最新のスバル アイサイトは何が違うのか…「ツーリングアシスト」公道試乗でわかったこと

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「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」では、先導車に続いてトータル約90分の行程が用意された
  • 「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」では、先導車に続いてトータル約90分の行程が用意された
  • 渋滞であってもドライバーはステアリングに手を添えているだけ。アクセルやブレーキ操作もシステムが制御する
  • ACCとレーンキープが動作すると、メーター内中央のディスプレイにある二つのアイコンが緑に変化
  • 車線を認識できない状態になってもシステムが先行車を捉えて追従するようになる
  • アイサイト・ツーリングアシストが先行車を捉えて制御している様子はMFDでも表示。ステアリングの動きもモニターされる
  • 首都高速9号線のカーブに差し掛かろうという場面。渋滞の中ならキツメのカーブであっても不安なく追従していく
  • オプションの「アイサイトセイフティプラス」には新たにフロント&サイドビューモニターも装備される
  • アイサイトのシステムが動作を停止するときはダッシュボード先端のLEDランプがオレンジ色で警告する

スバルが8月27日まで東京・六本木ヒルズで開催している「アイサイト・ツーリングアシスト体感試乗プログラム」。最新アイサイトの魅力を首都高で体験できるイベントで、参加料は無料。一般試乗が始まる前日の10日、報道関係者向け体験会が開催されたのでその模様をお届けする。

「アイサイト・ツーリングアシスト」体験試乗は首都高速を使った約90分の行程

体験できる一般試乗コースは、首都高速の都心環状線内回りの飯倉ランプから入り、浜崎JCT~レインボーブリッジ~有明JCT~辰巳JCTを経由して9号線の福住ランプで降りてUターンしてくるというもの。一般試乗では行きの六本木ヒルズ~辰巳PAまでと、帰りの芝浦PA~六本木ヒルズの区間はスバル側スタッフが運転する。行きの辰巳PAまではスタッフがアイサイト・ツーリングアシストの機能解説をしながら走行。それを把握した上で先導車に追従して試乗となるわけだ。交通状況にもよるが、所要時間は90分ほどになる見込みだという。

ただ、この日は報道関係者向けの試乗であることや、既に私がテストコースでの試乗でアイサイト・ツーリングアシストを体験してシステムを把握していたということで、先導車なしで全コースでハンドルを握らせていただいた。
渋滞であってもドライバーはステアリングに手を添えているだけ。アクセルやブレーキ操作もシステムが制御する
さて、試乗車には発売間もない『レヴォーグ1.6 STIスポーツ アイサイト』が用意された。この日はお盆休みの入る前日の10日ということで、首都高速は平常では考えられない激しい渋滞が発生していた。走りを試すなら不適当な状況であるが、この日の目的は渋滞時も完全自動追従するアイサイト・ツーリングアシストを体感すること。その意味ではお誂え向きのシチュエーションとなった。

比較的硬めのセッティングとなっているSTI仕様だったが、工事によって路面が荒れている路面上でも突き上げ感もなく乗り心地は上々。D型となってサスペンションのチューニングはグッとしなやかさが増したようだ。この乗り心地を味わいながら首都高速に入ると既に激しい渋滞が発生。さっそくステアリングの右側にあるレーンキープスイッチとクルーズスイッチをONにして追従を開始させた。「SET/+」を押し下げると、その時に走行していた速度でセットされるので、その後で上下にスイッチを動かして設定速度を60km/hに決める。ACCとレーンキープが動作すると、メーター内中央のディスプレイにある二つのアイコンが緑に変化

これで先行車に追従して加減速を行い、レーンキープが動作するようになると、メーター内中央のディスプレイにある二つのアイコンが緑に変化。また、センターコンソール上にあるマルチファンクション・ディスプレイ(MFD)では、先行車に追従している様子とステアリングが連動して回る様子も表示された。

渋滞時の走行はほぼ手を添えているだけで完璧なまでに制御

この状態で首都高の渋滞に入ると、予想通りステアリングに手を添えているだけでレヴォーグは車線を認識して走行していく。レーンの状態にステアリングに積極的にトルクがかかり、その様子はまるでクルマが意志を持って走っているかのようにも思える。さらに渋滞時の発進待機制御も加わったことで、完全に停止してから3秒間までなら再び自動発進する。今回のノロノロ運転ではそのメリットをしっかり感じ取れたのは言うまでもない。

