【スーパーフォーミュラ 第4戦】石浦宏明、より完成度の高いポール・トゥ・ウィンで2勝目達成

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
#38 石浦が今季2勝目を飾った。
  • #38 石浦が今季2勝目を飾った。
  • TV中継の優勝インタビューを受ける石浦宏明。
  • ゴール直後、握手する優勝の石浦(左)と2位の中嶋一貴。
  • 表彰台上、左から2位の一貴、優勝の石浦&立川祐路監督、3位オリベイラ。
  • ポール発進だった#38 石浦のマシン。
  • #1 中嶋一貴は決勝2位に。
  • SFもてぎ戦決勝は雨にも間接的な影響を受けた。
  • #19 オリベイラは決勝3位に。

全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)第4戦は23日、ツインリンクもてぎにて52周の決勝レースを実施。石浦宏明がポール・トゥ・ウィンで勝ち、第2戦岡山以来の2勝目を達成した。

この日のもてぎは昼頃から断続的な雨に見舞われ、併催の2輪「J-GP2」の決勝はウエットコンディション下でのレースに。ただ、当初予定より5分遅れの15時05分にフォーメーションラップスタートとなったSF決勝を前にした段階では雨が上がり、路面にはまだ湿ったところも残ってはいたが、全19台がスリックタイヤを履いて発進している。

路面の乾き具合の進み方という面で、通常の走行ライン側であるグリッド奇数列(アウト側)に有利な状況でのスタートとなったことも確かだが、ポールポジションの石浦(#38 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)はしっかり先頭を守ってスタート。すると石浦は、予選5位からの好ダッシュで早々に2番手へと上がってきた中嶋一貴(#1 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)との差を次第に開いていく。

「スタートしてから後ろを離せたので(中盤までは)ひとりでレースしているような感覚でした。岡山(初優勝した第2戦)の時とは違いましたね」。初優勝も同じくポール・トゥ・ウインだったが、当時は終盤まで小林可夢偉(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)とのテール・トゥ・ノーズ状態だった。今回はレース中盤までに一貴に約9秒の差をつける快走で、ほぼ完全にレースの主導権を握ったままの勝利である。「自分のキャリアのなかでも、これほど順調なレースは初めてです」と振り返るくらいの“横綱相撲”だった。

チームともども、2年目のワンメイクマシン「SF14」の速さを引き出すという面も含めて力の充実ぶりを見せつけた石浦の勝利。4戦2勝、3戦連続表彰台でドライバーズポイント首位を守り、後続との差を7点まで開いた。だが、今後に向けて本人は、いい意味で楽観していない。「残り3戦はコースのキャラクターが(勝った岡山やもてぎとは)変わってきますからね」。オートポリス、SUGO、鈴鹿は、岡山やもてぎとは違って中高速コーナリング主体のコース群。「そこでも今の速さを持続することができなければ、あの(強力な)メンバー相手には7点差なんてすぐ、ですから」。

石浦の“勝って兜の緒を締める”という面は他にも。この日の終盤は一貴が猛追を見せており、背後に迫られることこそなかったが、「(一貴との)ギャップをコントロールせずに走ったとしても、ペース的に負けていたと思うので、そこは課題としてしっかり見ていかないと」。手綱を緩めることなく、緊張感をもちつつも“いい空気”のチーム環境のなか、石浦はさらなる勝利を目指す。

終盤、ほぼ完敗のなかにも今後のレースに向けて大きいと思われる見事なスパートを見せ、石浦との差を詰めた一貴が2位。そして3位にはジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(#19 LENOVO TEAM IMPUL/トヨタ)、4位にアンドレ・ロッテラー(#2 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)が続き、チャンピオン争いは、どうやら今回の決勝上位4人に絞られてきた感がある。現状は石浦32点、オリベイラ25点、一貴24点、ロッテラー20点。チャンピオン経験者3人の石浦追撃にも今後は要注目だ。

今回のレースはトヨタ勢の1-2-3-4フィニッシュで、5位の中嶋大祐(#64 NAKAJIMA RACING)がホンダ勢最上位(大祐は一貴の弟)。予選2位だった野尻智紀(#40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)は1周目に3つポジションを落としてしまい、最終的に6位だった。7位は平川亮(#7 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)、8位は山本尚貴(#16 TEAM 無限/ホンダ)。

予選3位の可夢偉は、スタート直後にトップ石浦の背後へと迫り、その後1~2コーナーで外を回ってきた一貴には先行されるも、3番手を守って走っていた。後方のオリベイラが11周目という早めのピットイン戦略に出たため、それ以降はお互いに“敵が直接は見えない状態”での3位争いを展開することになったのだが、32周終了時の可夢偉のピットインの際にタイヤ交換の作業ロスがあり、可夢偉はここで大きく後退してしまう。

その後、可夢偉は11位を走っていた最終周に前方のマシンとの交錯からコースオフしてストップ、決勝結果は17位完走扱いだった。まともにピットアウトできていれば、オリベイラとの前後関係が微妙なところだっただけに、実に残念な一戦。今回の可夢偉はアップダウンの激しいレースウィークでもあったが、今後の活躍に引き続き注目したくなるパフォーマンスを随所に見せたところは流石である。次戦以降も期待したい。

今季SFも残すは3戦。次戦(第5戦)は九州のオートポリスで、9月12~13日に開催される。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集