【SUPER GT 第6戦】鈴鹿1000kmを終えてGT500タイトル戦線に異変…ニスモGT-Rがレクサス勢を凌駕して首位に

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ニスモの#23 GT-Rが、鈴鹿1000kmを終えてGT500クラスのポイント首位に。
  • ニスモの#23 GT-Rが、鈴鹿1000kmを終えてGT500クラスのポイント首位に。
  • 鈴鹿1000kmでGT500クラス2位となった#23 松田&クインタレッリ。
  • #23 GT-Rは予選12位から決勝2位に。
  • レクサス勢の#37 LC500(前)と#6 LC500(後)は、ともに通算48点。ニスモを11点差で追う。
  • 鈴鹿1000kmでは元F1王者バトンが加わった#16 ホンダNSX。
  • #16 ホンダNSXでスポット参戦したジェンソン・バトン。
  • #19 レクサスLC500に乗り組んだ小林可夢偉。
  • “ファイナル鈴鹿1000km”の決勝日観衆は45000人に達した。

27日に“最後の鈴鹿1000km”の決勝レース(今季第6戦)を終えた2017年SUPER GTシリーズ。大物ドライバーのスポット参戦もあったメモリアルレースは、GT500クラスのタイトル争いという意味でも大きなターニングポイントとなった。

来季からの鈴鹿10時間耐久レースへの新生を前にした最後の鈴鹿1000kmは、ジェンソン・バトンや小林可夢偉のGT500クラススポット参戦という話題もあり、決勝日観衆前年比3割以上増しの4万5000人という大きな盛り上がりを見せた。

可夢偉は#19 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛&国本雄資/タイヤはヨコハマ=YH)の第3ドライバーとして第3スティントの走行を担当、チームは決勝レースを4位で終えている。#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀&中嶋大祐/YH)の第3ドライバーを務めたバトンは、予選Q1と決勝の第2&第5スティントを受け持ち、こちらはペナルティやトラブルもあって決勝12位だった。

注目の両ドライバーは主役になりきれなかったが、レースはアクシデントやバトルシーン満載のスペクタクルな展開となり、最後は#64 Epson Modulo NSX-GT(B.バゲット&松浦孝亮/ダンロップ=DL)が勝って中嶋悟総監督率いるチームが久々のGT500優勝、というドラマチックな結末も迎えるなど、鈴鹿に集まった多くのファンを魅了する一戦となった。

そしてそのなかで、GT500クラスのドライバーズチャンピオン争いが大きな転機を迎えることに。

今季はレクサスLC500勢が開幕戦で1-2-3-4-5-6フィニッシュを達成するなど、序盤は日産GT-RとホンダNSXを圧倒してきた。ただ、このカテゴリーには獲得ポイントに連動するハンデ制度があるため、その影響が濃くなるにつれてレクサス勢の猛威は自然とおさまっていく。これはもちろん想定の範囲内。それでも他社勢がポイント首位に躍り出るとは誰も予測していなかったといっていいわけだが、今回の鈴鹿1000kmを終えた時点で、そのまさかが起きたのである。

ニスモの#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&ロニー・クインタレッリ/ミシュラン=MI)が、ピットストップ時のいわゆるアンセーフリリースによるドライブスルーペナルティもはねのけ、予選12位から決勝2位に入り、ドライバーズポイントを合計59点としてランク首位に浮上。48~47点に3組(5人)が固まることとなったレクサス勢の上位に対し、ポイント的にはアタマひとつ以上抜け出す格好となったのである。

2014~15年を連覇した日産勢の旗艦陣営ニスモと松田&クインタレッリに対し、まさか、というのは失礼とも思うが、ドライバー自身がレース後にポイント状況を見て「信じられない」(松田)と語ったくらいなのだから、これは奇跡的な逆転現象といっていいだろう。

なぜこんな展開が実現したのかといえば、まずはシーズン序盤、レクサス猛攻期にも可能な範囲で上位の成績を積み重ねて辛抱してきたことが下地にある。そして自分たちもある程度のポイントを加算してハンデが厳しくなったなか、それと技術的にもドライビング的にもうまく付き合いつつ、長距離ボーナスポイントがある鈴鹿1000kmに的を絞った戦いをしてきたからだろう。シーズン中のテストではそういう動きも見てとれた。

そしてそれらを後押しした要素が、他陣営も恐れるミシュランタイヤということになる。また、ブリヂストン装着のレクサス勢5騎が“みんな強い”ために星を分け合ってきたことも背景にはある。

クインタレッリは「シーズン前からこの1000kmに向けて取り組んできた」と語る。開幕前のテストでレクサス優位が見えた段階から、陣営は相手のハンデがかさむ鈴鹿1000kmを狙っていたようだ(自分たちも当初予想よりハンデが増しての鈴鹿1000km臨戦ではあっただろうが)。そして「今日は次生とふたりで完璧な仕事をして(ペナルティからの)リカバーができた」。松田も「(ペナルティがなければ)勝てたかな、と思うと悔しさもあるけど、ここまで上がってくることができた。ロニーと120パーセントの仕事ができたと思います」と充実のレースを振り返った。

残り2戦、これまでは通算獲得ポイント×2kgで決まっていたハンデ数値が、次のタイ戦では×1kgになり、最終戦もてぎはノーハンデになる。当然、レクサス勢が本来の速さを蘇らせてくる可能性は強い。タイでは59kgトップハンデの#23 GT-Rだけが17kg分の燃料リストリクター調整を受けるという要素もある(これは一概に不利とも言えないが)。それだけに松田は11点リードで残り2戦という戦況にも「自信はないですよ」と笑いながら語るが、2年ぶりの戴冠は充分その視野に入ってきたはずだ。

クインタレッリは、「去年は鈴鹿1000kmでガス欠して流れを失った面があるけど、今年はそこが違う」と話す。そういう要素も確かにある。いずれにしてもシーズン終盤、#23 GT-Rとレクサス軍団の王座攻防戦は未曾有の面白さを見せてくれそうな雰囲気となってきた。

SUPER GTの今季残り2戦の日程は、第7戦タイが10月8日決勝、そして最終戦もてぎが11月12日決勝だ。

《遠藤俊幸》

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