上下移動ホームドア「改良型」が登場…小田急線の駅で実証実験始まる

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小田急の愛甲石田駅に設置された昇降バー式ホームドア。2018年3月まで実証実験が行われる。
  • 小田急の愛甲石田駅に設置された昇降バー式ホームドア。2018年3月まで実証実験が行われる。
  • 愛甲石田駅の上り線ホームに3両分だけ設置。8両編成と10両編成の列車が停車した際、8両編成は後方1両、10両編成は後方3両がホームドアにかかる。
  • 下り線ホームから見た昇降バー式ホームドア。バー下降時の高さは従来型のホームドアと同じだ。
  • 昇降装置が出てくる部分。
  • ホームドアのセンサー。バーに近づきすぎると注意喚起の案内が流れる。
  • バーの中央部には現在位置を教えるための点字が設置された。
  • ホーム上屋に設置されたセンサーが列車の停止を検知し、バーが自動的に上昇する。
  • 発車時は車掌が車両ドア・バーともに手動で閉め操作を行う。
小田急電鉄小田原線の愛甲石田駅(神奈川県厚木市)で9月24日、高見沢サイバネティックスが開発した「昇降バー式ホーム柵」の実証実験が始まった。2013年から一部の駅で実証実験が行われているタイプのホームドアを改良したもの。2018年3月まで行われる。

昇降バー式ホーム柵は、開口部をバーでふさぐタイプのホームドア。現在普及しているホームドアの多くは開口部に板状のドアを設けて左右にスライドするが、昇降バー式は3本のバーが上下に移動する。

愛甲石田駅では、上り線ホーム(新宿方面)に3両分の昇降バー式ホーム柵が設置された。10両編成が停車した場合、後方(小田原方)の3両のみホームドアがかかる。8両編成が停車した場合は後方1両のみホームドアがかかり、6両編成はホームドアがかからない位置に停車する。

新宿方面に向かう列車が入って停止すると、屋根上に設置されたセンサーが列車の停止を感知し、自動的にバーが上昇した。車両のドア開閉と、バーの下降は車掌が手動で操作。ホームにはマニュアルを携えた職員が常駐しており、列車の車掌に説明する姿もみられた。

小田急と高見沢サイバネティックスは2018年3月まで実証実験を行う予定。安全性や耐久性、視認性を確認する。

■従来型と同じ高さで視認性を向上

日本では転落事故の防止策として、都市部の駅を中心にホームドアの整備が進められている。しかし、ホームドアは開口部の位置が固定されるため、ドアの数や位置が異なる車両が混在している路線では導入しにくい。

これを解決するためには開口部の幅を広げなければならないが、板状のドアが左右にスライドするタイプの場合、ドアを収める構造物(戸袋)の幅も広げなければならない。あまり広げると隣の開口部に干渉するため、幅の拡大には限界がある。

これに対して上下移動のロープ式やバー式の戸袋は、ロープやバーの昇降装置のみ収めればいいため、設置面積が大幅に減少。開口部の幅を大きく広げることができる。設置重量も大幅に減り、耐荷重の小さいホームでも導入が可能。設置のコストや工期を減らせるといった利点もある。

ロープ式は韓国・クァンジュ地下鉄のノクドン駅に世界で初めて導入。日本でも実証実験を経て、2016年からJR西日本の東海道本線(JR京都線)の高槻駅で本格的に導入されている。高見沢サイバネティックスが開発した昇降バー式は2013年、相模鉄道(相鉄)の弥生台駅で実証実験を実施。JR東日本の拝島駅でも2015年から実証実験が行われている。

高見沢サイバネティックス社会システム本部ホームドア事業統括室の荻野茂喜氏は、ロープ式について「ロープの『たわみ』幅も考慮して設置する必要がある」などと話し、昇降バー式は狭いホームでも設置しやすいという利点があるとしている。

愛甲石田駅に今回設置された昇降バー式は、バーの長さを最大で450cmまで広げられる。小田急新宿駅の従来型ホームドアは、停車位置のズレの許容範囲が60~70cmだが、愛甲石田駅の昇降バー式は85cmまで対応した。

また、弥生台駅と拝島駅に設置した昇降バー式ホーム柵はバー下降時の高さが1.7mだったが、可動部を改良することで従来型ホームドアと同じ1.3mに収めた。ホームドアが高いとホームの見通しが悪くなり、車掌や運転士による安全確認がしにくいという課題を改善したという。

改良に際しては、視覚障害者の意見も採り入れたという。視覚障害者はホームドアをつたって歩くこともあるため、バーをつたって歩けるよう改良。開口部が広いと中心が分かりにくいため、バーの中央部に点字を設けて現在位置が分かるようにした。

実証実験に協力した小田急は、一般的な通勤形電車のほかロマンスカー用の特急形電車も運用しており、ドアの数や位置が異なる車両が混在している。昇降バー式の導入については「一つの案として検討していきたい」(CSR・広報部:山口暢一氏)としているが、今のところ具体的な導入計画はないという。
《草町義和》

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