防衛装備庁・陸上装備研究所は15日に行った施設の一般公開において、開発を進めている「軽量戦闘車両システム」の試験車両を初めて披露した。人員輸送を想定した車両で、6輪すべてにインホイールモーターを装着したフルEVとなっている。
開発中の軽量戦闘車両システムは、低反動砲を装備した「火砲型」と、対爆性能を持たせた「人員輸送型」の2種類があり、今回披露されたものは後者寄り。機動性能を確認するための車両となる。すでに配備が始まっている「NBC偵察車両」をベースに改造したという。
6輪すべてがインホイールモーターを装着した独立懸架方式となっており、左右を連結した車軸を持たないことを特長としている。車軸を持たないことから、それぞれの車輪で車高を可変させられるため、起伏の激しい場所での運用であるとか、対爆性能を向上させるために地上との空間を確保することを狙いとしている。
テスト車両はインホイールモーターの性能を試す意味もあってフルEVとなっているが、現状では航続距離が非常に短くて実用性には欠けるようだ。説明員は「この試験車両は予算の関係もあってフルEVとして製作したが、航続距離には難がある。充電手段が無い場所で使うことを考えれば、実用化する場合は発電用のエンジンを備えたハイブリッド車両になるのではないか」としている。