【インタビュー】ボッシュのコネクテッドパーキング…シニアプロジェクトマネージャー

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ボッシュ コネクテッドパーキングプロジェクト セールス&マーケティング シニアプロジェクトマネージャー ユルゲン・アウラッハー氏
  • ボッシュ コネクテッドパーキングプロジェクト セールス&マーケティング シニアプロジェクトマネージャー ユルゲン・アウラッハー氏
  • ボッシュのプレスカンファレンス(CES 2017)
  • ボッシュのプレスカンファレンス(CES 2017)

1月4日に行われた世界最大の家電見本市「CES 2017」のプレスカンファレンスにおいて、ドイツの大手自動車部品会社ボッシュは「IoTのパーソナル化」の一環として「コネクテッドパーキング」を発表した。

「繋がる」ことにより駐車に関する様々な問題を解決しようとするこの試み。会場で注目を集めたのは路上駐車の空き状況をドライバーで共有するシステムだった。今回は、コネクテッドパーキングプロジェクトのセールス&マーケティング シニアプロジェクトマネージャー、ユルゲン・アウラッハー氏にその詳細を聞いた。

----:開発状況はどのような感じでしょうか。

ユルゲン・アウラッハー氏(以下アウラッハー氏):すでにドイツで試験が始まっています。しかしテクノロジーとビジネスモデル両方の面から、様々なシチュエーションで試験を行いたいと思っています。なので今後、世界中の様々な都市で試験を展開予定です。日本への展開もすでに計画に入っています。

----:コネクテッドパーキングの開発にあたり難しいことはなんでしょうか。

アウラッハー氏:一番難しいのは「クロスOEMアプローチ(メーカー間をまたいでのアプローチ)」で、メーカー間の壁をまたいでデータをひとつにまとめる必要があります。協力しない企業がひとつでも出てきてしまうと、効果的ではなくなってしまいますので、今はこれに力をいれています。去年から話を進めていますが、現状はうまくいっているので、実現するでしょう。

現在はまだ開発段階で、システムは日々その精度を向上させています。しかしシステム自体はすでにできあがっており、クルマに搭載されている超音波センサーでデータを集め始めています。集めたデータはクラウドにアップロードされ、他のクルマにシェアされます。

----:路肩で駐車できる場所を超音波センサーで調べていることはわかりました。駐車できない場所はどのようにデータに反映されているのでしょうか。

アウラッハー氏:ソフトウェアの様々なアルゴリズムを使って、そこが駐車スペースかどうか判断しています。例えば簡単な例だと、スペースはあるのに駐車しているクルマがいつもいないスペースは、システムが「ここは駐車スペースではない」と判断するようになっています。

他にも、駐車可能な時間帯が変化することもあります。例えば朝9時から午後5時までタダで駐車できるスペースがあるとします。この場合はこの情報をデータに入れなくてはいけません。

2つ方法があります。1つ目は市から情報をもらい、これを手で入力する方法。もう1つは一般の人々にこの情報を提供してもらうことです。ゲームのような感覚で、こういう情報を集め、入力してもらうようにするような形も考えています。

----:各国によって駐車の状況に大きな違いがありますが、ローカライズはどうするのでしょうか。例えば、日本の都心部で路上駐車は一般的ではありません。

アウラッハー氏:日本は特に特殊だと思っています。日本の都市部は確かに路上駐車が行えるような状況ではありませんが、日本でテストを行う意義はあります。それは日本のクルマメーカーが海外で大きな力を持っているということです。ですので日本はとても大事な市場と言えます。

路上駐車は日本のような国にはあまり向いていないシステムかもしれませんが、コネクテッドパーキングには他にも様々な使い方があります。例えば自動バレーパーキング。駐車場の入り口でクルマを降りれば、あとはクルマが自動的に駐車してくれるようなシステムです。これもコネクテッドパーキングの一種なのです。

超音波センサーはすでに新しいクルマには搭載されているセンサーであり、コネクテッドパーキングに新たに必要になるのはソフトウェアだけです。データを集め、クラウドにあげる必要がありますが、新たなハードウェアは必要じゃありません。これが普及への強みとなるでしょう。

《関 航介》

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