スバルにテストドライバーはいない?…スバルドライビングアカデミー

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スバル 車両研究実験第一部 部長 藤貫哲郎氏
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  • スバルドライビングアカデミー
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  • 特殊テストコースライセンスでエンジニアの底上げ
  • SDAのインストラクターと受講生。手前は10万キロ最高速度記録に調整したレガシィ
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車の開発において、試作車や実車による性能評価はテストドライバーが行うのが普通だ。しかし、スバルには「テストドライバーはいない」という。

そう語るのは、スバル 車両研究実験第一部 部長 藤貫哲郎氏。もちろんスバルにもテストドライバーはいる。藤貫氏の言葉の真意は、スバルでは設計エンジニアが自らハンドルを握り、開発車両の性能評価を行っており、エンジニアはテストドライバーでもあるということだ。

通常、開発車両の評価はテストドライバーが試乗や走行テストを行い、その結果をエンジニアに伝える。エンジニアは、それを考え、科学し、設計を完成させていく。性能評価のスキルと設計、エンジニアリングのスキルは別物で、それぞれをプロフェッショナルが担当するのには合理性があるし、効率がよい。

しかし、スバルは近年のクルマ作りで「安心感」 「走りの愉しさ」が何かを追求し、それを物理に置き換える(定量化、見える化)手法を強調している。そのためには設計者も自ら走り込み考える必要があると考えている。「ドライバーの評価能力以上のクルマは作れない」(藤貫氏)というわけだ。

現在、スバルにはテストコースで車を走らせ、評価するために、社内のライセンス制度が存在する。初級、中速、高速、特殊と4段階に分かれており、多くのエンジニアがライセンスを取得し、設計しながら自分でもテスト走行を行っている。

スバルは、もともとエンジニアが自分の設計や仮説を自分で運転して試す文化はあったという。そのためのテストコースライセンスというのに以前から存在した。しかし、初級から中速、中速から高速、さらに特殊と、ステップアップを支援するための制度やしくみはこれまで存在しなかった。

そこで、作り手にクルマの愉しさを知ってもらい、高度な車両評価能力を身につけてもらうため「スバルドライバイングアカデミー」を設立した。現在受講生は、各部門から選ばれた(もしくは立候補した)20人のエンジニアが、月1回の実技講習などを行っている。受講生はエンジン設計、車体設計、アイサイト設計、電動ユニット設計、自動運転技術のエンジニアと多岐にわたる。中には「みんなより遅いので」と、自主トレを行う受講生もおり、現在は、ほぼ毎週なんらかの活動を行っている。

《中尾真二》

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