4月8日はタイヤの日、ブリヂストンが啓蒙活動…タイヤでクルマが変わるか体験してみた

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ウエット路面でのブレーキング。溝ありは約30mほどの制動距離。
  • ウエット路面でのブレーキング。溝ありは約30mほどの制動距離。
  • ウェット路面でのブレーキング。溝ありで試す。
  • レグノを開発した「チームレグノ」の面々
  • ウェット路面でのブレーキング。溝を1.6mmまで減らした状態。
  • 溝を1.6mmまで減らしてのウェット路面のブレーキングは、30%ほど悪化した。
  • 溝の深さの違いによるブレーキ性能の差。奥にある看板が、溝のある状態で停まれた場所だ。
  • タイヤの溝のあるなしで、パイロン3つ分(約6m)の制動距離の差がついた。
  • タイヤの溝が残っている状態。

ブリヂストンは4月8日を「タイヤの日」と定めている。「タイヤへの関心を高めてもらうことで、タイヤの正しい使用方法が分かり、ひいては交通安全へとつながる」ことが目的であり、その日にあわせてタイヤの啓蒙活動を続けてきた。

その活動のひとつとして、2015年4月3日にメディア向けの「タイヤが変わればクルマも変わる」体験会が、栃木県内にあるブリヂストンのテストコースにて開催された。

教材として使用されたのは、1月に発表されたばかりの、ブリヂストンのプレミアムタイヤである「レグノGR-XI(ジー・アール・クロス・アイ)」(セダン用・2月20日発売)と「レグノGRV2(ジー・アール・ブイ・ツー)」(ミニバン用・4月1日発売)であった。最初にレグノの特徴の説明が行われ、その後、タイヤのデザインの歴史や機能、タイヤの音にまつわる技術的な説明や最新技術などがレクチャーされた。

そして、テストコースに移動して、実際の車両を使って、イベント・タイトルでもある「タイヤが変わればクルマも変わる」ことの体験が行われたのだ。

まずは、タイヤの溝の大切さを知るというメニューだ。タイヤの溝は、ウェット路面などでタイヤと路面のあいだに水の膜ができないよう、水を排出する役割を持っている。タイヤと路面の間に水の膜ができることをハイドロプレーニングと呼ぶが、そういう状況になるとタイヤのグリップ力は極端に悪化する。ハンドルを切っても曲がれないし、ブレーキも効かなくなる。それを防止するのが、タイヤの溝というわけだ。

用意されたのは2台の『プリウス』。タイヤは同じ「レグノGR-XI」だが、片方は、溝の深さがスリップサインの出る約1.6mmまでトレッド面が削られている。片方は新品同様。コンパウンドの状況は同じで、ただ溝の深さが違うだけだ。その2台が、時速80kmからウェット路面でフルブレーキをかけるのを比べた。路面のミュー(摩擦係数)は、一般的な道路程度であるという。

結果は、約6mもの差がついた。目測で溝の深いタイヤの制動距離は約30m。つまり、溝の深さの違いだけで、制動距離が約20%も違っていたのだ。いかに、ウェット路面でのブレーキで、溝が重要かが、ひと目で分かる結果となったのだ。

また、タイヤの空気圧の違いで、どれだけ転がり抵抗が違ってくるのか? という実験も披露された。トラックの荷台に置かれたプリウス。まずは、メーカー指定値である空気圧(前輪230kPa/後輪220 kPa)を試す。荷台を傾けて、その勢いのみでクルマを転がす。ノロノロと、しかし、意外に、その勢いは衰えず、なんと70mほども進んだ。続いて、同じ車両のタイヤから空気を抜いていく。約35%減となる前輪150 kPa/後輪145 kPaとする。見ただけでは空気が減っていることは分からないが、その状態で、再び転がしてみる。すると、指定値でのトライよりも、遙か手前である約50mで止まってしまった。空気圧35%減同様に、転がる距離も約35%減少となった。

この転がりやすさの差は、燃費性能に効く。エンジンの働く力が同じであれば、タイヤの転がりやすさの差だけ燃費が良くなるからだ。ちなみに、タイヤの空気は、なにもしないと1か月で10~20kPaも自然に抜けてしまう。燃料費を無駄に払いたくない人は、まめな空気圧チェックが欠かせないのだ。

さらに、広大なテストコース内にパイロンでコースを作り、比較試乗も行われた。タイヤは、ブリヂストンのエントリーモデルとなる「ネクストリー」とトップ・ブランドとなる最新の「レグノ」である。もちろん、限界性能の高さや操舵に対する反応の素直さ、凹凸を乗り越えたときの快適度など、すべての点で「レグノ」が勝ることを体験。タイヤのスキール音も、「レグノ」が少ないだけでなく、その音色も「レグノ」は低く抑えられていたのだ。

そして、テストコースならではの試乗が、バンクを備えたオーバルコースの走行だ。「レグノGR-XI」を装着したクラウンに乗り込み、約140km/hでバンクに飛び込む。ジェットコースターのような頭から腰にかかる縦のGを感じつつ横を眺めれば、サイドウィンドウごしに路面が見える。路面は荒れていたが、前席と後席の間での会話が問題なく行えるほどの静粛性が保たれていたのだ。

座学に始まり、実験の見学、そしてハンドルを握っての体験。それらを通じて知ることができたのは、タイヤの違いによって、走りはまったく変化してしまうということ。タイヤの大切さを、あらためて知ることができた。

《鈴木ケンイチ》

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