「86の場合、ガンガン攻めるという人は意外と少なくて、ストリート中心で雰囲気を楽しみたいという方が多いので、FLEX Aはすごく向いていると思います。さらに、『EDFC ACTIVE PRO』と組み合わせていただければ、シチュエーションに応じて減衰力を簡単に変更できますので、ワインディングに行った際にも気持ち良く走ることができます」と杉山氏は言う。
EDFC ACTIVE PROは、「日刊自動車新聞 用品大賞2014 スポーティング部門賞」を受賞したテインの製品だ。これは、車高調の減衰力を車内からボタンひとつで変化させることのできる電動コントローラだ。4輪のショックアブソーバーの減衰力調整部分にモーターを取り付け、車内のコントローラから電波で操作を行う。調整幅は、16/32/64段の3種類が選べる。また、16段調整の場合、1段分の変化にかかる時間は約0.1秒。これにより、ドライバーが走行シーンにあわせて、4輪の減衰力を簡単に変更することができるのだ。
また、EDFC ACTIVE PROには、自動調整モードが用意されているのもポイントだ。3軸加速度センサーと車速信号(車速信号がとれない車両ではオプションのGPSを利用する)を使い、加減速G/旋回G/車速から車両の走行状況を判断。それにあわせて4輪の減衰力を、リアルタイムで変更する。
このEDFC ACTIVE PROがすごいのは、旋回Gに応じて減衰力が調整できるようになった点。コーナリング時のロールスピード抑制や、前後のロールバランスもコントールできるので、チューニング次第でコーナリングスピードのアップにつなげることも可能だ。さらに、前後で減衰力の調整量を変化させれば、アンダーステア/オーバーステアというコーナリング特性も自在に調整が可能になる。
足回りのセッティングは非常にデリケートで、走っては手動による調整…という試行錯誤の繰り返しがこれまでだった。EDFC ACTIVE PROなら、ドライバーが実際に走りながらチューニングのスイートスポットを見つけるという作業も容易だろう。
またテインでは、従来の『EDFC ACTIVE』のユーザーであれば、わずかな追加出費でプログラム変更によりコントローラをEDFC ACTIVE PRO相当にバージョンアップできるサービスもおこなっている。このバージョンアップに合わせてシグナルコンバータを同時購入すれば、車速信号による減衰力の自動調整機能と、外部信号入力機能が追加となり、EDFC ACTIVE PROと全く同じ制御機能を実現できる。こうしたアフターサポートの手厚さも、テインが支持を得ている理由と言えるかもしれない。
しなやかな走りを実現するFLEX Aと、その性能をさらに引き出すEDFC ACTIVE PROを組み合わせることで、走りのレベルは確実にランクアップすると杉山氏は主張するのであった。
《鈴木ケンイチ》