JVC KENWOODとなり、JVCが得意とする映像事業とKENWOODが得意としてきた車載事業を統合。これまでにもCES会場で数多くの新技術を出展してきた。『CES14』では、同社が次世代主幹事業として開発中の「カーオプトロニクス」をはじめとする要素技術、新技術提案を行った。
「カーオプトロニクス」とは、オプトエレクトロニクス技術を用いたJVC KENWOODが進める車載用機器の総称。同社はすでに日本や米国で商標として出願している。『CES14』ではヘッドアップディスプレイや車両情報などを組み合わせることで、すでに世の中で叫ばれている“先進運転支援システム”をさらに一歩革新的に進め、『i-ADAS』による展示とした。
『i-ADAS』では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)としてフロントガラスにフルカラーの高精細情報が映し出され、システムの左右と後方などのドライバーの死角となる部分をフルHDカメラでサポートするのが基本。フロントにはナビ機能や車載情報を映し出すだけでなく、後方のカメラで捉えた映像情報をシースルーでここに表示。あるいは遠赤外線カメラで捉えた人間の存在を映し出すなど、ドライバーが得にくい情報を『i-ADAS』がサポートする。
会場では、フルHDカメラとディスプレイを使って現在のサイドミラーを置き換える「高品位・広角ハイビジョン電子ミラー」、自動車の計器部をディスプレイ表示にする「新感覚電子メーター」などの要素技術も体験できた。左右のミラー代わりに映し出される映像はフルHDの高精細なもので、この状態でも実用性はかなり高いように見える。ただ、カメラには人間の目とは違って周囲の環境に弱い現実もある。この部分に対し必ず“直視”を求める日本での考え方がある。つまり、日本の場合、カメラはサブであってメインではないとの立場だ。
これについて、同社新イメージング事業開発タスクフォース車載開発チームの高見悦也氏によれば、「日本ではカメラをミラー代わりに使用することに慎重だが、欧州ではかなり積極的で市場は確実にあると見ている」と話す。
また、助手席のコンソールでは、アスカネットが開発した空中結像を可能にするプレート「AIプレート」を採用したエンタテインメント用ディスプレイを組み合わせていた。これは昨年のドバイ国際モーターショーに参考出品されていたもので、ディスプレイの前で空中結像する技術。『i-ADAS』で使われていたのは1台のiPadでここで表示された映像をアスカネットの「AIプレート」で空中投影している。
ただ、助手席正面からはiPadの映像が見られるが、ドライバー席からは見えないよう安全面に配慮しているという。また、無数の偏光フィルムを織り込んだ平面ガラス(平面鏡)を表面に使っているため、車載として考えた場合、安全上の問題も残るという。