西武グループと台湾鉄路、友好協定を締結…京急と「3者連携」も検討

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西武HDと台湾鉄路管理局は3月14日に友好協定を締結した。握手を交わす台湾鉄路の周局長(左)と西武HDの後藤社長
  • 西武HDと台湾鉄路管理局は3月14日に友好協定を締結した。握手を交わす台湾鉄路の周局長(左)と西武HDの後藤社長
  • 西武HDと台湾鉄路管理局は3月14日に友好協定を締結した。左から台湾鉄路の黄総経理、周局長、西武HDの後藤社長、西武鉄道の若林社長
  • 西武側からは埼玉西武ライオンズのマスコット「レオ」のぬいぐるみが手渡された
  • 「スマイルトレイン」の愛称がある西武鉄道の30000系電車
  • 「微笑号」の愛称がある台湾鉄路のEMU800型電車

西武ホールディングス(西武HD)と台湾鉄路管理局は3月14日、観光誘客や災害時の協力などに向けた「包括的事業連携に関する友好協定」を締結し、都内のホテルで調印式を行った。あわせて、西武HD子会社の西武鉄道も台湾鉄路と姉妹鉄道協定を結んだ。

グランドプリンスホテル新高輪(港区)で開いた調印式で、西武HDの後藤高志社長は「台湾は西武グループにとって重要な地域。鉄道事業や関連事業など幅広い分野に力を入れている両者が連携することで、事業の発展、地域社会への貢献が相互に実現できると確信している」とあいさつ。台湾鉄路の周永暉局長は日本語で「相互の協力がますます活発化することで両国がさらに親密な関係になり、より便利な鉄道生活を築けると信じております」と述べた。

友好協定で西武グループと台湾鉄路が行う取り組みとしては、現段階では災害時の相互協力、相互の観光PR、記念乗車券の相互発売の3点を計画。災害時の協力では、日本と台湾はそれぞれ大地震を経験していることから、災害時に物的・人的支援を行うほか、「どうやって復旧復興に取り組んだか、事業継続計画(BCP)の訓練をどのように行っているのかなど、意見交換や知見の共有などを期待している」(後藤社長)という。

観光のPRは、池袋駅や台北駅など両者の代表的な駅で、互いに広告スペースを提供し合う予定。台湾鉄路の台北駅では3月17日から西武グループの案内スペースを設け、秩父・川越・軽井沢・箱根といった同グループの代表的観光地をPRする。記念乗車券については台湾鉄路と西武鉄道の双方で相互に発売し、それぞれの観光地などに誘客を図る狙いで、発売時期や内容については検討中という。

このほか、後藤社長は、2月に台湾鉄路と友好鉄道協定を結んだ京浜急行電鉄(京急)と西武・台湾鉄路との「3者連携」検討についても発言。記者の質問に対し「現時点では具体的な内容はない」としつつ、「京急と台湾鉄路、西武と台湾鉄路という2者間の提携以上のシナジー効果が発揮できるだろうと確信している。京急の原田社長も同感とおっしゃっていただいているので、ぜひいろいろな形でやっていきたい」と述べた。

西武グループ独自の取り組みとしては、沿線3カ所のプリンスホテルで4~6月に台湾料理キャンペーンを行うほか、4月11・12日に西武プリンスドームで行われるプロ野球・埼玉西武ライオンズ対千葉ロッテマリーンズ戦で、台湾の伝統芸能を行うなどの「台湾デー」を実施。西武トラベルでは、池袋駅の営業所で既に台湾旅行予約キャンペーンを実施している。また、2015年7月をめどに、西武鉄道の社員を台湾に駐在員として派遣することを予定しているという。

今回の協定は、2014年11月に開催された「台湾国際旅行博」への参加にあたり、西武鉄道広報部の若手女子社員が台湾鉄路局の訪問を企画したのがきっかけ。西武側が台湾鉄路に申し出たという。その後台湾鉄路側と協議を行い、約4カ月で締結が実現した。

台湾鉄路の周局長によると、台湾側から見て外国での協定締結式典は今回が初めて。鉄道以外の関連事業の協定締結も初という。日本の他の鉄道との協定計画は、現時点では特にないという。

台湾鉄路と日本の鉄道各社は近年、路線や駅、車両ごとに姉妹提携を結んでおり、2012年に台湾のCK124蒸気機関車とJR北海道C11形蒸気機関車(C11 170)の姉妹提携を締結。2013年には台湾の松山駅(台北市)がJR四国の松山駅(松山市)との姉妹駅提携を締結したほか、台湾の平渓線と江ノ島電鉄(神奈川県)でフリー切符の相互乗車キャンペーン、平渓線と由利高原鉄道(秋田県)や台湾の集集線といすみ鉄道(千葉県)、台湾の宜蘭線と山陽電鉄(兵庫県)の姉妹鉄道協定などがある。

日本政府観光局(JNTO)の発表では、2014年の訪日外国人旅行者数は約1341万人で、過去最高だった2013年の1036万人を上回った。このうち、台湾からの旅行者数は約282万人で、国・地域別では最多となっている。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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