【MX-5カップジャパン 第3戦】テストデーで初ドライブ、その感触は?…レスポンスチーム参戦

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グローバルMX-5カップジャパン 第3戦 もてぎ テストデー
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6月18日、レスポンスはツインリンクもてぎで開催される「グローバルMX-5カップジャパン」第3戦にチームとして出場する。そのドライバーを務めるのが私、松田秀士。そして今回は、MX-5カップテストデーに参加し実際に走行してきたので、そのレポートをお届けしようというわけだ。

目指せラグナセカ、本格レースが日本でも開催

では、まずMX-5カップについて説明しよう。マツダ『ロードスター』によるワンメークレースMX-5カップは今年から日本でも開催されるようになったレースイベント。これまで、「パーティーレース」や「プレス対抗4時間耐久レース」など、主に筑波サーキットをメインに行われてきたロードスターのレースは日本にもあったけれども、MX-5 CUPはグローバルなもので、とくに米国では非常に人気のあるレースイベントだ。クラスは、45分間を一人で走行するグローバルクラスと、決勝中に1回以上のピットインが義務付けられる、ドライバー交代可能なエンブレムクラスの2つが設定されている。

米国では、2006年から先代ロードスター(NC型)によってMX-5CUPが開催され、現行モデル(ND型)にチェンジされたのが昨年の2016年。昨年は開幕戦から40台が参戦するという盛況ぶりで、全10戦のシリーズ戦で熱いバトルが展開された。10月にはラグナセカサーキット(米国カリフォルニア州)で、各国からMX-5カップ出場者を集めて王者決定戦が開催された。日本からも1名が出場し、見事3位表彰台をゲットしている。

そして、今年もこの世界一決定戦はラグナセカで開催される。もちろん、日本からもチャンピオンが招待され、メディア枠(毎戦2台)からも成績優秀チームが招待されるのだ。つまり、われわれレスポンスチームもラグナセカを夢見て、いや目指してツインリンクもてぎ戦を戦うのである。

若手の登竜門レースをサポートするマツダ

ところで、日本ではほとんど知られていないが、米国でのマツダのレース活動について触れておこう。米国では、マツダはステップアップカテゴリーとして、若いドライバーも含めて幅広い年齢層に2通りのレースイベントを提供している。

一つは「MAZDA Road to INDY」というもので、USF-2000→Pro MAZDA→INDY LIGHTS→INDYCARへとステップアップするもの。これらは全てフォーミュラーカーだ。そしてもう一つは「MAZDA Road to 24」。こちらはMX-5カップ→IMSA Continental Tire SportsCar Championship or IMSA Prototype Challenge→IMSA WeatherTech SportsCar Championshipへとステップアップする、つまりこちらは24h時間レースなどにステップアップする方向。

注目なのは、それぞれのシリーズの優勝者にはスカラシップ(いわゆる奨学金)があり、USF2000で36万ドル、Pro MAZDAで79万ドル、そしてINDY LIGHTSのチャンピオンになれば100万ドル(約1億1000万円)が贈られ、インディードライバーの道が開けるという点。MX-5カップもチャンピオンには20万ドル(ルーキーだと50万ドル)のスカラシップがあるのだ。

実際に、現在インディカーシリーズで活躍しているドライバーの中にもMX-5カップ出身者はいる。アンドレッティ一族のマルコ・アンドレッティ、ジョセフ・ニューガーデン、グレアム・レイホール、ジェームズ・ヒンチクリフ、スペンサー・ピゴットなど、現在インディカーシリーズでトップ争いをしているドライバーばかり。いかにレベルが高いかが理解できるだろう。日本でこのことを知っている人は少ないと思われるので、前置きが長くなったが説明しておきたかった。マツダがいかにドライバーの育成に力を入れているかということがわかると思う。

安全性を重視した専用マシン

さて、テストデーの当日は、早朝もてぎに到着。さっそくMX-5カップのマシンとご対面。その印象は、メディア対抗4時間耐久レースのマシンよりもロールゲージ類がイカツイ。さらに、両サイドに横転時などに手が外に出ないようにするセーフティーネットが設けられ、ドライバーは腕がバンザイしないようにシートベルトにつなぐ腕止めをしなくてはいけない。つまり、安全性をかなり重要視している、ということが見てとれる。

グローバルMX-5カップのマシンは1.5リットルではなく2.0リットルエンジンを搭載する。トランスミッションは6速MT。タイヤはBFグッドリッチのレーシングタイヤ(スリック&レイン)215-610 R 17をRAYS製17×5.5Jの専用アルミホイールにフィットさせ装着。フロントブレーキキャリパーはBrembo製だ。ダンパーは車高調整機構が付いたMultimatic製の2WAY11段減衰力調整。これは、2WAYなのでダンパーの縮み側と伸び側の減衰力を、それぞれセパレートさせて調整することが可能ということ。他にも、グローバルMX-5カップ専用パーツがたくさんあり(WEBで確認できる)、世界共通とすることでイコールコンディションが保たれている。このクルマの製作は米国のLong Road Racing社で、日本の代理店はキャロッセ。輸入後メンテナンスされオーナーに引き渡される。その車体価格は788万4000円(税込)で、レースカーとしては非常にリーズナブルな価格設定だ。

いざドライブ! 勝負のカギはセットアップ能力

走り始めよう。小柄なボクは、めいっぱいシートを前にセットする。ポジションは悪くない。ただ、シフトアップ時に右腕がシートのサイドに当たるが、大きな問題にはならない。もう一つ、湾曲したワイド画面ルームミラーは頭の位置が前になってしまったので見ることができなくなり、元々ある普通のモノに交換する。これに関しては、全く不便はない。

2.0Lエンジンということで、かなりエキセントリックな乗り味を予想していたが、全くそんなことはなく、とてもスムーズなハンドリングと特性だ。リヤタイヤのグリップがとても高く、初心者でもまったく安心して走らせることができる。サスペンションは比較的ソフトな方で、縁石をまたいでも姿勢を乱すこともない。おそらく、米国の粗雑な路面に合わせてセットアップされているからだろう。日本のサーキット路面なら、速く走るためにもっとやりようがあるとは思うが、世界共通のワンメークレース、これはこれで良い。

ブレーキングもコーナリングも基本的にとても安定しているが、これをタイムが出る方向にいかにセットアップできるかも勝負の分かれどころで、ドライビングスキルだけではなく、ドライバーのセットアップ能力も磨ける余地をちゃんと残してあるところに感心した。だから、ステップアップしたドライバーが上のカテゴリーで活躍できるわけなのだ。マシンにはAIM製のデータロガーが標準装備されていて、走行中に自分のタイムを確認できるし、ベストタイムに対して現在何秒速いか遅いかも表示してくれる賢いアイテムが装備されている。これがあるだけでも、かなりドライビングが進歩する。

1時間というテスト走行の枠の中ではまだ、私自身の好みのセットアップにすることはできなかったが、レースでは限られた時間の中で可能な限り力を出し切れるよう、今頭の中は毎日MX-5カップのマシンでもてぎのコースを走り回っている。次回、本戦の模様もレポートするのでお楽しみに。

《松田秀士》

松田秀士

成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践する。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。

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