デンソーは、6月末にポートメッセ名古屋で開催した「人とくるまのテクノロジー展名古屋2017」に出展し、ダイハツの衝突回避支援システム「スマートアシスト3」に採用された超小型ステレオカメラを展示。その優位性をアピールした。
このステレオカメラは、昨年秋にダイハツ『タント』に採用されて以来、今年は『ミライース』にも搭載。それまで衝突の可能性を警告するだけにとどまっていた歩行者の検知を、自動ブレーキにまで対応したのが最大のポイントとなる。しかも、それをカメラ幅80mmという超小型ステレオカメラでそれを実現した。
このステレオカメラは緊急時の対車両に対する衝突回避支援ブレーキ機能を搭載し、他にも車線逸脱警報機能をはじめ、誤発進抑制制御機能、ヘッドライトのロー/ハイビームの切り替えを自動で行うオートハイビームなどを搭載。軽自動車の安全性向上に貢献するセンサーとして大きく貢献を果たしている。JNCAPが発表している「予防安全性能アセスメント」の衝突軽減ブレーキでも大幅な成績向上を達成。ダイハツは今後、軽自動車をはじめとするコンパクトカーに、搭載車種の拡大を目指していく計画だ。
このシステムで重要なのはそのサイズだ。通常、ステレオカメラでは必要な測定距離を確保するためにはそのカメラ幅も大きくして対応する必要があった。デンソーの超小型ステレオカメラには、光学機器メーカーであるリコーが持つ高精度なレンズ歪み補正と、ステレオマッチング技術を組み合わせた新型カメラユニットを搭載。これがステレオカメラとしての性能を発揮するのに必要な測定距離を保ちつつ、カメラ幅を従来の半分にまで小型化をもたらしたのだ。
また、ユニットの小型化にはセンサーを制御するECUをいかにコンパクトにまとめるかもポイントとなる。そこで演算量の多さに対応でき、開発期間を短縮できる集積回路「FPGA」を採用。サイズもコンパクトであることから基板への一体化が可能となり、ルームミラーの裏側に搭載できる超小型サイズを実現できたというわけだ。
一方で、このシステムにACC(アダプティブ クルーズコントロール)機能は搭載されていない。現状では軽自動車やコンパクトカーではACCの需要はあまり高くないが、今後は上級車の搭載が進むにつれてACCの搭載は軽自動車にも進んでいくと見られる。デンソーによれば「その実現にはやはりステレオカメラの幅が重要となり、現状のサイズでの実現は難しい」という。今後の進化に期待したい。