【池原照雄の単眼複眼】トヨタとVWが初の1000万台突破…14年世界販売ランキング

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トヨタのハイブリッド車、アクア、プリウス、カムリ
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上位10社のランキングは前年と変わらず

自動車メーカーの世界での2014年新車販売ランキング(連結・グループベース)を、各社の発表資料などを元にまとめた。トヨタ自動車が3年連続で首位となるなど、上位10社の順位は13年とまったく同じだった。また、米国および中国といった大市場の順調な拡大を背景に、横ばいだった米フォードモーターを除く9社が前年実績を上回った。

◎2014年の世界販売ランキング(カッコ内は前年比増減率)
1 トヨタ  1023万台(3%)
2 VW  1014万台(4%)
3 GM  992万台(2%)
4 日産・ルノー  847万台(3%)
5 ヒュンダイ  771万台(5%)
6 フォード   632万台(0%)
7 FCA  461万台(6%)
8 ホンダ  436万台(2%)
9 PSA  294万台(4%)
10 スズキ  288万台(7%)
*FCAはフィアットクライスラーオートモービルズ

14年の世界の新車需要は、自動車各社や調査会社などによると前年を4%上回る8700万台規模と推計されている。東南アジア諸国やロシアなどの新興市場が低迷したものの、中国や北米といった大市場が順調だった。08年から世界最大の新車市場になった中国は前年を7%上回る2349万台と、13年(14%増)に比べて伸び率は鈍化したが、2年連続で2000万台を突破した。

2番目の米国は6%増の1652万台となり、リーマン・ショック前の06年と同等レベルまで戻した。米国市場は、09年に1043万台と大きく縮小したものの、10年から5年連続でプラスを維持している。昨年来の原油安も加わって大型のピックアップトラックなど高付加価値商品の回復も目立っている。市場が縮小傾向にあるものの、世界では3番目に大きい日本も4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要が膨らみ、4%増の556万台と堅調だった。3年連続のプラスで、かつ500万台を上回っている。

VWは10年で倍増し、トヨタを猛追

3年連続でトップになったトヨタは1023万台と、2位につけた独VW(フォルクスワーゲン)とともに初の大台を突破した。トヨタ単体では2%増の915万台となり、グループの台数とともに3年連続で最高を更新した。09年以降の品質問題や東日本大震災、超円高といった苦境を乗り越え、豊田章男社長が目指す「持続的な成長」を着実に実現している。ただ、15年の計画は国内依存の高いダイハツ工業が2ケタ減となるため、グループでは前年比1%減の1015万台と慎重な計画だ。

2年連続で2位となったVWは、18年に1000万台と掲げていた長期計画を4年前倒しで達成、この10年でほぼ世界販売を倍増させた。最大市場である中国でトップを維持しているのが原動力であり、14年は同国での販売が全体の36%を占めた。15年の世界販売はトヨタを上回り、初の首位に躍り出る可能性もある。米GM(ゼネラルモーターズ)は、北米での大量リコール問題もあり、13年に続いての3位。だが、中国が12%増の354万台と拡大、世界販売は2年連続で最高を更新した。中国は初めて北米の販売を上回って最大の販売先になっている。

日産は5年連続で最高更新

4位の日産自動車・仏ルノーグループ(露アフトワズ含む)は、3%増の847万台で6年続けての増加。日産は北米などの好調によって4%増の531万台と5年連続で最高を更新している。このほかの日本メーカーではホンダが8位、スズキが10位といずれも前年と同順位。ホンダは3年連続で最高を更新した。だが、新モデル投入計画が軒並み延期となった国内の影響が大きく、伸び率は13年の12%から昨年は2%へと鈍化した。逆にスズキは主力のインド市場の回復と国内軽自動車の好調で、13年の2%から昨年は7%へと成長を高めた。

経営統合によって13年に初めて7位にランクインしたFCA(フィアットクライスラーオートモービルズ)は、14年も同順位を維持した。フィアットグループの販売は6%減少したものの、旧クライスラーが欧米などの好調で15%増の280万台と健闘した。販売の落ち込みが続いていた仏PSA(プジョーシトロエングループ)は4%増の294万台と、10年以来4年ぶりのプラスに転じた。南欧諸国の債務危機で低迷していた欧州市場の回復により、PSAの欧州販売も8%増の176万台と、もち直しに寄与した。

《池原照雄》

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