【BMW 5シリーズ 試乗】コーナーを決めた瞬間に「駆けぬける歓び」を享受できる…中村孝仁

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BMW 540i Mスポーツ
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横浜横須賀道路釜利谷JCTを首都高速湾岸線方面に向かう。途中、比較的シャープな下りの右コーナー、しかもトンネルの中という高速ベントがある。

真っすぐ下り降りていくと、まさにトンネルの壁に向かってまっしぐらというところで左にステアリングを切っていくコーナーなのだが、シリーズ中唯一標準装備となる、ダイナミックダンピングコントロールを装備した『540i Mスポーツ』は、軽くステアリングに手を当てて切るというよりも自分の首をほんの少しかしげてやる程度の動きだけで、矢のように突き進んでいく。しかも快適そのものだ。

同じ高速ベントを逆方向に進んだ時はACCを使用してみた。こちらは前車追従機能とレーンキープアシストが付くから、車線内をきっちりとトレースしながら勝手にステアリングを切ってくれる。正直まだまだ、このレーンキープアシストには未熟な部分もあって、時としてレーンを認識しなくなることもあるから、ステアリングから手を離しての走行は無理がある。それに快適なことは確かかもしれないが、それではBMWが謳う折角の「駆けぬける歓び」がなくなってしまう。

それにしてもこの新しい5シリーズ、快適で、安心感が高く、しかもコーナーの走りを決めた瞬間にドライバーが享受できる達成感というか、やったぁ!と思える動的な質感、まさにそれが「駆けぬける歓び」なのだと感じさせてもらえた。

正直なところ、デザインに関していえば新しくなったと感じる部分はどこにもない。恐らく走り去る姿を見ても、新型と旧型を一目で見分けられる人は数少ないと思う。僕ははっきり言って、数多い方の部類だと思うのだが、よくよく見てみると、グリルデザインは新型の方がダイナミックだし、そこから繋がるきりっとした目つき、即ちヘッドライトのデザインも、旧型とは明確に異なるから、判別の決め手はそこにあると思うのだが、一瞬では違いが判らない程度ともいえる。

一方で、インテリア。こちらもメータークラスターを除けば全体に大きな差はないように思えた。唯一異なるのは、ナビのディスプレイがインダッシュではなく、メルセデス『Cクラス』のように、アウトボードスタイルになったことぐらい。一方メータークラスターは完全に一新されて、ついにディスプレイタイプになった。本来は何でもここに表示できるのだろうが、今のところBMWではそれをやる気はないようで、スピードメーターとタコメーターの周囲はリングで覆われている。

一番ビックリしたのは、本来あるだろうと常識的に思うメーターを覆うアクリルカバーがないこと。まあ、ディスプレイなのだからなくてもいいのだろうが、メーター板に直接手で触れられるというのは、なんとも不思議な感じがする。良いと思えたのは通常オンボードコンピューター内に表示される走行可能距離が、燃料計のところについていること。これならば燃料残量と可能走行距離が同時に確認できて便利である。

最近ではお決まりの軽量化にも抜かりはなく、最大で140kgの軽量化を達成しているということではあるのだが、3リットルツインパワーターボ6気筒を搭載する540iの場合、それでも1760kgという立派な体格を持っている。因みにボディは英語でスライトリーと表現できる程度サイズ拡大をしているから、それで140kgの軽量化は頑張ったということだろう。5シリーズのトップモデル(xドライブを除く)ともいえる540iそのお値段、税込みほぼ1000万円の986万円だ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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