軽自動車&コンパクト、加速する燃費競争…ランキングで見る真の勝者

自動車 ビジネス 国内マーケット
新型車のカタログ燃費競争は30km/リットルを超えるハイレベルな争いになってきている
  • 新型車のカタログ燃費競争は30km/リットルを超えるハイレベルな争いになってきている
  • 実用燃費とカタログ燃費達成率(グラフ)
  • 実用燃費とカタログ。なお燃費達成率95%信頼区間とは、100回の標本調査のうち95回はこの範囲に母平均があるという意味。たとえば100回のランダムサンプリングを行い、そのつど母平均の95%信頼区間を計算した場合、100個のうち95個は母平均を含んでいるということになる。
  • ホンダ フィット ハイブリッド
  • トヨタ アクア
  • スズキ アルト F
  • カローラ ハイブリッド
  • スズキ ワゴンR

新型車のカタログ燃費競争はエスカレートの一途をたどっている。2013年9月に登場した3代目のホンダ『フィット』が36.4km/リットル(JC08モード。以下同じ)を引っさげて登場すると、トヨタ『アクア』は同年12月の改良で37km/リットルの燃費を叩き出して国内の市販車燃費ナンバーワンの座を奪回。最近では、スズキの新型『アルト』がアクアに並ぶ37km/リットルを達成するなど、カタログ燃費競争は30km後半/リットルのハイレベルな争いになっている。

しかし、カタログ燃費はある一定の条件で計測されたものであり、リアルワールドでの燃費と異なるということは周知の通り。ここでは、年間約100万回の給油投稿がある燃費管理サービス「e燃費」の数値をもとに、軽自動車&コンパクトカーの主要注目モデルを取り上げ、実用燃費をランキング化してみた。

表とグラフは、2015年2月・3月の2か月間、e燃費に投稿されたデータをまとめたもの。サンプル数(給油投稿数)は統計的に信頼に足るだけの数を確保している。なお、表中にある「標本分散」とは数値のばらつき具合を示し、「95%信頼区間」とは100回の標本調査のうち95回はこの範囲に母平均があるという意味。信頼区間内に燃費の平均が95%の確率で含まれることになる。少々分かりづらいが、数値のプラスマイナスの幅が小さくなるほど精度の高いデータと考えてもらえればいいだろう。

◆実用燃費ではハイブリッド勢強し

軽自動車とハイブリッドとではカタログ燃費は拮抗しつつあるが、e燃費の投稿データによれば、実用燃費で強いのはやはりハイブリッド勢という結果が出た。

ランキングの堂々1位は、トヨタ『アクア』が21.7km/リットル。続いてホンダ『フィットハイブリッド』が21.0km/リットル、僅差でトヨタ『カローラハイブリッド』が20.9km/リットルと続く。アクアは燃料タンク容量が36リットルで単純計算で満タン航続距離は約780kmと足も長い。フィットハイブリッドはJC08モード燃費36.4km/リットルを出す“燃費スペシャルモデル”とも言えるベースグレードのみ燃料タンクが32リットルとなっており、航続距離は672kmと若干アクアより落ちるが実用上は全く問題のない数字だろう。

これらハイブリッド勢に対して、軽自動車勢はどうだろうか。スズキ『ワゴンR』が18.8km/リットルに、『スペーシア』が18.3kmリットル、そして『ムーヴ』が17.5km/リットルとなっている。ワゴンRは燃料タンク容量が27リットルと小さいが、それでも満タンで500km走りきる実力だ。

リッターカークラスは10km/リットル台半ばでの争い。トヨタ『パッソ』とマツダ『デミオ』が16km/リットルと並ぶ。尚余談だがデミオは販売台数の半分以上を占めるというディーゼルモデルがAT/FF仕様車で19.1km/リットルと、ガソリン車を凌ぐ実用燃費を示している。三菱『ミラージュ』(15.7km/リットル)、日産『ノート』(15.6km/リットル)、トヨタ『ヴィッツ』(1.3リットルモデル、15.2km/リットル)と同クラスは非常に僅差の争いで、実用燃費ではほぼ互角とみてもいいだろう。ただ、ヴィッツとデミオは標本分散の値が小さく、使用環境やドライバーによって燃費変化が小さい傾向がある。

◆カタログ燃費達成率では軽自動車とリッターカーも健闘

ではカタログ燃費達成率ではどうか。70%超えをしているモデルはないが、もっとも良かったのはノートがカタログ22.6km/リットルに対して実用燃費が15.6kmリットルで達成率69%とトップ。ミラージュ(67.7%)、ワゴンR(65.3%)、スペーシア(65.8%)も健闘している部類だ。ハイブリッド勢はカタログ値が高すぎるのか、アクアもフィットハイブリッドも6割を切る。しかし、実用燃費で他車を確実に凌いでいるだけに、カタログも相対的に燃費を比較するための資料としては意味があるだろう。

今でこそガソリン価格は落ち着いているものの、2014年の夏はガソリンが急騰して世間を騒がせた。ガソリン価格はさまざまな要因で高騰と下落を繰り返すが、燃費は良いに越したことはない。居住性、走行性能、スタイルなど、クルマ選びの基準はいくつもあるが、燃費もそれらと並ぶ重要なチェックポイントであることは疑いない。カタログ燃費だけでなく、実用燃費という側面も配慮にいれて購入候補を考えるというのも賢い手かも知れない。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集