日立製作所は、アジア地域統括会社ヒタチ・アジアがシンガポールのセントーサ開発公社(SDC)から都市交通「セントーサエクスプレス」向け無線信号システム(CBTC)と車両2両・1編成を約3000万シンガポールドル(約27億円)で受注した。
セントーサエクスプレスは、2017年10月末から、新しいCBTCシステムで運行開始する予定。
日立のCBTCシステムは、無線を使用して列車の位置情報と制御情報を伝達、地上の列車検知設備が不要となることから、ケーブルなどの沿線設備コストやメンテナンスコストを削減することが可能。列車の位置情報をリアルタイムに把握することが可能で、各列車の安全上必要とされる最低限の間隔を動的に保てるため、より高密度な運行が可能となり、輸送力の向上を図れる。CBTCシステムを導入することにより、全自動運転化(ATO)も可能となる。
日立が納入するCBTCシステムは、モノレールや近郊列車、地下鉄などの都市交通向け信号システム。2009年には、中国・重慶市軌道交通3号線向けに納入したほか、2013年6月にはベトナムホーチミン都市交通1号線への採用が決定している。
日立のCBTCシステムは、欧州認証機関から最高安全レベルSIL 4のRAMS認証を取得した。同認証を欧州の認証機関から取得したのは日立が日本企業として初めて。
日立は、シンガポール本島の南部に位置するセントーサ島で、2007年1月に開業したモノレール「セントーサエクスプレス」向けにモノレール車両12両・6編成、信号システム、変電設備、運行システム、分岐器などの主要設備とシステムをフルターンキーで納入している。
今回受注したCBTC信号システムの納入により、モノレールの高密度な運行を提案した。日立では、既に稼働実績のある先進的なシステムであることに加え、開業以降、安全で安定的な運行を支えてきた日立の実績が評価されたとしている。