先月メルセデス・ベンツ日本が発表した、『G63 AMG 6×6』。オフロードモンスターの異名をとるこの6輪クロスカントリービークルに、採石場跡地にて試乗する機会を得た。
G63 AMG 6×6(以下6×6)は軍用車のノウハウがつぎ込まれた特殊車両である。試乗会にはメルセデス・ベンツ日本のマーク・ボデルケ副社長が参加するというので、改めて6×6のコンセプトやマーケティングについて聞いた。
6輪車ということですでに十分特殊な車といえるのだが、オーリンズの別タンク式オイルダンパー、コンプレッサーとタンクを搭載した自動空気圧調整システム(走行中もエアの調整が可能)、ポータルアクスルによる460mmのロードクリアランス(アプローチアングルは50度)、水深1mまでの走行が可能というモンスターぶりだ。それでいて内装はdesignoレザーを使ったシートやリアを3分割ではなく2分割にしたり、シートベンチレータ、リアエンターテインメントなどを採用し、ラグジュアリー感や快適性を併せ持った仕様となっている。
ちょっとやりすぎ感さえある6×6だが、この車のそもそものコンセプトやグローバルなマーケティング戦略の中でのポジションというのはどう位置付けられるのだろうか。率直な疑問をボデルケ氏にぶつけてみた。
----:この車のマーケティングポジションについて教えてください
マーク・ボデルケ氏(以下敬称略):オフロード車としてはまさに最高性能を誇るといってよい6×6は、他に類をみないユニークな車であり非常にエクスクルーシブな存在です。すべてにベストパフォーマンスを追及しているといってよいので、その意味ではマーケットも非常に狭くなります。グローバルな戦略の中での位置づけは“ない”というのが適切かもしれません。そのため、投入する市場も台数も制限されたものとなります
----:その狭い市場としてアジアの中では日本を選んいますが、それはなぜでしょうか
ボデルケ:私たちは日本市場を特別なものと考えています。日本のユーザーの製品に対する要求レベルは非常に高く、新しい技術に対する関心も高いものです。この車の市場としてふさわしいものだと思います。とくに、日本向けの車両には4つのカメラによるアラウンドビューモニターを搭載しました。これは、日本の道路事情を考慮したための、オリジナルにはない装備です
6×6は、日本の他、EU、中東、ロシアなどで販売される。日本では4月25日から8月31日までが限定の受注期間となっており、グローバルで割り当てられた台数は5台。広報によれば、投入する国については、その国のオフローダーの指向、道路事情、法規制など考えて結果とのこと。日本は『Gクラス』の販売が好調なことも背景にあったという。
アジアでは中国市場も投入意義がありそうだが、いまのところ予定はないという。しかし、ニーズがあれば来年度以降の日本向けの追加生産や他の国での販売も検討する。
なお、4月25日に受注開始しており、8000万円という価格ながらすでに注文は入っているそうだ。