【インタビュー】鈴木亜久里のオイル論…「レースで話題が出ないってのはイイこと」

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鈴木亜久里氏
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  • SUPER GT 開幕戦 300クラスの様子
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SUPER GTに参戦しているARTA Projectのプロデューサーで、AUTOBACS RACING TEAM AGURIの代表・監督を務める鈴木亜久里氏が、プロドライバーとレース指揮者、2つの立場から痛快でシンプルな“オイル論”を展開した。

亜久里氏率いるAUTOBACS RACING TEAM AGURIが、SUPER GT 300クラスに参戦している「ARTA CR-Z GT」で使用するオイルは「カストロール EDGE」。カストロールは1899年創業のプレミアム潤滑油メーカーだ。1906年からモーターレース界においてさまざまなチームとパートナーを組み、近年では世界耐久選手権(WEC)、世界 ラリー選手権(WRC)、世界ツーリングカー選手権(WTCC)などでもその勝利に貢献している。

◆オイル交換は「お風呂に入るようなもの」

----:まず、SUPER GT に参戦している車両「#55 ARTA CR-Z GT」に使用されているエンジンオイルについて教えてください。

鈴木亜久里氏(以下敬称略):街で走ってる普通のクルマに使われるオイルと変わらないよ。みんなが量販店で買うタイプと同じ。違うのは頻度。レース用車両のエンジンオイルは毎回入れ換える。パフォーマンスに直接、影響を与えるものだからね。普通のクルマは4リットルぐらいでしょ。レース用車両になると10リットルぐらい入るからね。それを毎回。だから結構すごい量になるよね。

----:レースごとに入れ換える競技用車両のエンジンオイルと違って、マイカーのオイル交換は忘れがちになってしまいます。

亜久里:まあ、お風呂に入るようなもんだね。オイルって、入れ換えれば乗ってるほうも気持ちいいし、エンジン自体もうれしいでしょ。でも徐々に劣化していくんだけど、交換しなきゃって気付きにくいんだよね。だから半年に一回とか、7500km走行ごとにとか決めて、迷わずちゃんとオイル交換をしてほしいね。

◆「間違いない」と思える歴史と実績

----:オイルにもいろいろあると思いますが、どういう基準で選んでいるんですか?

亜久里:たとえば、300馬力あるエンジンは、本来400馬力ぐらいのパワーを持ってるんだけど、自分(エンジン)の中で、摩擦の抵抗が発生してロスしちゃってるわけ。で、エンジンが持つ本来のパワーをいかに引き出せるかが大事で、レース環境にマッチしたいいオイルを選ぶことがカギとなる。僕らがカストロールのオイルを使っている理由は、もう「実績」に尽きる。

どのメーカーのオイルが良いとか悪いとかじゃなくて、そのブランドが100年以上も長く続いていて、みんなに支持されているってとこだよね。レースの世界でこれだけ活躍しているブランドはないでしょ。カストロールを使っていれば「間違いない」ってことだよ。

◆選ぶ基準はとてもシビア

----:では選ぶ根拠は感覚的だったり、オトナの事情だったり?

亜久里:そんなことないよ。レース用のエンジンは、事前に何回も実験する。さまざまなオイルを試して、数値化して、最終的にはメーカーが決める。うちの場合、最後はホンダだよね。すごいシビアな世界だよ。特にオイルはね。

インディ500に出る車両なんかだと、予選だけに使うオイルもある。長時間は持たないけど、予選の一発勝負というときに入れるオイルを使ったりするよね。用途に合わせて、色々なタイプがある。

◆懸念を減らして“平均点”を上げる

----:カストロールのオイルを使って、レース展開に差が出たりしますか?

亜久里:そういう感覚よりもね、オイルの話題が出ないってことは、オイルは懸念材料に入ってないってこと。考えることがひとつ減るわけ。レースの世界では、エンジンもタイヤも酷使してるでしょ。たとえばエンジンが壊れたとしても、その原因追求リストから除外されるってこと。オイルのことは考えなくていい。

つまり、オイルの話題が出ないということはイイことなわけ。たとえば快適な室温の部屋にいるとき、空調の話は出てこないでしょ。それと同じ。カストロールを使っておけば、オイルのことは気にせず、ウィークポイントを克服することに集中できる。レース自体の“平均点”を上げて、いい結果を出していくためにも、信頼性の高いオイルは欠かせないね。

《レスポンス編集部》

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