【日産 ジューク ニスモ RS 試乗】ニスモがチューニングの世界を変えた…中村孝仁

試乗記 国産車

日産 ジューク ニスモRS
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チューニングというと、一部の人々は眉をしかめる。暴走族のクルマというイメージをきわめて単純明快に導き出してしまうからだ。場合によっては違法改造、という言葉も出てくる。だが、そうした話とは全く違うチューニングの世界があることも知って欲しいと思う。

その昔、クルマ少年だった頃、レーシングカー風のモデルに憧れたものである。足を固め、エアロパーツを付け、タイヤホイールを変え、ステッカーチューンで走り回っていたことがある。そうしたことを手助けしてくれた小さなショップが当時は沢山あった。

今も状況に変わりがあるわけではないが、僕がやっていた時代と大きく異なるのは、トヨタにはTRD、ホンダには無限など、メーカー自身がサポートしてくれるチューニングブランドが存在することである。日産には言わずと知れたニスモがあるし、オーテックがある。トヨタにももう一つモデリスタがある。

ではニスモがなんでチューニングの世界を変えたと言えるのか。それはただ一つ。コンプリートカーを送り出しているからである。ニスモビジネスオフィスのチーフスペシャリストである田村宏志氏に話を聞いた。

「このクルマね。普通にラインで生産しているんですよ。普通のジュークと一緒に。でもね、余計な作業しなくちゃならないでしょ。と言ってそのためにライン止めるわけにはいかないし、大変なんですよね」

そう、この『ジュークニスモRS』はその骨格からして普通のモデルとは違うのである。勿論基本は同じ。しかしフロアのクロスメンバー、Cピラー内側、リアシートバックブラケットなどに補強が入る。これが通常のラインで流れるジュークのうち、ニスモRSの施される特別な作業。これを普通と同じ間隔でやるのだから、作業員は大変だ。しかしまた、これを可能にするのはメーカーでしかない。ドイツの「RUF(ルーフ)」のように、ホワイトボディだけを購入するようなシステムは、今のところ日本にはないはず。だから、最も基本となる骨格に手を入れられるのはメーカーだけなのである。

この骨格の手入れから比べたら、エンジンのチューニングなんてある意味では小さな作業である。ターボブースト圧を変え、コンピューターのマッピングを変更する。この作業は外部のショップでも可能だ。ニスモRSの場合、それによってベースモデルからパワーで24ps、トルクで10Nm向上させ、足回りもダンパー、スプリング、果ては電動ステアリングからブレーキに至るまで細かいアジャストを施している。

残念ながらまさにこれがファインチューニングであり、有りものを交換して付ける作業とはわけが違う。そしてもっと顕著な例がシート。レカロである。しかし、市販されているレカロではなくニスモの要望が取り入れられたものなのだ。

もう一つ恐れ入ったのはタイヤ。コンチネンタルの『スポーツコンタクト5』を履いている。通称スポコン5。スポーティなドライビングを目的としたハイパフォーマンスカーやSUV用に開発されたプレミアムスポーツタイヤという触れ込みのタイヤで、このタイヤを履いたクルマを所有していた経験から言うと、乗り心地とハンドリングの絶妙な接点を持つタイヤである。そんなタイヤを敢えてチョイスしている。

田村氏も「ちょっと拘っちゃったかなぁ」と話していたが、ここまで行けば本当のコンプリートと言えよう。

そんなわけで、乗り出した瞬間からおやっ?と感じさせてくれた。214ps、250Nmのパフォーマンスは今ではゴロゴロしているから、それほど速いとかパワフルだとかという印象はないのだが、ジュークというクルマとして考えた場合はもちろんかなりの高性能。それ以上に感じさせてくれたのは、素晴らしいバランスの良さである。

そのバランスとは、運動性能、制動性能、旋回性能、動力性能といった諸性能のバランスである。これらが見事なほど高次元でまとまっている。それがジュークニスモRSの良さであった。スポーツ選手が良く体幹を鍛えるということ言葉を耳にすると思うが、ボディシャシーの骨格を補強するとは、まさに体幹を鍛えること。これがあるから、高速コーナリングでの抜群の安定感と、路面の凹凸を軽快にいなすしなやかな足が実現できるのだ。ベース車両に比べて80万少々お高いが、出来を考えればこれはバーゲンプライスである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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