東レは1月27日、米国子会社のToray Composities,inc.(TCI)で炭素繊維『トレカ』を使用した「プリプレグ」(炭素繊維樹脂含浸シート)の生産設備の増強を発表した。東レでは、航空機や自動車向け高付加価値プリプレグの生産に対応した設備を導入し、2016年1月の生産開始を予定している、という。TCIは米国西海岸のワシントン州タコマ市に所在しており、東レの100パーセント出資子会社だ。
TCIでは、従来からトレカを使用したプリプレグを生産しているが、昨年11月にボーイング『787』型機の生産機数が月産10機に達し、既存設備ではフル稼働の状態になっている。今回の設備増強は、ボーイング787型機の生産機数が2016年には月産12機に引き上げられることが決定したことに対応した計画だ。TCIは新設備もボーイング社の設備認定を受けて、787型機向けプリプレグを安定供給したい、としている。
東レ・グループでは、日本の石川工場・愛媛工場・TCIをトレカを使用したプリプレグの世界3拠点としており、石川工場では2015年2月稼働予定で、IT機器の筐体や自動車外板(ボンネットやルーフ材料)などの用途にプリプレグ生産設備を増強している。
東レでは、今回の787型機向けの増産の他にも需要拡大が見込める高付加価値市場へトレカとプリプレグを安定供給できる体制を強化する予定。