【インタビュー】マツダ デミオ、発売から4ヶ月…土井主査が語るこれまでとこれから

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マツダ デミオ 開発主査 土井歩氏
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マツダの新型『デミオ』が発売されてから約4ヶ月が経った。発売1ヶ月半で累計受注台数が1万9233台に達し、好調なスタートを切った同車。現時点での手応えと未来はいかなるものか。鹿児島で開催されたメディア試乗会で、開発責任者である土井歩主査に話を聞いた。

◆予想を超える反応

----:元々土井主査が考えていたクルマ作りに対して、実際の反応はどうだったのでしょうか?

土井主査(以下敬称略):このデミオは「クラス概念を打ち破る」という考えで開発していたのはご存知だと思います。その中でターゲットとしては輸入車を購入される方にも来てもらえるといいね、と思っていた部分があったのですが、実際の購入(受注)状況を見ると、かなり競合しています。これは自分がイメージした以上だったので正直ビックリしています。

----:具体的な数字はあるのでしょうか?

土井:これに関してはまだまとめきっていないので公表するまではいかないのですが、前のモデルと比べてみると年齢層が若返ってきています。それと若くて収入が高い層の方が購入されている。そう考えるとクルマ自体をしっかり見ていただけているのかな、と思っています。

----:とはいえ、今までのマツダではあまり見ない売れ方とも思えますが、何が顧客にミートしたとお考えですか?

土井:もちろん愚直にクルマ作りをしてきたわけですが…やはり『CX-5』以降一貫したメッセージをお伝えしているのと、クルマ作りの恩恵に預かっている部分はありますね。やはりマツダというブランドを何とか作っていこうという…まだまだですけど(笑)。デミオでも変わっているなら見てやろうかな、みたいに思っていただけたのかと感じています。

◆購入者に見られる変化

マツダはブランド戦略をCX-5以降、特に注力しているメーカーだ。実際「Be a driver」のスローガンもかなりの早さで浸透している。これに関しても土井氏は主査の立場から見ても「第一歩は踏み出せていると思う」という。

----:お客様にも変化が出てきていると?

土井:63%というディーゼルの受注に関してもある程度予想の範囲内なのですが、驚いたのはボディカラーです。今回ソウルレッドが28%、スノーフレイクホワイトパールマイカが16%、これはいずれも有料色です。こちらとしても新しい価値を提供したいと考えていますが、このクラスで有料色をこれだけ選んでもらえているのはお客様も変わってきているということかと。実際試乗をされたお客様が帰ってくると「じゃあボディカラーは何にする?」という話まで進んでいるケースもあるくらいですから(笑)。

----:好調のデミオですが、その進化は続くのでしょうか。

土井:発売してみてわかることもありますが、お客様が求めるハードルもどんどん上がってきています。操安性に関しても“高み”はあるのでもっと上げていきたい。音に関しても同様です。

----:CX-3には「ナチュラルサウンドスムーザー」という新機構ありますが、これは搭載しないのでしょうか?

土井:先の事は言えませんが(笑)、クルマ全体の質感を上げるという点では「アリ」の技術でしょうね。

◆技術者として「最後まで看取る」

最後に2つ質問をしてみた。「あなたにとってのモノづくりとは?」と「現在のデミオ、点数を付けるとしたら何点ですか?」である。

土井:お客様に理解され、使っていただける価値を入れ込んでいくことがモノづくりだと考えてます。点数ですか(笑)。技術に終わりはありませんし、より高みを目指すという前提で言えばギリギリ70点位かな、と。

----:意外と低いですね。

土井:いや、このクルマのライフを通じて、最後まで看取るのが自分の仕事だと思っています。その中で次のチャレンジは始まっているわけですし、それをやり切った時が満点ということでしょうか。

色々なエンジニアと会う機会もあるが、土井氏は常に笑顔を絶やさす淡々とかつ的確に話してくれるのが印象的だ。しかし、その発言の中には常に高いハードルを自身に課し、モノづくりを行なっていこうという情熱を感じられた。

《高山 正寛》

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