スポーツシートのレカロ(RECARO)は東京オートサロンで2015モデルの新製品を公開したほか、コンセプトシート「new Sport Seat Platform」を日本初公開した。
このコンセプトシートは、2013年のフランクフルトショーで世界初公開されたもの。日本で展示されるのは、今回のオートサロンのみになるという。
名前に「プラットフォーム」とあるのは、これが単一の形状を示唆するコンセプトではないため。骨格は共通ながら、プレミアムなスーパースポーツカーや高級スポーツGTから大衆車をベースにしたスポーティモデル、小メーカーの少量生産モデルなど、幅広い車種に対応する製品を展開するというコンセプトだ。
特徴的なのは、背もたれに見える「Y」を逆さにしたようなCFRP製フレーム。この共通骨格の部分だけで強度や安全性などを含めた機能を確保することで、他の部分の造形自由度を大幅に高めているのだ。
オートサロンで展示されたのは、このフレームを露出させ、視覚的にも強調したデザインを持つバケットタイプ。背もたれに従来製品のような金属フレームを持たないことで、大幅な部品点数の削減と薄型化を実現。従来製品から40%の軽量化も達成するという。
また骨格を共通化することは、さまざまな自動車ブランドに合わせて造形をチューニングしても、製造コストの上昇を抑えることに繋がる。このコンセプトの採用は、レカロと顧客となるメーカー双方にメリットをもたらすのだ。
ブースでは「まだコンセプト提案の段階で、現在は自動車メーカーなどに売り込んでいるところ」ということだった。
しかしオートサロン終了直後に開幕したデトロイトモーターショーで、レカロブランドを所有する大手サプライヤーのジョンソンコントロールズが「このプラットフォームに基づいた製品シリーズを2016年からスタートする」と発表している。
ということは、すでに採用を決めたメーカーもあると考えるのが妥当だろう。それがどこなのか、そしてスポーティなグレードのみの採用なのか、それともコンセプトを活かして複数の仕様が設定されることになるのか。登場を楽しみに待つとしよう。
またオートサロンのレカロブースでは、世界初のスポーツシートを発売してから50年目を迎えたことを記念して、代表的なモデル5脚をコンセプトシートの後方にレイアウト。こちらは自由に座れるようになっていて、座り心地を確かめる人で賑わっていた。
今後レカロが多様なシートを提供するようになっても、ブランドのスポーティなイメージが損なわれることはないのだろう。