【アウディ A3 e-トロン 試乗】良くできたPHEVながら価格設定はかなり高め…松下宏

試乗記 輸入車
アウディ A3スポーツバック e-トロン
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アウディ『A3スポーツバックe-tron(A3 e-トロン)』は、『ゴルフGTE』の姉妹車に当たるモデルだ。プラットホームやパワートレーンなど、基本メカニズムについてはほとんどが共通の仕様とされている。

A3 e-トロンのパッケージングはガソリン車のA3と変わらない。ハイブリッドやPHEVやEVを作ることを前提にしたMQBの基本プラットホームを採用するからだ。

リチウムイオン電池を後席のシート下に、燃料タンクをラゲッジスペーススペース下に配置して、居住性や積載性に影響を与えることのないPHEVに仕上げている。

外観デザインはA3 e-トロンのエンブレムや専用のラジエターグリルグリルなどを採用するものの、ひと目でPHEVと分かるわけではない。試乗車はボディサイドにA3 e-トロンであることを示すデカールがはられていた。そうでないとPHEVであることが分かりにくいのだ。

室内もハイブリッド用の専用メーターが採用されるのがガソリン車とのわずかな相違点である。ゴルフGTEが内外装に専用の仕様を採用してガソリン車と明確に差別化しているのに比べると、違いはかなり抑制的である。

搭載される直列4気筒1.4リットルのTFSIエンジンは、110ps/250Nmの動力性能を発生する。これに80kW/330Nmを発生する電気モーターが6速Sトロニックに内蔵される形で組み合わされる。システム出力は150kW/350Nmにとどまるが、それでも十分すぎる実力である。

駆動用に8.7kWhのリチウムイオン電池を搭載し、外部からの充電によって最大で52.8kmのモーター走行を可能とする。実質的には6掛けの30kmくらいになるのだろうが、毎日の通勤などならほとんどガソリンを使わないような走り方になるだろう。

またヨーロッパのPHEVらしく、モーター走行での最高速が130km/hとされている。都市間の高速移動もモーターでカバーできることになる。ただし、この車速で走ったらモーター走行での航続距離はグンと短くなってしまう。

充電は家庭での200Vの普通充電が基本で、3時間で満充電できる。電源が100Vだと9時間で満充電になる。チャデモの急速充電には対応していない。自宅で充電して走るのが基本だ。

モーターだけで走行するEVモードのほか、3種類のハイブリッドモードが設定されている。エンジンとモーターを上手に使って走るハイブリッドオート、エンジンを始動させて充電量を維持して走るハイブリッドホールド、積極的にエンジンを回してバッテリーに充電しながら走るハイブリッドチャージがある。

走行中にEVモードからハイブリッドモードに切り替わってエンジンがかかるときも、とてもスムーズで注意していないと始動したのが分からないくらいである。エンジンとモーターの受け渡しをとても上手にやっている。

A3 e-トロンは魅力的なPHEVながら、車両本体価格は564万円と相当に高い。試乗車にはSラインパッケージなど、いろいろなオプションが装着されていて、車両価格が639万円になっていた。61万円の補助金を計算に入れても相当に高いクルマである。

ガソリン車のA3 1.4TFSIと本体価格ベースで比較すると、A3 e-トロンは236万円も高い。またゴルフGTEと比較しても95万円も高いから、普通の人が普通に買えるクルマではない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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