2014年にシトロエンから独立したDS。日本国内にも『DS 3』や『DS 4』『DS 5』など、ラグジュアリーでダイナミックなデザインを採用したモデルが導入されており、今後の展開にも期待がかかる。
新たなブランドとして歩みだした理由と、DSが表現したいものとは。フランクフルトモーターショー15の会場で、デザインチーフを務めるティエリー・メトロス氏に話を聞いた。
----:なぜ、DSブランドは独立したのでしょうか。
ティエリー・メトロス氏:PSAグループにとって新たなプレミアムブランドがDSです。そのストーリーは、2010 年にDS 3を発売したことから始まります。実際のところ、当初は「シトロエンにスペシャルでプレミアムな車種も必要だ」と考えて開発を進めていました。精緻なディテールやレザー等で豊かさを表現した高級モデルとして、DSシリーズを展開しようと考えていたのです。
しかしDS 3を発売してみると、市場から非常に大きな反響がありました。そこでDS 4やDS 5などを投入しつつ、PSAとしてはシトロエンとは別の、独立したブランドを創設しようと決心したのです。
シトロエンの中の高級モデルから、それとは異なるブランドにポジションを変更したというわけです。実はDS 3発売の翌年に、DSデザインチームを編成しています。独立したブランドとするには、シトロエンとは明らかに異なった、新たなるデザイン言語が必要だったのです。
デザインチームはまず、新しいデザイン言語、そして新しいフロントエンドのアイデンティティとなる「DS Wings」を定めました。これを示すために開発したのが、2012年に公開したコンセプトカーの『NUMERO 9』です。
2013年に中国市場へ投入した『DS 5 LS』が、それまでのDS各車とは異なったデザインになっているのは、こうした理由によるものです。NUMERO 9で初めて表現された、独立したブランドとしてのDSのデザインアイデンティティを採用しているわけですね。
そして、すでに発売されている他のモデルについては、フェイスリフトのタイミングで「DS Wings」を持つフロントエンドにデザインを変更して、アイデンティティを統一させています。