11月15日東京プリンスホテルにて「自動車関係諸税の簡素化・負担軽減活動」に関する共同会見が行われた。
会見では16の都道府県知事が賛同する「平成26年度税制改正において自動車諸税の抜本的な見直しを求める緊急声明」が発表された。
小栗七生氏(JAF会長)は「自動車税軽減は1772万人の関心ごとであり日本自動車連盟アンケートでは97%が要請するものである」と話し同活動の重要性を説いた。続いて日本自動車工業会副会長の池史彦氏は定量的に日本経済や雇用へ及ぼす影響を解説した。
後半の議論では車が生活にかかせない財であることを出発点に「地方低所得者層」と「軽自動車」をキーワードとした議論に集中した。「ダイヤモンドに(自動車関係諸税のような)税金はつきますか?」と話したのはテリー伊藤氏。現在は生活インフラとも言える自動車について、時代に見合った税制の整備適用が急務であることを訴えた。
◆消費税増税はもうすぐ、自動車諸税が日本経済へおよぼす影響
増税は自動車関係諸税にどのような影響を与えるのか。
池氏は過去の増税を例に予測を述べた。「1997年の3%から5%の増税は前年比で101万台、新車販売台数が減少した。あわせて雇用も失われた」。今回、仮に車体課税が見直される事なく、8%へと消費税が引き上がった場合、新車販売台数は約58万台減となり、負担合計は4兆円。「約17万人の雇用が失われることとなりかねない」と危惧する。
増税をまえに一時的なかけこみ需要は見込まれるものの、「(増税前比で)大幅な需要減少は永続的になりかねない」(池氏)と述べた。
テリー伊藤氏はユーザーの視点から「若者のクルマ離れ」は現行税制がもたらす負担が一因になっているのではないかとも話した。
◆生活必需品の増税は地方低所得者層を圧迫
軽自動車の増税に関しては、自工会会長の豊田章男氏や全国軽自動車協会連合会会長の松村一氏らは「地方の使用実態を無視している」として反対姿勢を強調。
軽自動車が生活のインフラになっている裏付けとして「日本には軽自動車しか走れない道が多くある」と豊田氏。地方部の所得水準に適切な価格、そして生活シーンに寄り添う性能を磨かれた軽自動車はメーカーの取り組みの結晶といえ、税制によって需要と供給の構造が改まると、ユーザーや企業にとって経済面にとどまらない問題が発生することになる。
続けて日本自動車販売協会連合会会長の守川正博氏が、現在の負担状況を具体的数値で確認した。関係税率が2013年4月1日時点の状態で、5%の消費税、車両重量1.5トン未満、1800ccで180万円の新車を購入した場合、12年間の利用で取得・保有、走行時に153万円もの負担となるとした。取得・保有には「自動車取得税」「消費税(車両)」「自動車重量税」「自動車税」が発生し、走行時は「揮発油税」「地方揮発油税」「消費税(燃料)」が発生する。
今回の要望には、車体課税の面において消費税8%時点で「自動車取得税3%引き下げ」、「エコカー減税(取得税・重量税)の拡充」、そして「自動車税・グリーン化特例(グリーン税制)の拡充」を挙げた。消費税10%時点においては自動車取得税の撤廃や、関連負担の軽減、保有課税の見直しなども盛り込んだ。
またこの際、代替財源としての自動車税・軽自動車税などの自動車関係諸税の増税には反対するとした。