【VW パサート ヴァリアント 試乗】犬を乗せるにも最適、お買い得プレミアムワゴン…青山尚暉

試乗記 輸入車
VW パサートヴァリアント(右)と ゴルフ ヴァリアント(左)
  • VW パサートヴァリアント(右)と ゴルフ ヴァリアント(左)
  • VW パサートヴァリアント(右)と ゴルフ ヴァリアント(左)
  • VW パサートヴァリアント
  • VW パサートヴァリアント
  • VW パサート ヴァリアント R-Line
  • VW パサート ヴァリアント R-Line
  • VW パサート ヴァリアント R-Line
  • VW パサート ヴァリアント R-Line

VWの一大戦略、MQBプラットフォーム採用の第2弾が8代目となる新型『パサート』だ。ここではセダンを販売比率で上回る、人気のワゴン=ヴァリアントに試乗した。

エンジンは3種類あるグレードを問わず、基本的にはゴルフ7ハイライン同様の1.4リットルターボ+7速DSGを搭載。ただし、クラス、車重に合わせ、パワーは140psから150psにスペックアップされている(最大トルクは25.5kg-mと同様)。

同じヴァリアントでも、ゴルフ7と大きく違うのは後席のゆとり、ラゲッジの広さ。たしかにゴルフ7は日本の路上にもジャストなサイズだが、後席が狭い、ラゲッジの容量が物足りない…というなら、その要望に確実に応えてくれるのがパサートヴァリアントである。ちなみに身長172cmのリポーターのドライビングポジション基準の後席ひざ回り空間は約50mm増しの250mm。シートのかけ心地、居心地の良さも特筆に値する。ラゲッジ容量は通常時で47リットル、最大時で49リットル増しの650/1780リットルで、もはやあきれるほど広大だ。

パサートヴァリアントの走りのテイストは基本的にゴルフ7ヴァリアントの延長線上にある。なにしろプラットフォーム、エンジン、ミッションがほぼ共通するからだ。極上のステアリングフィール、フラットでしなやかさ極まる乗り心地、リニアで安心感に満ちた操縦感覚、高速道路から山道に至る鉄壁の安定感といった項目はとてもよく似ている。

それだけなら、大きく立派で後席とラゲッジがより広いゴルフ7…になってしまうが、そんなことはない。特に上級車らしい乗り味のゆったり感、主にロードノイズの徹底した遮断がもたらす静粛性の高さ、総合的な快適感はさすがパサート。試乗車の中にはオプションの19インチタイヤを履いたRラインもあったが、きつい段差越えでこそガツンというショックを伴うものの、それ以外のシーン、路面では速度に乗りさえすれば文句なしのプレミアムな快適感が保証される。

もっとも、ライバルに対して圧倒的なリーズナブルな価格というパサートならではの魅力を最大限に発揮し、また路面、速度を問わない上質な快適感を堪能させてくれるのはコンフォートライン、ハイラインの17インチタイヤ装着車だろう。

大人3名乗車での動力性能は、わずか1900回転付近から豊潤なトルクが盛り上がり続けるエンジンによって、まさに必要十二分の加速力を発揮してくれる…どころか、想像よりはるかに速い、という印象だ。それで20.4km/リットルというモード燃費なのだからまさに“ゴキゲンワーゲン”である。

装備面のハイライトは先代になかった全方位の進化版先進安全装備の拡充だ。歩行者検知&後退時自動ブレーキ、ACCのほか、世界初の渋滞時追従支援システムも採用。それでトレンドラインの348.99万円からの戦略的価格は、ゴルフ7ヴァリアント ハイライン(348.7万円)とほぼ同じなのだから、驚異的にお買い得である。

そうそう、パサートヴァリアントはペット/ドッグフレンドリー度も極めて高い。開口部から段差のないラゲッジフロア地上高は先代同一の620mm。これはゴルフ7ヴァリアントの平均値640mmより低く(いずれも新車時の数値。1万キロ程度走ると1~2cm落ちるらしい)、もちろんフロアは大型犬2頭がゆったりできるほど広大。後席座面地上高は先代、ゴルフ7ヴァリアントとまったく同じ560mmで、リヤドアからも犬を乗せやすいのだ。大型犬を飼っている愛犬家で、手ごろな価格の輸入ワゴンを探している人にも超オススメである。犬を乗せるためのラゲッジ用アクセサリーもそろっている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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