最初にネガティブを吐き出しておこう。まず、後部座席が狭い。セダンというからには、後ろに人を乗せるはずなのに、座面のちゃちさはなんなんだ。
確かに「身長190センチクラスまで座れます」って、そりゃ頭はあたらないだろう、こんなにうすっぺらい座面を低い位置につければ。私なら、友達や両親を乗せたとき、申し訳なくて運転に集中できない。ちなみにこの狭さ&ちゃちさはHVに限らず、アクセラのすべてのセダン、さらにはハッチバックである「スポーツ」も同じである。
そして、トランクの狭さ。マツダのよさはトランクの広さがあると思うのだが、HVシステムを詰め込んだ代償に、トランク狭すぎ。サスペンションの種類を変えればもっと広く作れたはずだが、でも、技術者、「走りのクルマにこだわりたかった」って、そうか、そうか。そう言われるとまあ仕方ないか。
しかし、走りのクルマにこだわった証は、十分に感じられる。HVシステムはトヨタのもので、シフトレバー周辺は見慣れた景色が広がっている。クルマをスタートさせたときのスムーズなモーターの加速感。エンジンへの切り替わりも滑らかで、いい感じ。そしてそこからがアクセラの本領発揮である。アクセルへの応答性がきちんとあり、なによりクルマに乗せられている感がない。HVにありがちなブレーキングの違和感もうまく解消できていて、初めてのHVにしては「いいね!」を押したくなる。
足まわりのしっとり感。コーナリングの安定感も、トランクを犠牲にしても走りをという気持ちがよくわかる。トランクや後部座席はいただけないけれど、アクセラの走りとHVの優越感を好むならオススメである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。