都心環状線の浜崎橋JCTに近づくとクルマの流れがスムーズになり、設定した速度へ車速はアップしていった。そのまま浜崎JCTも通過できるかと思いきや、ここでアラームが出て設定がキャンセルされた。このキャンセルもアラームとダッシュボードの先端に表示されるLEDランプで警告されるのですぐに状況が把握できる。ただ、首都高速でキャンセルされたのはこうした急カーブのみ。車間距離は3段階のうち一番近くなる設定であったが、加減速は極めてスムーズで違和感もほとんど感じなかった。

レインボーブリッジを抜けて湾岸線と合流。ここでは「スバル・リヤビークル ディテクション」(後側方警戒支援システム)を使いながら、右から来る車両に注意しながら本線へと進んでいく。湾岸線は制限速度が80km/h。設定速度をそれに合わせるとレヴォーグは加速を始めたが、その動作はてスムーズそのもの。先行車がいないからといって急激に加速したりもしない。ドライバーが操作するように自然に加速をするのが心地良かった。

あっという間に到着した辰巳JCTでは、前例と同様、湾岸線から9号線へと進むためにカーブがキツイJCTをシステムでは対応できない。そこでブレーキをかけて減速して手動でステアリングを切って進んでいく。9号線に入ったところで、「RES/+」ボタンを押すとシステムは再びON。一旦は強めに加速するものの、ここは制限速度が60km/h。加速中に「SET/-」を4回押して制限速度に設定し直すとすぐに穏やかな加速に変化した。
首都高速9号線のカーブに差し掛かろうという場面。渋滞の中ならキツメのカーブであっても不安なく追従していく
◆「キツメのカーブはドライバーの不安をなくすためにあえて対応しなかった」田村氏

9号線を走っていくと、この日は箱崎JCTを先頭にした渋滞が始まっており、再び渋滞モードでの対応となった。試乗コースの最終地点となる福住ランプ手前ではカーブが二カ所あるが、そうしたカーブに対しても正確にトレースして曲がっていく。しかも途中で白線が消えている箇所に遭遇したが、先行車追従に切り替えて難なくこの動作を継続した。これまでも渋滞時に自動追従する車両に何度も乗っているが、ここまで安心していられる制御を経験したのは初めてだ。これなら渋滞に遭遇しても苦痛どころか、むしろ楽しんでいられる可能性が高い。

福住ランプに到着したら出口へとステアリングを切る。この時は先導車がいなかったために設定した60km/hへ加速を始めた。ここでブレーキを軽く踏んで動作をキャンセル。一般道へ出たらすぐにUターンして再び福住ランプから首都高速・9号線へと進む。

次の体験でのハイライトは9号線にあるカーブで制限速度の60km/h走行時の対応だ。当初は「その速度でシステムが車線をトレースして対応できるかもしれない」と期待はしたが、さすがにこれは無理だったらしく途中で車線を越えそうになった。そのため、自分でステアリング操作をしてその動きを修正した。やはり、自動運転のレベル2に対応した最新版のアイサイト・ツーリングアシストとはいえあくまで運転支援の領域であることは確か。運転の最終責任はドライバーにあるわけで、ここは心して対応したい。
体験試乗中はスバル・スタッフによるアイサイト・ツーリングアシストの解説も行われる
これについて、試乗した後でスバルの先進安全設計部の田村悠一郎氏に尋ねると「アイサイト・ツーリングアシストは、あくまで都市間高速の緩いカーブを対象として制御できるように設計している。実は首都高速のようなキツメのカーブでもやろうと思えば技術的には対応することは可能だ。ただ、実際に走ってみると、ドライバーが制御していない状態では恐怖感だけが残る。スバルとして安心・安全が第一に考えているため、この対応はしないこととなった。2020年までの登場を予定しているロケーターを組み合わせたアイサイトでは、道路状況も判断してカーブでの速度調整や車線変更も自動的に行うようになる。この時に初めてレベル2を超えた対応になると考えている」と語った。

その後は湾岸線~レインボーブリッジを経て浜崎JCTまでは快適なまでの走行。一般試乗では浜崎JCT手前にある芝浦PAでスタッフと運転を交代することになるため、体験試乗時間は30分ほどと予想される。しかし、発売間もない新型レヴォーグで、アイサイト・ツーリングアシストの魅力を公道で体験できるチャンスはそう多くあるものではない。進化したアイサイトを体感できる貴重な機会になると思う。

《会田肇》

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