1919年に自動車の生産を始めたシトロエンは、再来年に100周年を迎える。記念すべきその時を目前に控え、昨年は前年比で10%超販売台数を伸ばしたほか、『C4カクタス』を限定販売し、最初の輸入分が即売になるなどの話題もあった。
日本におけるシトロエンの現在と未来はどうなのか。プジョー・シトロエン・ジャポンのクリストフ・プレヴォ代表取締役社長に、まず昨年の手応えについて伺った。
「潤いのある年」だった2016年
「シトロエンにとっての2016年は、一昨年の東京モーターショーから始まりました。あの場でC4カクタスを日本初公開しました。どのぐらい反応があるか確認したかったのです。予想以上でした。これはいけると判断し、10月に導入しました。当初は2017年導入としていましたが、1年後に出すことができました」
これを含めて東京モーターショーでは、新しいシトロエンの世界観を見せることができたことが大きな収穫だったと語っていた。
C4カクタス以外の車種では、『C3』については今夏上陸する新型へ切り替えのための準備を進め、『C4ピカソ』は11月にフェイスリフトを実施した。このときクリーンディーゼルエンジンも追加し、ラインナップが完成に近づいた。
「ディーゼルでもっともインパクトがあったのは『C4ハッチバック』です。お手頃感のある価格設定としたこともあり、かなりの反響がありました。その流れを11月発表のC4ピカソのディーゼルにつなげることができました。潤いのある年だったと感じています」
新しいシトロエンを見せる
シトロエンの「売り」についてプレヴォ氏がまず挙げたのはデザインだ。「これなしには訴求できない」とまで口にしていた。シトロエンに乗っている、差別化の喜びをもたらす要素として欠かせないものであり、カスタマイズを含めて今後も全面的に押し出していきたいと語る。これに加え、運転支援システムをはじめとするテクノロジーについても力を入れていきたいとしていた。
ところで以前、やはりプレヴォ氏に話を伺った同じPSAグループのプジョー・ブランドについては「SUVの年」という明確なメッセージを出しており、それに沿った新商品を投入している。ではシトロエン・ブランドの今年の戦略についてはどうか。
「新しいシトロエンを見せていきたいと思っています。その魅力を凝縮したのが新しいC3です。C4ピカソについても引き続きアピールしていきたいと考えています。同時に販売店にも新しいCIを導入していきます。ネットワークの規模と質感は改善すべきポイントだったと認識しており、「ラ・メゾン・シトロエン」というコンセプトを取り入れ、7月から順次リニューアルしていきます。今年中に4店舗が新しくなるよう進めていきます」
新型 C3 への期待に手応え
販売店については、現在の約50という拠点数は少ないと感じており、プジョーと合わせて2つのブランドを扱ってもらうディーラーを増やすべくアプローチを掛けているとのこと。また既存のプジョーのネットワークでシトロエンのサービスを受け入れてもらえるようにもしているそうで、ユーザーにとっては歓迎すべき動きだ。
「新型C3については発売に先駆けて、4月から全国11の販売店でロードショーを展開しており、かなりの手応えを感じています。遠方から見に来たり、国産車を含めた他のブランドに乗っている人が訪れたりしており、受注も集まっています」
新型C3については昨年秋にスペインで試乗している。パワートレインをはじめテクノロジーは最新水準に達しており、加えてシトロエンならではのデザインの楽しさにもあふれていて、日本でも人気になりそうだと予想していたところだった。売りのひとつであるボディとルーフの色の組み合わせも16タイプ用意しているそうで、かなり力を入れていることが伝わってきた。