【DS 3 試乗】ドイツ車とは別次元、痛快な走りを求めるなら…会田肇

試乗記 輸入車
DS 3(右)とDS 3カブリオレ(左)
  • DS 3(右)とDS 3カブリオレ(左)
  • DS 3
  • DS 3カブリオレの車内
  • カブリオレの開いた状態。これ以上下げると後方視界は悪くなる
  • カブリオレの運転席周り
  • DS 3の運転席周り
  • 細部までキレイに織り込んであるカブリオレのキャンバス地
  • このクラスのカブリオレで唯一後席に3人乗車できる

下から上まで元気いっぱいに回る1.2リットル3気筒ターボエンジン。その痛快なまでレスポンスの良さを楽しませてくれたのが『DS 3』だ。今回、新生“DSシリーズ”共通のグリルとなり、同時にオープントップの「カブリオ」もラインナップ。DS 3の侮りがたい走りをチェックした。

「3気筒」というと、どうも軽自動車を思い起こしてしまうのだが、最近は1.5リットルクラスまで3気筒を採用する例が増えている。特に欧州車にはそれが多い。DS 3に搭載されたエンジンもその流れを沿って開発されたものだが、聞けば2015年のエンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞したものだという。スペックだけを見れば1.2リットルターボで110psは珍しいものではないし、205Nmという最大トルクにも特別感はない。

が、走ってみてその動きに驚いた。踏み込んだそばから回転がフレキシブルに上がっていき、その元気の良さと言ったらつい3気筒である事を忘れてしまうほど。組み合わせたアイシン製6速ATとのマッチングも良好で、峠道をスムーズにシフトアップしていってくれる。強いて難を言えば“やや粗さ”も感じたりもするが、このクラスならそんな感触はそれほどマイナスではない。むしろ、痛快なまでの元気さを感じさせることにメリットを感じるべきだ。

乗り味もなかなか。特にカブリオの方はマイルド感があって実に心地良い。市街地の段差に対しても上手にいなしてくれ、それでいてコーナリングでしっかりと踏ん張ってくれる。この感触のバランスがとても良いのだ。一方でカブリオでない通常ルーフモデルの方は若干硬めに感じる。ただ、これもコシのある支え方で不快な感じは一切ない。

シリーズの末っ子とはいえ、インテリアはDSブランドらしい上質なものだ。水平ラインを基調としたダッシュボードは緩やかにラウンドし、ピアノブラックのパネルもありがちなチープさは微塵も感じさせない。3連メーターは充分にスポーティさを感じさせ、このあたりはラグジュアリーさとスポーティさを上手に表現できた結果と言っていいだろう。

惜しいのは、今や搭載が当たり前のカーナビゲーションのインダッシュ化に対応できていないことだ。オーディオが収まる位置はコンソールの下の方で、ここに収納型モニター付ナビゲーションを入れてみてもモニター位置がかなり低くなってしまう。一方でダッシュボード上にPNDを取り付ければ視界を狭くしてしまう可能性大。こうした対応ができていないデザイン設計は、あまりに古過ぎると言わざるを得ない。

また、セーフティ機能としては自動ブレーキシステムの「アクティブシティブレーキ」を搭載するが、赤外線レーザーセンサーによる軽自動車並みの装備でしかない。ライバルとなるドイツ車と比較すれば明らかに見劣りするわけで、こうした部分がクリアできない限り、ドイツ車ユーザーを取り込むことは難しい気もする。

しかし、走りと乗り味を中心に考えれば、ドイツ車とはまたひと味違った元気さを感じさせる車であることは確かだ。ドイツ車の快適なまでのスムーズさや、なんの変哲もない移動するだけの日本車はもう要らない、と思うことがあったらぜひ選択肢に入れるべき。今までとは次元の違った走りを体験できることは絶対保証する。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

会田肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴い新型車の試乗もこなす。 

《会田肇》

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