プジョーはパリモーターショー14で、新世代ハイブリッド技術「ハイブリッド エア」(HYbrid Air technology)を用いたコンセプトカー『208 ハイブリッド エア2L』を出展した。圧縮空気によってモーターを駆動するという斬新なアイディアだが、実用化の目処は立っているのだろうか。
また、ハイブリッド車について、プジョーはまずディーゼルエンジンとの組み合わせからスタートしたが、プラグインハイブリッドはガソリンエンジンを用いている。その理由も含め、プジョーエンジン開発のトップを務める、クリスティアン・シャペル氏に聞いた。
Q:圧縮空気エンジン「ハイブリッド エア」実用化の予定はあるのでしょうか。組み合わせるエンジンについての構想は?
クリスティアン・シャペル氏:ハイブリッド エアは、自動車技術の革命と考えています。電気式ハイブリッドはバッテリーが高価であり、レアアースなども必要ですが、ハイブリッド エアはコンベンショナルなテクノロジーであり、こうした問題から解放されるのです。すでにテストコースでユーザーに乗ってもらい、問題ないとの評価ももらいました。しかしいくつかの課題があり、長期的なプロジェクトになるだろうと考えています。
その課題としては、まず新しい技術には多大な資金が必要となる点が挙げられますね。ハイブリッド エアの場合、ハイドローリック式ポンプやモーターなどをゼロから開発しています。サプライヤーのボッシュによれば、それをPSA単独で使うとなると、高価になってしまう。ボリュームを稼げるパートナーが必要です。
さらにレギュレーション面でも課題があります。たとえば中国のエコカー基準であるニュー・エナジー・ビークル規定では、50kmをゼロエミッションで走れることが義務化されています。ハイブリッド エアではそこまで長距離をゼロエミッションで走れないので、エコカー認定されないところが悩みどころです。
エンジンの組み合わせについてですが、ハイブリッド車の開発を始めたとき、すでにトヨタがガソリンエンジンのハイブリッド車を市販化していました。よって私たちは経験豊富なディーゼルを選択しました。ただし、ディーゼルは販売できる地域が限られるので、プラグインハイブリッドについては多くの国で展開できるガソリンエンジンとの組み合わせを選択しています。これはモジュラー設計を取り入れており、現状では4気筒ガソリンエンジンとEMP2プラットフォームの組み合わせですが、異なるプラットフォームやエンジンにも対応することが可能です。