【トヨタ ノア&ヴォクシー HV 試乗】価格は高いが燃費でライバルを圧倒…松下宏

試乗記 国産車
ノア/ヴォクシー
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トヨタの新型『ヴォクシー』『ノア』にはミニバン初の本格的なハイブリッド(HV)車が設定された。このクラスのミニバンでは日産『セレナ』に「Sハイブリッド」があるが、こちらはモーターの出力もバッテリーも小さいいわゆる「マイルドハイブリッド」で、燃費はガソリン車に比べて多少は良いという程度にとどまっていた。

セレナのSハイブリッドは最も燃費の良い仕様でもリッター16.0kmであるのに対し、ヴォクシー/ノアのHVはリッター23.8kmを達成している。文字通りミニバンの次元を超える優れた燃費性能である。

採用されたHVシステムはプリウス用と同じ「THS II」で、1.8リットルエンジンに電気モーターを組み合わせることで、静かで滑らかな走りと低燃費を実現した。

ミニバンボディのヴォクシー/ノアはプリウスに比べると車両重量がかなり重い。なので、本当なら専用のHVシステムを搭載したいところだったが、専用HVを開発したのではコストが高くなってしまう。販売は価格を抑えることを考えてプリウス用のシステムを流用したという。

今回のヴォクシー/ノアでは、新しい低床プラットホームが採用され、その前席部分の床下に平たくニッケル水素電池を搭載した。これによって室内空間や使い勝手に影響を受けることなく、HV車に仕上げている。前席から後席へのウォークスルーが可能となるなど、ガソリン車と変わらない使い勝手を実現した。

HV車は7人乗り仕様のみの設定で、超ロングスライドが可能なセカンドシートを備えることなどもガソリン車と同じである。

走らせた印象は、重量級のボディを持つミニバンでありながら良く走るクルマだな、というものだった。これは発進時のモーターアシストを強めに設定し、レスポンスの良さを演出したことによる。燃費のために走りが鈍くなったという印象を与えないような設定である。

同時に、早めに巡航速度に到達できることを意味し、その段階でアクセルを緩めるとECOモードのときなどはモーター走行に入りやすくなる。モーター走行の領域で広くなることは燃費の向上につながるものだ。

もうひとつ静粛性の高さも特筆できるポイントだ。これはHV車であることに加え、振動・騒音対策が徹底されたためで、静かで快適なドライブが可能である。

価格を抑えるためにプリウス用のシステムを採用したとはいえ、ヴォクシー/ノアのHV車の価格はやはり高めだ。ガソリン車に比べると40万~45万円くらい高いから、単純にHVモデルに飛びつくかどうかは微妙なものがある。

市街地走行中心の使い方をする人が、環境イメージを重視して選ぶのがHV車と考えたら良いだろう。

残念なのは自動ブレーキが設定されなかったこと。2015年には採用される見込みだが、自動ブレーキは今やクルマの必需品ともいえる安全装備だけに、早期の設定を望みたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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