軽快、パワフル、なめらかな乗り味。まるで洗練されたセダンのような持ち味を、そのままMPVに詰め込んだ…そんな仕上がりぶりにホロリとさせられた。試乗車は、新たに2リットルの4気筒ディーゼルターボ(150ps/33.7kgm)を搭載したモデル。カタログによれば0-100km/h加速が8.9秒。事実、「SPORT」モードに切り替え加速を試すと、その俊足ぶりと息の長い加速は、とてもディーゼルに乗っているとは思えないほどだ。通常の走らせ方でも8速ATとの組み合わせで加減速は歯切れよくなめらか。エンジン始動状態の停車時、車外に出ればディーゼルエンジンの音は聞こえるが、走行中の車内では、音も振動もまったく気にならない。1500kgの車重で、身のこなしも軽やかだ。ステアリングのスムースでしっかりした手応えには安心感がある。205/55R17 91W(BS TURANZA T001)を履く足回りは、低速でもゴツつかず、しなやかなタッチだ。レザーシート、ウッドパネル、ヘッドアップディスプレイなど装備が充実した室内は、BMWらしくスポーティかつ上質。試乗車はオプション込みで474.7万円だったが、ベース車の車両本体価格は402万円とリーズナブルといえる設定。ただのファミリーカーの域を超えた、実用+αの魅力を備えたクルマだ。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。