N DENKI」(首都大学東京大学院)、経済産業大臣賞:チーム「SAL」(千葉工業大学)。チーム「N DENKI」はダブル受賞となる。
審査員の奥山清行氏は「いまは工業デザイン、ビークルデザイン、都市デザインがひとつになる新しい時代になっていると感じる。自分も含めて、企業がもっと頑張らないと」と述べた。同じく長屋明浩氏は「想像力が未来を創っていくんだと感じた。ソリューション、ランドスケープ、スタイリングの3点が高度に噛み合っている作品が高く評価されたのではないか。明るい人類の未来があると感じた」とのこと。
審査委員長の中村史郎氏は「海外からの応募も増えたことで作品に多様性、いろいろな視点があり、審査する側も楽しめた」と総括。選考を進める過程でワークショップをおこなっていることに触れ「このコンテストは、段階を踏んで互いに刺激を与えあいながら、一緒に作品をレベルアップしてゆく。このプロセスが大事だと思っている」と述べた。
「これから先にデザイナーとしてキャリアを積むことになると、ここでお互いに刺激を与えあったということが、将来すごく大きな意味を持つことになると思う」との言葉は、惜しくも受賞を逃したチームにもエールを送るものだ。