トヨタ、白金の劣化をモニタリングする技術を開発…FCの性能向上に寄与

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白金微粒子挙動の観察結果
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トヨタ自動車は5月18日、ファインセラミックスセンター(JFCC)と共同で、燃料電池(FC)の化学反応を促進する触媒として不可欠な「白金」の劣化に至る挙動をリアルタイムで観察できる新たな手法を開発したと発表した。

白金は、希少資源であるため高価であるとともに、発電に伴い「白金微粒子」が粗大化し、性能が低下することが知られている。触媒としての性能を維持するためには、白金微粒子が粗大化するメカニズムの解明が必要だが、従来の観察手法では、数nmレベルの白金微粒子がセル内で実際に作動している状態で確認できない、という技術的な課題があった。

今回、共同研究グループが開発した観察手法では、原子レベル(0.1nm)の物質の観察や分析ができる「透過型電子顕微鏡」を使用。FCスタックのセル内で実際に化学反応が生じる環境・条件と同一の状態を模擬できる、新しい観察用サンプルを作ることに成功し、発電の経過とともに白金微粒子が粗大化するプロセスをリアルタイムで観察できるようになった。

今回開発した観察手法により、粗大化の要因として、「白金微粒子」の担体(土台)となるカーボン上で粗大化に至る挙動を引き起こす箇所やその時の電圧、さらには、担体の材料の種類によるそれらの違いなどが明らかになった。トヨタでは今後、反応性低下のメカニズムを解析し、白金の性能・耐久性向上のための研究・開発指針に結びつけていく。

《纐纈敏也@DAYS》

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