コンクリートのひび割れを検出するAIシステム、NEDOが開発…作業時間を大幅に短縮

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ひび割れ点検支援システムのデモンストレーションの様子
  • ひび割れ点検支援システムのデモンストレーションの様子
  • 画像データを送って約30秒後にPC上に写された画像
  • 老朽化した橋はこれから加速度的に増加
  • 作業時間が10分の1に削減される
  • NEDOのロボット・AI部プロジェクトマネージャーの安川裕介氏

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月3日、表面に汚れや傷がある状態でも、写真を撮るだけで幅0.2mm以上のコンクリートひび割れを80%以上の高精度で検出するAIシステムを開発したと発表した。

もっとも実際に開発したのは、NEDOの支援を受けた首都高技術、東北大学、産業技術総合研究所の3者で、首都高技術が点検作業時に道路橋やトンネルなどからサンプルデータの収集、東北大学が路面のサンプルデータの収集と技術評価、産業技術総合研究所が画像の解析技術とシステムの開発を担当した。

高度成長期につくられた高速道路などの社会インフラは今後、建設から50年を経過するものが加速度的に増加し、それらの経年損傷へのメンテナンスが急務となっている。しかし、その一方でメンテナンスに必要な資金や専門知識を有する人材が高齢化などによって不足し、大きな社会問題となっている。

そこで、NEDOは2014年度からプロジェクトを立ち上げて、インフラ構造物の画像データからひび割れを完全自動で検出し、損傷を把握できる技術の研究開発を推進してきた。その研究開発にようやく完成し、今回の発表会に至ったわけだ。

発表会ではデモンストレーションも行われ、ひび割れたコンクリートを写真に納め、それをクラウド上に送り、AIシステムがそのひび割れを約30秒ほどで検出し、赤く表示して見せた。「これで、点検に係わる作業時間をおよそ10分の1に短縮できる」とNEDOロボット・AI部プロジェクトマネージャーの安川裕介氏は話し、2018年度末のプロジェクト終了まで、点検事業者を対象として試験利用向けにひび割れ点検支援システムをネット上に無料公開するという。

NEDOでは、試験利用を通じて、このシステムの検出精度や作業効率などの有効性を検証し、2018年度末には実用化していきたい考えだ。

《山田清志》

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