【ホンダ オデッセイハイブリッド 試乗】燃費も乗り心地も優秀、ファミリーの理想的なミニバン…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ オデッセイハイブリッド
  • ホンダ オデッセイハイブリッド
  • ホンダ オデッセイハイブリッド
  • オデッセイHVの1列目席フロアは10cm盛り上がっている
  • オデッセイのガソリン車の1列目席フロア
  • オデッセイHV2列目席フロア前端部分
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ホンダ『オデッセイ』に待望のハイブリッドモデルが加わった。

ハイブリッドシステムは、『アコード』で初採用された、2モーターのスポーツハイブリッド『iMMD』を 小型化・高出力化したもの。オデッセイのデビュー当時、「HV化すると50万円以上価格アップするのであきらめた」と開発陣から聞いた記憶があるが、システムの小型化でコストダウンが可能になったようだ。

モード燃費は驚愕の最高26.0km/リットル。現時点では実質30~35万円程度のハイブリッド代で、5年、5万km走行程度で元が取れそうだという。

2リットルエンジンは145ps、17.8kg-m。モーターは184ps、32.1kg-m。つまり、アコードの143ps、16.8kg-m/169ps、31.3kg-mを凌ぐエンジン&モーターパワーなのである(標準車と「アブソルート」共通)。

意外なのは、ハイブリッドモデルは標準車とアブソルートのエクステリアはほぼいっしょ。標準車も人気のエアロ仕様となっているのだ。ただし、インテリアはガソリン車同様に異なる。アブソルートはホンダセンシングが標準となるから、価格を比較する際は要注意。実質10~20万円差でしかない(ハイブリッドモデルの販売比率は約9割がアブソルート!)。

ガソリン車との違いもまた微小。足回りも基本的に共通で、エンブレム、メーター、そして1列目席中央フロアが10cmほど盛り上がっているだけ。その下にリチウムイオンバッテリーが格納されているわけだ。同時に2列目席フロア前端も盛り上がっているが、ちょうどフットレスト的に使えるのでむしろ好都合かも。

また、リチウムイオンバッテリーの冷却装置(IPUの一部)も前席下に。空気の吸い込み音が目立たないように配慮されている。

あらためてオデッセイに乗ってみると、低床、大開口スライドドアによって後席の乗降性は抜群だ。特に2列目プレミアムクレードルシートは、唯一、シート表皮裏 に30mmのウレタンクッションが張られ、最大170度リクライニングもあって 、クラス最上、どころか下手な高級サルーンを圧倒するぜいたくで超快適なかけ心地(寝心地?)を示してくれる。

そのプレミアムクレードルシートを最後端位置にセットすれば、身長171cmのボクのドライビングポジション背後でひざ回り空間は驚愕の780mm、リクライニングしたときのシート全長は1500mm、足元フロアは奥行き920mm、幅 1320mmという、広々とした空間が出現。リムジンどころじゃない4座独立の居住スペースになるのだ。

さて、16インチの低転がりタイヤを履くオデッセイハイブリッド標準車の走りっぷりはと言えば、実はHVモデルに関してはアブソルートと標準車のパワー、トルクスペックは同一(ガソリン車は異なる)。だから動力性能もまたまるで同じ。

出足のEV走行に引き続き、強力なモータートルクが生きる素晴らしく滑らかで静かな走りがガソリン車との違い。

乗り心地は17インチタイヤを履くアブソルートよりさらに軽やかかつ快適で心地良く、終始フラット。低中速域で段差などを乗り越えた時のショック、 突き上げ感なども皆無に等しい。

高速走行ではパワーステアリングのセンター付近がビシリと引き締まり、直進性は見事。実に安心して高速巡行を行えるのだ。

もっとも、2.4リットルから2リットルとなったエンジンそのものも静かで、 なおかつモーターのアドオンによるエンジン負担の少なさから、特に高速巡行中の全体的な静粛性は格段に向上しているはずなのだが、それゆえサワサワした風 切り音や低転がりタイヤのロードノイズがアブソルートより気になってくるのが、わがままを言えば惜しいところ。あっちのノイズを消せば、こっちが目立つ、というわけなのだが…。

ガソリン車のベースグレードGとほぼ共通の内装を持つ標準車はアイボリーファブリックシートとブラックファブリックシートが選べるのだが(アブソルートはブラック内装のみ)、ブラックのほうは白いホコリ、繊維、ダウンブルゾンの羽毛などが付着しやすく、目立ちやすいのが難点。わが家のように犬を乗せる前提であれば、汚れやすそうに感じても、アイボリーを薦めたいところだ。

ちなみにアブソルートのデザイン性にもすぐれたブラックコンビシートは表皮がサラリとしていてホコリや犬の抜け毛が付着しにくいメリットがありそうだ。

オデッセイはガソリン、HVを問わず、愛犬を乗せるにも最適だ。犬は低床パッケージが生きるスライドドア(フロア高300mm。アブソルート 290mm)、ラゲッジ側(3列目席格納時のフロア高525mm、アブソルート 515mm)の両方向から乗車可能。そして犬は後席、後席フロア、拡大したラゲッジ部分でくつろぐことができ、乗せ方は自由自在。2/3列目席にエアコン吹き出し口があるため、家族も犬もより安心して1年中、快適にドライブを楽しむことができる。先進安全装備満載のホンダセンシング装着車が選べるようになった点も評価したい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
静粛性:★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門 誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以 上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・ オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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