【SUPER GT 第6戦】最後の鈴鹿1000kmをバゲット&松浦の“中嶋悟NSX”が制す…GT300優勝は黒澤&蒲生AMG

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GT500クラス優勝の#64 NSX。
  • GT500クラス優勝の#64 NSX。
  • GT500クラスの表彰式。
  • GT300クラス優勝の#65 メルセデス。
  • GT300クラスの表彰式。
  • 鈴鹿1000km恒例、レース後の花火。
  • GT500クラスのスタート。ポール発進の#24 GT-Rは決勝5位。
  • GT500クラス決勝2位の#23 GT-R。
  • GT500クラス決勝3位の#100 NSX。

27日、SUPER GT第6戦「鈴鹿1000km THE FINAL」の決勝レースが行なわれ、GT500クラスでは中嶋悟総監督が率いるチームのホンダNSX、ベルトラン・バケット&松浦孝亮が優勝を飾った。GT300クラス優勝は黒澤治樹&蒲生尚弥のメルセデスAMG GT3。

SUPER GTとして、そして1000kmとしては最後の“鈴鹿夏耐久”が決勝日を迎えた。F1系大物選手のスポット参戦という要素もあり、観客数は前年決勝日比で1万1000人増の4万5000人に達した。

熱暑下での過酷な1000kmバトルは12時38分にレーススタート。GT500クラス15台、GT300クラス30台の計45台が“最後の鈴鹿1000km”に挑む(GT300にはマシントラブルのためかピットスタートの車両あり)。ドライバー交代を伴うピットストップを原則5回以上義務付けというルールがあるため、基本戦略は5ストップ/6スティントになる。173周なので、均等割りした場合の1スティントは29周前後が目安だ。

レースはセーフティカー(SC)導入が複数回あるなど、長距離戦らしい波乱満載の展開となっていった。そのため173周をクリアする前に最大延長時刻の18時28分を迎えることとなり、GT500クラスが171周を終えたところでチェッカーフラッグとなる。

GT500の優勝を争ったのは予選3~4位の2台のNSX、#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&小暮卓史/タイヤはブリヂストン=BS)と#64 Epson Modulo NSX-GT(B.バゲット&松浦孝亮/ダンロップ=DL)だった。両車の戦いは#17 塚越&小暮の優勢で進んだが、温度条件が下がってきたところでタイヤが合ってきた#64 バゲット&松浦が形勢逆転に成功する。

そして2台は、最後に大きく明暗を分けることとなった。146周目に#64 NSXが最後のピットストップをこなしてバゲットから松浦に交代。するとその頃、まだ最終ピットストップ前だった#17 NSXはタイヤにトラブルが出てしまったようで、クラッシュを喫していたのだ(ピット帰還ならず15位完走扱い)。

ライバルの脱落で、#64 NSXは後続に対して一時は約20秒のリードを構築。松浦がそのまま逃げ切り、自身にとっては今季移籍したチームでは初となる優勝を飾った。バゲットにとってはGT500初優勝、そして中嶋悟総監督率いるナカジマレーシングにとっては10年ぶりのGT500優勝である。

日本人初のF1レギュラードライバーとしても名高い中嶋悟さんのチームが最後の鈴鹿1000kmで久々の勝利を得たことは、実に印象深い。ホンダ勢で唯一のダンロップタイヤユーザーということで、近年は単独開発の難しさに直面する厳しいシーズンが続いていたが、「何年かぶりに(優勝争いの)緊張感あるレースをしました。ドライバーも頑張ったし、クルマもタイヤも調子が良く、チームの作業もミスがなかったですね」と中嶋総監督は笑顔。「記念の時に勝てるのは幸せです。もう鈴鹿1000kmはないわけですからね」。このメモリアルウインを機に、国内屈指の強豪チームの完全復活を期待したいところだ。

優勝ドライバー会見では、「いろんな思いがこみあげてきて」という元インディドライバーの松浦が男泣き。「ホンダさんにはインディまで連れていってもらったのに、たいした結果を出せなくて…。でも今日こうやって勝つことができて、『自分が(第一線の)レーシングドライバーとしてやっていけるんだ』と思えたことが一番嬉しいです」と喜びを語っている。努力はいつか報われる、当たり前だけど難しいことの素晴らしさを実感させられる感動的な勝利であった。

GT500クラスの決勝2位は#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/ミシュラン=MI)。これで#23 GT-Rは、今季好調なレクサス勢に先んじてポイントリーダーとなっている。決勝3位はレース後半に猛追を見せた#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&伊沢拓也/BS)。

レクサス勢最上位は、小林可夢偉が第3ドライバーとして加わった#19 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛&国本雄資&小林可夢偉/ヨコハマ=YH)の4位。ポールポジション発進だった#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹&J-P.デ.オリベイラ/YH)は5位。

2009年F1王者のジェンソン・バトンが乗り組んだ#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀&中嶋大祐&J.バトン/YH)はピットでのアンセーフリリースでペナルティを受けるなど、順調なレース運びとはならず12位だった。

GT300クラスでは、1周目に最初のピットストップをこなし、実質4ストップという巧みな戦略を採った#65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹&蒲生尚弥/BS)が終盤、ポール発進だった#25 VivaC 86 MC(松井孝允&山下健太&近藤翼/YH)をコース上でパスして勝利、今季初優勝を飾った。

黒澤は「ブリヂストンタイヤとのマッチングが進んでいるので、長いスティントを走ることができました」との旨を語り、タイヤの熟成が好戦略を可能にしたことを勝因にあげた。これでGT300クラスは6戦してウイナー6組という状況になったが、#65 黒澤&蒲生がポイントリーダーとなっている。

GT300クラスの決勝2~6位は以下の通り。#25 VivaC 86 MCは終盤にクラッシュを喫しており(18位完走扱い)、ランボルギーニ・ウラカン勢が2-3フィニッシュを遂げている。

2位 #88 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学&平峰一貴&山西康司/YH)
3位 #87 ショップチャンネル ランボルギーニ GT3(細川慎弥&佐藤公哉&元嶋佑弥/YH)
4位 #60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3(飯田章&吉本大樹/YH)
5位 #10 GAINER TANAX triple a GT-R(富田竜一郎&吉田広樹/DL)
6位 #51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一&坪井翔/BS)

残り2戦となった今季SUPER GTの次戦は、タイのチャン国際サーキットに舞台を移して10月7~8日に開催される。そして鈴鹿での夏の4輪耐久イベントは、来季からFIA-GT3規定マシンを中心とした10時間耐久レースへと姿を変えて、また新たな歴史を重ねていくこととなる。

《遠藤俊幸》

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